2016年1月26日火曜日
【エッセイ】世界三大がっかり料理 ~駅弁編~
ちょっと待って。
冷静に考えてみて。
それ、ほんとにおいしいわけ?
ほら、あなたが今、おいしいおいしいって云いながらパクついてる駅弁のこと。
誰も言わないならあたしが言う。
何度も駅弁に騙されてきたあたしが言う。
駅弁はおいしくない!
揚げ物は冷めてるし、ごはんは固いし、刺身はぬるいし、傷まないように保存料は多いし、ボリュームのわりに値段はけっこう高いし、改めて考えたら駅弁にいいとこなんかひとつもない。
え?
……あー、はいはい。
なるほど、なるほど。
はい、反論出ました。
旅情によるおいしさ3倍説ね。
駅弁は雰囲気を含めて味わうもの説ね。
当然、駅弁擁護側からそういう反論が出ることは予想していました。
あたしは声を大にして言いたい。
風景だとか旅情だとかに騙されちゃいけない!
そんなものは言い訳にすぎない。
それってほら。
夫には先立たれ、ひとり暮らしも長くなり、孫たちが大きくなってからはめったに寄りつかず、そんなときに現れておばあちゃんおばあちゃんといってほんとうの孫よりもなついてきたあの青年。
老後のために蓄えていたお金は騙しとっていったけれど、あの優しさは本物だったと信じたい……!
っていうおばあちゃんの気持ちと一緒。駅弁がおいしいと思いこむのって。
いくら親切にされたって詐欺は詐欺。
旅情なんか駅弁があなたを騙すための見せかけの優しさよ。
そんな甘い誘いに乗っちゃだめ。すぐに途中下車して。駅弁だけに。
あたしも、これまで何度、駅弁に裏切られてきたか。
旅情によっておいしくなる説がほんとうなら、コンビニのパンでもかまわないと知りながら。
その土地のものを食べたいのなら、電車を降りてお店に入ったほうが同じ値段ではるかにおいしいものを食べられると知りながら。
それでも、けなげに駅弁を買った。
いつかこの人(駅弁)は、まじめに働いてくれる。あたしのひたむきな愛に誠意を持って応えてくれるひが必ず来るはず。
けれどもあたしの思いもむなしく、駅弁はまたもおいしくない。
なんてだめな人。
あたしが支えてやらなければ。
デパートの駅弁フェアに足を運んだりもした。
でもやっぱり駅弁は変わらない。
駅弁のわたしに対する態度は、駅弁の揚げ物と同じくらい冷めている。
そしてあたし気づいたの。
駅弁は、このままじゃもっとだめになる。
だから、こうして駅弁の悪いところをさんざん挙げていってるわけ。
これはあたしから駅弁への決別宣言。
そう。
駅弁を愛しているから!
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