2018年4月4日水曜日

改札に引っかかった間抜けの末路

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都会の通勤電車における三つの大罪といえば、「歩きスマホ」「傘の先を後ろに向ける」と並んで、「改札退場時に引っかかる」が挙げられることはご承知の通りだ。

ただ、歩きスマホや傘の持ち方とは違い、どれだけ気を付けていても引っかかってしまうのが詐欺と改札だ。
誰もが他人事ではない。「おれはぜったい大丈夫」とは思えない。ぼくも毎朝ラッシュ時に改札を通るときに「引っかかったらどうしよう」と戦々恐々としている。

誰もが陥りかねない罠なのに、改札に引っかかった人に対して周囲の人々がとる対応はあまりにも冷酷。
目の前の人が改札に踏み込んだ瞬間「ピンポーン!」と鳴る。このとき、その直後を歩いていた人が顔をしかめる確率は百パーセントであることが我々の調査でわかっている。ちなみに、二つ後ろを歩いていた人が顔をしかめる確率は八十四パーセントだ。

「あのマザー・テレサですら、前の人間が改札に引っかかったときに舌打ちをした」という話がまことしやかに伝えられている。この話が事実かどうかはわからないが(ぼくが今つくった話なのでたぶん嘘だろう)、さもありなんと思わせるだけの説得力があるのは、それだけ改札に引っかかった人に対して憎しみを抱くのが自然なことだからだ。もしかすると狩猟時代から備わる人間の本能なのかもしれない。それが何の役に立つのかはわからないが、本能とはそういうものだ。

イエス・キリストは云った。
「自動改札に引っかかったことのない者だけが、改札に引っかかった者に対して顔をしかめ、舌打ちをしなさい」

すると人々はあからさまに迷惑そうな顔をし、舌打ちをしながらイエス・キリストを避けて別の改札に並びなおした。


人種、性別、出自、身体的特徴。
すべての差別がなくなったとしても、「改札に引っかかった人差別」がなくなる日は来ないだろう。

改札に引っかかった人は一瞬にして周囲の注目を集め、冷ややかな視線を浴びることになる。
「後続に迷惑かけてんじゃねえよ」
「まあダサい」
「あら営業一課のハセガワさんだわ。すてきな人だと思ってたのに、幻滅」
「おやあれはハセガワくんか。仕事のできる若手だと思ってたのに、改札に引っかかるようじゃ大事な仕事は任せられんな」
と、たちまち彼の評価は暴落。よくて左遷、悪くて解雇。
状況的には痴漢で捕まったときと同じだ。いや、痴漢の場合は冤罪の可能性があるだけまだましかもしれない。



差別の原因は、「改札に引っかかった人は後退しないといけない」というルールだ。そのせいで著しい通行の妨げになる。

たとえば「料金不足で『ピンポーン』という音が鳴った場合はそのまま改札を出た後に差額を清算しなければならない」だったなら、後続の人たちに迷惑をかけることもなく、犯罪者のような扱いを受けることはないだろうに。

しかしこのシステムを導入すると、料金を清算せずに逃げるやつが現れる。

そこでぼくが提案する唯一のソリューションは、
「改札に引っかかったら床に穴が開いて、引っかかった犯人がそこに転落する」だ。
直後にまた穴がふさがれるようにすれば後続の人たちは滞りなく通過できるし、犯人も周囲から後ろ指をさされることがない。

被害者の便益と加害者の人権の両方を守れるすばらしい制度だと思うので、鉄道会社の人はぜひ導入のご検討を。


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