娘の友だちのおねえちゃん(小学二年生)と 話していると、彼女がたいへんな本好きだということがわかった。
彼女が好んで読むのは小説ではなく伝記や歴史の本らしい。中でもたくましい女性が好きらしく、平塚らいてう、与謝野晶子、ジャンヌ・ダルク、ヘレン・ケラーやサリバン先生、津田梅子など、なかなか渋い人選をしている。
しかも自分なりに年表をつくったり、読書日記をつけていたり、読むだけでなくちゃんと血肉となっている。
聞けば、小学校で話があう子がいないそうだ。休み時間も本を読んでいたいのに、おにごっこやドッチボールに誘われるのがいやだと言っていた。まあそうだろう。小学二年生で青鞜社の話をできる子はそうはいまい。
ぼくが感染している「子どもに本を買ってあげたい病」が発症してうずうずしてきた。
勝手に、頭の中で「買ってあげるとしたら何がいいだろうか」と検索が始まる。
歴史上の女性を主役にした本かー。壺井 栄『二十四の瞳』とかかな。でもあれはフィクションだしな。大石先生はジャンヌ・ダルクや平塚らいてうのような「戦う女性」とはちがうしなあ。
最近読んだ中だとハリエット・アン ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』とかチョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』とかもよかったけどなあ。でも子ども向けじゃないからさすがに小学二年生にはむずかしいかなあ。
「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた新島八重とかいいかもしれないな。たしか以前大河ドラマになっていたから児童向けの本も出てそうだし。
……なんてことを考えていたのだが、そもそも「娘の友だちのおねえちゃん」なのであまり会うこともないし、そんな関係の薄いおじさんからいきなり本をプレゼントされても困るだろう(特に親が)。
「あ、いや、べつに他意とかなくて、ただ単に本をあげるのが好きなので買ってきて、あ、買ったっていってもわざわざ買ったとかじゃなくてついでに、そう、Amazonのポイントが余ってたし、他に買いたい本があって一冊だけ届けてもらうのも悪いなっておもったからついでに……」
と、しどろもどろになって余計に怪しいおじさんを演出してしまいそうだ。
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