2020年3月2日月曜日

マジックバー体験

このエントリーをはてなブックマークに追加
六歳の娘に「手品やって」とせがまれる。

といってもぼくはマジシャンではないので、手品などほとんどできない。
指を隠して「指がなくなっちゃった!」とか、右手に握っていたビー玉を左手に持ちかえたふりをして「ビー玉が消えた!」とか、たあいのないものしかできない。

娘が三歳ぐらいのときはそれでも驚いてくれていた。まさに子どもだまし。
だが元々手品のレパートリーもないし、娘も知恵をつけてきたので「下に落としただけやろ」などとすぐに見破られるようになった。
手品の本を読んでみたのだが、そこそこむずかしいのはテクニックがいるのでぼくにはできない。

ということでマジックバーなる場に娘を連れていった。
お酒を飲みながらマジックを見るバーだが、土日は昼の公演もやっているという。


二十分くらい前についたが既に行列ができていた。

客は全部で十組ぐらい。半分ぐらいは子ども連れ。残り半分はおばちゃんグループ。いかにも昼公演らしい客層だ。

開場と同時に他の客は急いで席に詰めかける。ぼくは娘をトイレに連れていったり飲み物を買ったりしてから席に着いた。
後から気づいたのだが、マジックを観る上でポジション取りはすごく大事なのだ。最前列だとマジシャンの手元や足元がよく見えるし、マジシャンから話しかけてもらいやすい。
なるほど。してみると急いで最前列を陣取ったおばちゃんたちは常連客なのだろう。よくわかっている。

開園前だが、若いマジシャンが前に出てきてテーブルマジックを披露してくれる。トランプの数字を当てたり、コインが消えたりするマジックだ。残念ながら三列目の我々にはよく見えない。もっと前に座ればよかったと後悔する。

若いマジシャンはマジックを披露しながら前説もおこなう。
写真は撮ってもいいよ、でもフラッシュはやめてね、SNSにアップするときはハッシュタグをつけてね、と随所に笑いをとりながら説明してゆく。
ちなみにこのマジシャン、めちゃくちゃイケメンだった。男のぼくから見てもほれぼれするぐらい。堂本剛をもっと若くかっこよくした感じの顔立ち。堂本剛がすでにかっこいいのにそれをかっこよくするんですぜ!
かっこよくて、しゃべりも達者で、マジックもできる。ひゃあ。こりゃあ合コンでは敵なしだろう。

やがて幕が開き、マジックショーが始まる。
鳩が現れるとかテーブルが宙に浮くとかサインをしたトランプが別の場所から出てくるとか、定番のマジックが続く。だがそれがいい。
なにしろ娘はもちろん、ぼくも生でプロマジシャンのマジックを観るのははじめてなのだ。変に凝ったものよりシンプルなやつがいい。

幕間に暗転するのだが、隣に座っていた娘がぼくの手をぎゅっと握ってきた。怖いらしい。
大きな音が鳴るのも嫌みたいだ。暗転するたびに手に力が入る。
マジシャンたちはことあるたびに「誰か手伝ってくれませんか」と参加者を募る。子どもたちははいはいと手を挙げるのだが、うちの娘は手を挙げようとしない。「やってみたら?」と尋ねてもかたくなに首を横に振る。
一度マジシャンから「手伝ってくれない?」と指名されたのだが、「こわい」と言って下を向いてしまった。
もったいない。参加したほうがぜったいに楽しいのに。

代わりといってはなんだが、ぼくは協力した。
「誰かお札を貸してくれませんか」と言われたので一万円札を貸したのだ。
まず大丈夫だろうが、もしもこのまま返してもらえなかったら……と考えるとすごくドキドキした。ただマジックを観るよりも一万円札を貸したほうが四倍ハラハラできるのでおすすめだ。
驚くことに、お札は消えなかった。ぜったいにお札が消えるマジックだとおもったのに。
お札の中から金魚が出てくる、というマジックだった。お札は返してもらえたがちょっと濡れていた。

だったらお札じゃなくてただの紙でいいじゃないかとおもったのだが、「紙自体に仕掛けがあるわけではないですよ」とアピールするためにはやはりお札を客から借りるのがいいのだろう。
誰でも持っていて偽造が容易でないのだから、なるほど、お札はマジック向きだ。

手品をやるだけでなく、間にマジシャンのトークやジャグリングも挟まる。
落語寄席だと落語の間にマジックなどの色物が挟まるのだけど、マジックバーでは逆なのだ。

その後もパントマイム風のマジック、さっきの超イケメンが炎を口に入れる大道芸のようなマジック、そしてラストに大仕掛けの人間入れ替わりイリュージョンがあり、めでたく閉幕。
出口でまんまとマジックセットを買わされてマジックバーを後にした。



娘は暗転や炎を怖がっていたものの、「鳩が出てくるのと人間が入れ替わるのはおもしろかった!」と人生はじめてのマジック鑑賞を堪能していた。

帰り道には「お父さん、あの最後のおりの中の人と外の人が入れ替わるやつやって!」とリクエストされた。
無理! できたら刑務所に入れられたときに助かるけど!


このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿