2016年3月28日月曜日

【エッセイ】今日はお休みですか?

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「今日はお休みですか~?」

美容院、理容院で定番の質問ですよね。
これ、なんなんでしょう。


ぼくは、見知らぬ人と話すのが苦手です。
美容院では、必要最小限の話しかしたくありません。
自分の髪型にもあまり興味がないので、カットされている間はずっと目を閉じて考えごとをするか、寝るかしています。

先週美容院に行ったときも、
「前髪は眉にかからないように。横は耳まで。あとはそれにあわせて自然な感じにしてください」
と、ここ十年ぐらい言いつづけている必要かつ十分な要求を伝えて、目をとじました。

しかし、ぼくの担当である若い男の美容師ときたら。
「今日はお休みですか~?」

おいおい、と。
ちょっとは考えろよ、と。

その日は日曜日。

そのとき午後2時。

ぼくの格好は、ユニクロのフリース。

その時間に、その格好で、30代のおじさんが散髪に来てるわけ。
もう今日はお休みだと判断しても差し支えないんじゃなくて!?

仕事ぬけだしてきたと思ったわけ?
ユニクロの1,990円のオレンジ色のフリースで?

あほかー!
仕事ぬけだしてくるんだったら、いちばん混んでる日曜日の午後じゃなくて、もっとすいてる時間に来とるわ!!


「今日はお休みですか~?」

それ!
そんなに!
言わなあかんこと!?

ぼくの勤務体制とあんたが髪切ることに関係ある??
休みだろうがなんだろうが、常にベストの力で切れ!

おっと。
つい取り乱しちまった。
すまなかったな。

ま、でもよ。
「今日はお休みですか」だって、まったく無意味な質問とは言いきれねえよな。

世の中にはいろんな仕事のやつがいるからな。
「今日はお休みじゃなくて夜勤で交通整備の仕事なんです」
ってケースもあるだろな。
そしたら「ヘルメットで髪型がつぶれないように固めにセットしとこう」ってなるかもしれないよな。

それぐらいはぼくにだってわかる。
小学生のときは通知表の担任コメント欄に
「もっと他人の気持ちを考えよう」
と本気の説教コメントを頂戴したぼくだけど、30を過ぎた今ではそれぐらいのことは想像できる。

でもな。

でもな。

こっちは早々に目をとじてるわけ。

「あなたと余計な会話はしたくないです」
っちゅう意思表示なわけ。

「髪を切られてる間、鏡は見ません。すなわちカットについてはあなたに一任しますし、細部についてああだこうだ言うつもりはありません」
っちゅう意思表示なわけ。

この後夜勤で交通整備するからヘルメットかぶるとしても。
この後ナイターのジャイアンツ戦で打席に立つからヘルメットかぶるとしても。

あなたは心配しなくてもいいんです。
髪がぺしゃんこになってもいいんです。
だから黙って散髪してください。

ってこっちは思ってんのに、続けて
「今日は寒いですね~」
じゃねえんだよ!

そんなことは、ずっとここで髪切ってるおまえより、さっき外を歩いてこの店まで来たぼくのほうがよっぽど知ってるから!

そんなに会話がしたいなら、目の前の鏡の中の自分としゃべってろ!


……あっ、それはさすがに嘘!
いくら髪形にこだわらないとはいえ、鏡の自分と会話してる人には髪切られたくないです!

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