本好きかどうかは、本の読み方ではなく、本の選び方で決まる。
ほんとの本好きは、本を選ぶのが好きだ。
読むより選ぶほうが好きだという人もめずらしくない。
書店やAmazonに行くとついつい長居してしまう。
ひとに「なんかおすすめの本ない?」と訊くやつは、ひとりの例外もなく偽者だ。
だから、元書店員として断言する。
本の帯に「本屋さんが選んだ泣ける本」「書店員が選んだベストミステリ!」みたいなことが書いてあるが、あれを書いている書店員の心は欺瞞に満ちている。
「こんなポップを見て買うやつなんて、ふだんよっぽど本を読まないおばかさんなんだな」
と思いながら書いている。
「ほんとの本好きはおれのポップなんか見向きもしないで、自分の嗅覚を頼りに本を選んでくれるはず!」
と思っている。
ぼく自身がばかに向けてポップを書いていたから、まちがいない。
だってそうでしょうよ。
服屋のマネキンのコーディネートを上から下までそのまんま買って、「おれおしゃれにはうるさいんだよね」と言ってる人を、おしゃれ店員がこばかにしないと思いますか?
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