2016年1月8日金曜日

【エッセイ】地球外生命体の焼き魚定食

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定食屋で焼き魚定食を食べた。
まあまあ大きい魚だったので、出されたのは半身だった。
尾頭付きの半身の魚を食べながら、ふと気がついた。
あたしが食べているのは、魚の左半身だ。

よくよく考えるとちょっとおそろしい。
だって「魚の半身を焼き魚にしてお客さんに出す場合、それは必ず左半身でなくてはならない」のだから。
尾頭付きの魚の場合、頭を左にして食卓に置くというマナーがある(カレイをのぞく)。
右半身の魚を、頭を左にして置こうと思ったら、上下逆さま(背ビレが手前にくる)にするか、裏返し(顔を下にする)にしかない。いずれも不恰好。
だから半身の焼き魚にするのは左半身しかありえない。



あたりのテーブルを見渡してみると、焼き魚定食を頼んだ客の前に置かれているのは、やはりみんな左半身だ。
問題は「じゃあ右半身はいったいどこへいったのか?」ってこと。

きっとフライにしたり切り身にしたりしてるんだろうけど、ボウルいっぱいに右半身ばかりが数十匹分入れられている光景を想像するとぞっとする。
あたしは自分が死んだ後の肉体は解剖でも鳥葬でもどうとでもしてくれと思っているが、右半身ばかりを数十人と一緒に積まれるような扱いだけは受けたくない。

だから初詣であたしが祈願することはただひとつ。
「この惑星を侵略しにきた地球外生命体が『地球人を食べるときは頭が左にくるように置くこと』というマナーを持っていませんように!」
ただそれだけ。

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