特に思い入れが強いのは、北杜夫『船乗りクプクプの冒険』と『さびしい王様』シリーズ。
これらに出会ったのはぼくが小学生のとき。
ほとんど児童文学しか読んだことのなかったぼくに、大人向けの本もおもしろいということを教えてくれた本だ。
井上ひさしの『ブンとフン』『偽原始人』や『モッキンポット氏』シリーズも小学生のときに読んだ本。
読書の道に引きずりこんでくれた。
椎名誠の『あやしい探険隊』シリーズと青春3部作は、高校生のときに読んで、ぼくも仲間たちとこんな日々を送りたい!と思わされたエッセイだ。
今でも高校時代の友人たちと山登りをしたりキャンプをしたりしているのは、椎名誠の影響が大きい。
こういった「若いうちに読んでおいてよかった本」を再読することはもうないだろう。
にもかかわらずこれらの本を捨てずに置いていた理由は「いつか生まれてくる自分の子どもにも将来読んでほしいから」だった。
でも実際に自分の子どもが生まれてみて、我が子と接するうちに少しずつ考えが変わってきた。
この子はぼくとはちがう人生を送るのだから、ぼくとはちがう本から刺激を受けたほうがよい、と思うようになった。
ぼくが影響を受けた本ではなく、子どもが大きくなったとき、その時代のおもしろい本を読んでくれたほうがずっといい。
だってほら、大人たちが薦めてくる本って死ぬほどつまらなかったでしょう?
教科書で読んだときはクソみたいにつまらなかったのに、後で自分で買って読んだらすごくおもしろかったという経験、本好きなら一度や二度や三度や四度は経験があるはずだ。
おもしろい本は薦められるものじゃない。
まず自分の勘をたよりにおもしろそうな本を探しあてることから、読書の楽しみははじまっているのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿