大阪=怖い街
神戸=上品でおしゃれな街
生まれも育ちも神奈川の友人が、こう語っていた。
とんでもない!
ぼくは大阪と神戸のちょうど真ん中ぐらいで生まれ育ったので、大阪も神戸もよく知っているが、神戸のほうがはるかに怖い。
たしかに、大阪にはちょっとばかり注意を要するところが少なくない。
ガラの悪い兄ちゃんばかりの街もあるし、薬剤師でも取り扱ってはいけないタイプの薬を服用している人が珍しくない地域もある。
でも、そういう人は見ればわかる。
その手の人は、わかりやすく刺青を見せていたり、街中で大声で演説をしていたりする。
だから百メートル先から見ても「ああこりゃやばいな」とわかる。
大阪の人は自己主張が強いので、わざわざ「わたしは危険ですよ。近寄らないほうがいいですよ」とアピールしてくれているのだ。
毒キノコが見るからに毒々しい色をしているのと同じで、これはとても親切な設計だ。
ちなみに、昼間から公園でビールやワンカップを飲んでいるおじさんも多いが、これはただの酒好きであって、無害な人がほとんどだ。
ぼくの経験上、ほんとに気をつけなければならないのは屋外でチューハイを飲んでいるおじさんだ。
これは、ほんとはお酒が好きなわけではないのに、何かから逃げようとして無理して飲んでいるおじさんだから、距離をとったほうがいい。
少し話はそれた。神戸の話をする。
神戸では、怖い人がわからない。
大阪の場合は危ない場所とそうでない場所がなんとなく分かれているのだが、神戸は混ざりあっている。
三宮駅周辺というのが神戸最大の繁華街だが、ここは中学生がショッピングに来るエリアでもあるし、暴力団員がうろうろしているエリアでもある。雰囲気の良いカフェや結婚式場も多いし、風俗店も多い。
すべてが同じ場所にある。
おまけに、神戸の人は上品でおしゃれなので、おしゃれな服で内面の危なさを隠してしまうのだ。
だから見ただけでは危険な人かどうかがわからない。見た目はかわいいのに強い毒を持っているモウドクフキヤガエルみたいなやつらなのだ。
だから、駅前を歩いているスーツのおじさんが、部下の結婚式に向かう会社のお偉いさんなのか、その付近に本部がある日本最大の暴力団のお偉いさんなのかがわからない。
ほんとに怖い。
こないだ三宮駅前を歩いていると、もめごとがあったらしく、警官が集まっていた。
見てみると、身長190センチくらいの外国人の大男と、きちんとスーツを来た小柄なおじさんが揉めているようだった。
喧嘩でもしたのだろうか、顔から流血していた。
それだけでもなかなかの事件なのだが、ぼくが驚いたのは顔から流血しているのが、小柄なおじさんのほうではなく、身長190センチの外国人のほうだったということだ。
何があったんだ。
あのおじさんは何者なんだ。
ほんと、神戸は油断ならない街ですよ。
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