2020年4月5日日曜日

中高生の居場所をつくるな

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近所に「中高生向きの本を中心にした古本屋」がある。

これはおもしろい試みだとおもってぼくも応援の意味で何度か足を運んで本を買ったり(といってもライトノベルもヤングアダルト小説も読まないので一般書を)、Twitterをフォローしたりしていたのだが、そのうち見ていられなくなってフォローをやめてしまった。
店にもしばらく行っていない。

「見ていられない」とおもったのは、店主のおじさんがやたらと
「中高生の居場所をつくりたい!」
「本好きの若者の居場所になってほしい!」
といったメッセージを発信するからだ。
それを見るのがつらかったのだ。

いや、気持ちはわかる。
ぼくだって若い人に本を読んでもらいたい。
自分がそういう場をつくれたらすばらしいことだとおもう。

でも。
だったらそれを公言しちゃだめでしょ。
胸にしまっておかないと。

自分が中学生のとき。
「はい、ここが君たち中高生の居場所だよ! 学校や部活に居心地の悪さを感じている人はここに集まってね!」
と大人から言われて、そこに行きたいとおもった?

ぜったいイヤだ。
そういうのにいちばん嫌悪感を抱いた。
そこで「おれたちのための居場所なの? じゃあ行ってみよう!」ってなるタイプの中高生は読書に逃げ場所を求めないでしょ。


ぼくが中高生のとき、居心地のいい場所はいくつかあった。
友人Kの家とか、高校前の駄菓子屋とか、コロッケを安く買える肉屋とか、本屋兼レンタルCDショップとか、川原とか。
居心地が良かったのは、そうした場所がぼくたちのために何もしてくれなかったからだ。拒みはしないけど、招きもしない。行ってもいいし、行かなくてもいい。
そういう場所が好きだった。

だから、中高生の居場所にしたいなら、中高生の居場所にしちゃだめなんだよ。

って古本屋の店主に伝えたいんだけど。でも言えない。
言えるタイプだったらたぶん古本屋を好きになってない。


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