小説の書きかた
須藤 靖貴
本の交換で手に入れたうちの一冊。
物語を通して小説の書きかたを伝える、という『もしドラ』の柳の下のドジョウを狙ったような本。
ハウツー本は好きじゃないんだよなあ。
とおもいながらもせっかくもらったので読んでみた。
うーん、やっぱり……。
「小説の書き方を小説を通して伝える」という意図は買うけど、肝心の物語がおもしろくない。
男子高校生一人と女子高校生三人が共同して一篇の小説を書くという話なのだが、まったくといっていいほど事件が起こらない(起こるハプニングが「書きあげたものの出来がイマイチだった」レベル)。
女子三人も個性がなさすぎて、とうとう最後まで見分けられなかった。
あえてつまんない小説を読ませることで失敗例を提示してくれたのかも。
ふつうにハウツー本として書いたほうがまだマシだったんじゃないだろうか。
書いていること自体はこれから小説を書く人にとってはためになるのかもしれないけど、肝心のこの本がおもしろくないんじゃあなあ。
タイトルとかさ。
「タイトルは作品の顔だからめちゃくちゃ重要」みたいなことを本文中で書いといて、で、この本のタイトルが『小説の書きかた』かよ。なんじゃそりゃ。ひねりゼロ!
まあおっさんが読む本じゃないなあ。
高校生ぐらいのときに読んでたら、「自分も今すぐ書かねば!」と奮いたっていたかもしれない。
ずっと本が好きだったし、そういう人ならたいてい経験があるとおもうけど、ぼくも学生のときは「自分でも書けるはず!」とおもって物語が書いてみた。
しかしながらというか、当然ながらというか、すぐに挫折。書くことのむずかしさを思い知った。おもしろくないとか以前に、書けないんだよね。書けば書くほど自分の文章のダメさが目について。
今は「作家になってやる!」「文壇に名を轟かせてやる!」みたいな野望もなくなったのでこうしてブログにだらだらと文章を書いているが、長く書いていると書くペースやリズムをつかめてきて、少なくとも書いている自分自身は楽しめるようになった。読む人が楽しんでいるかどうかは知らないが。
だから、物語を書きたい人は、こういう本を読むのも無意味ではないのだろうけど、その一万倍ぐらい「書き続けてみる」が大事だとおもう。書かないと書けないのだから。
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