2019年8月30日金曜日
今からだとまにあわない! 読書感想文の書き方 ~感想文嫌いの小中学生のために~
やあこんにちは。
君は小学生? それとも中学生かな?
読書感想文の書き方が知りたいんですね。もう大丈夫ですよ。
おっと、ちょっと待った。
今、「なんかこのサイトはあやしいな。他のちゃんとしたとこを見よう」とおもいましたね。
まあそれはそれでまちがいじゃありません。
他のサイトに行くのもいいでしょう。
でも、これだけは言っておきます。
検索結果の上位に出てくるサイトには
「読書感想文を書くにはまず全体の構成を考えましょう」とか
「読書の前と後での心境の変化について表現しましょう」とか、まっとうなことしか書いていません。
君が求めているのはそういうのじゃないよね?
すばらしい読書感想文を書いて全国読書感想文コンクールで入賞しようなんておもってないよね?
ずばり言いましょう、君が知りたいのは「とにかくラクをしてそれなりの読書感想文を書く方法」ですね?
「宿題の締め切りぎりぎりでも間に合う読書感想文の書き方」ですね?
その答えはここにあります。
わかったらもう少しわたしの話に付きあってください。
まずはわたしの話をします。
なに? 時間がない?
まあまあ、そうあわてないでください。
大丈夫ですよ、宿題の提出が遅れたって怒られるのはわたしじゃないんですから。
わたしは読書感想文の専門家です。
なにしろ学生時代は年に一回のハイペースで読書感想文を書いていたんですから。
なに? 年に一回はふつうだって?
そうです。今のは君の読解力をテストしたんです。
「年に一回って多くないし」とおもった君は、今からでもそれなりの読書感想文を書ける能力がある。
おもわなかった君は……うんそうですね、笑顔の練習でもしたほうがいい。笑顔ではきはきと「すみません、宿題忘れました!!!」と言う練習です。
笑顔の相手に対して怒るのは案外むずかしいものです。
全力の笑顔を向けられたら、きっと先生も「おお……そうか……気をつけろよ」ぐらいしか言えないはずです。
何の話でしたっけ。そうだ、自己紹介の続きでしたね。
わたしはごくふつうのサラリーマンです。作家でもなければ書評家でもない。塾の講師でもなければ学校の教師をやった経験もない。
ときどきこうしてひまな時間に、あるいは忙しいはずの時間に趣味のブログを書いているだけのサラリーマンです。
だけど、君にぴったりの読書感想文の書き方を教えることはできる。
なぜか。
それは、わたしが学校の読書感想文とは何の関係もない立場にある人間だからです。
教師や書評家の教える「読書感想文の書き方」は、どれも正しい方法です。
本をしっかりと読みこみ、登場人物の内面や著者の内面にまで思考をめぐらし、己の内面と真摯に向き合い、読書の体験を通して得られた感情の揺れを的確な文字数・文章で表現する。そういった方法です。
私が教える書き方はそうじゃない。
ふだん本を読まない君が、文章を書くことが嫌いな君が、めんどくさがりやの君が、夏休みの宿題をぎりぎりまで溜めこむ君が、あげくにネットで検索して適当にお茶を濁そうとする君が、今も鼻をほじりながらこの文章を読んでいる君が、できるかぎり労力と頭を使わずに書く方法。
これをお伝えします。
読書感想文を書く前に、まず先生の意図について考えてみましょう。
君の学校の先生は、どうして読書感想文なんてめんどくさい宿題を出したんだとおもいますか?
読書の習慣を身につけてほしいから?
気持ちを言語化する練習をしてほしいから?
読書を通して己の内面を深く掘り下げてほしいから?
どれも不正解です。
正解は「先生が何も考えていないから」です。
君は誤解しているかもしれないが、先生は何も考えていません。意図なんてないのです。
他の先生も出しているから。毎年出しているから。
理由はそれだけです。
前例にならうのはいちばん楽な方法です。何も考えなくてすむ。
君がめんどくさいのと同じように、先生もめんどくさいんです。
だから判で押したように読書感想文の宿題を出す。
これはとても大事なことです。
先生もめんどくさい。これをおぼえておいてください。
先生はめんどくさい。
だから君が読書感想文を書いて提出したとしても先生はぜんぜん読まない。だって面倒だから。
ぱらぱらっとめくって、そこそこきれいな文字でそこそこの分量を書いていることが確認できれば、それでよしとする。
とはいえ、まったく読まないわけではありません。
ふだんから国語の成績がよく、大人の喜びそうなことを書いてくれる子の感想文だけはそこそこ時間をかけて読みます。
そして、その中でいちばんマシなものを選んで読書感想文全国コンクールに応募するんです。
つまり。
宿題が出された時点でもう勝負はついているんです。
君たちのような夏休みの終わりになってあわててネットで「読書感想文 書き方」で検索するようなタイプは、読書感想文コンクールのスタートラインにすら立っていないのです。
悔しいですか?
悔しくない? そうでしょう。
ここで悔しさを感じて発奮するような子であれば、ふだんからちゃんと勉強しています。
読書感想文の感想を探してネット検索して、そのついでにネットサーフィンをしたりしません。
君たちが書いた読書感想文は、誰も読まない。
どうですか、気持ちが楽になったでしょう。
どんなに一生懸命書いたって、どうせ誰も読まない。
だったら一生懸命書く必要はない。
一生懸命本を読んだり、しっかりと構成を考えたりする必要もない。
自由に書いてかまわないんです。
とはいえ「自由に書く」のがいちばんむずかしい。
それができる子なら、一ヶ月も前に読書感想文を書き終わっていることでしょう。
だから具体的な書き方を教えます。
まず本を読む。
一冊全部読む。
全部読むのが嫌なら最後の一章だけ読む。なぜなら最後には重要なシーンがあることが多いから。
一部だけ読むのも嫌ならまったく読まなくていい。
表紙や裏表紙を観察する。
どんな絵が描いてあるか、どんなあらすじが書いてあるか、帯にはどんなことが書いてあるか。
で、気に入らない点を探す。
どんな些細なことでもいい。どんな身勝手な理由でもいい。
気に入らないことを探す。
「台詞がキザ」
「説教くさい」
「難しい漢字を使いすぎてて偉そう」
「表紙の絵がさわやかすぎてかえって鼻につく」
「値段が高い」
いくつも見つかりましたね。
そうなんです、他人がやったことにケチをつけるのはかんたんなんです。
現実味のある話であれば「平凡。よくある話」と言えばいいし、
非現実的な話であれば「リアリティに欠ける」と言えばいい。
どんなものにでもケチはつけられます。特別な知識も技能もいりません。
「この歌手、歌へただよな」と言っている人のうち、その歌手より上手にうたえる人がどれぐらいいるでしょうか。ほとんどいないはずです。
でもそれでいいんです。批判はタダですから。
逆に、褒めるのはむずかしい。
ひさしぶりに会った親戚のおばちゃんから「あら~、かっこよくなったわね~」と言われたことがありますね?
かっこよくなったと言われて、君はうれしかったですか?
べつにうれしくないですよね。おばちゃんの褒め方が適当だから。
誰にでもあてはまることをうわっつらだけで言っていることがまるわかりですから。
夏休み明けにひさしぶりに会ったクラスの女子が
「あっ、〇〇くん……。ひさしぶり……。あの、なんていうか……かっこよくなったね……」
と頬を赤らめながら言ってくれたらうれしいですけど、それは発言者・状況・言い方すべてが適切だからです。
誰にでもできることではありません。
でも「おまえきもいな」という言葉を言われたら、どんな発言者でも、どんな状況でも、どんな言い方でも不愉快です。
褒め言葉はなかなか届きませんが、悪口はかんたんに相手に届きます。
悪口のほうが称賛よりもずっとかんたんなんです。
読書感想文を書くのがむずかしいのは、本のいいところを書こうとするからです。
おもしろかったところ、胸を打ったシーン、心に染みるフレーズ、人生の指針となるメッセージ。
そんな「いいところ」をさがして、かつ第三者に的確に伝えるのはすごくむずかしい。
本を全部読んで、書かれていることを正しく理解して、裏に隠れた作者のメッセージ(そんなものがほんとうにあるのかわかりませんが)まで汲みとって、気持ちを整理して、客観的な言葉にして書く必要があります。
けれど「気に入らないところ」ならかんたん。
むずかしい文章、読めない漢字、冗長なシーン、不自然な会話、退屈な結末、不当に高い価格、変に気取ったポーズの著者近影、著者のいけすかない学歴……。
読書が好きじゃない君にも、いや、読書が好きじゃない君だからこそかんたんに気に入らないところを見つけることができるはずです。
あとはそれを原稿用紙に書くだけ。
書き方も自由。
全体の構成なんて気にする必要もありません。どうせ誰も読まないんですから。
おもいついたままに
「〇〇が嫌でした。□□が気に入りませんでした。××がなければもっといいのにとおもいました。△△なところが肌に合いませんでした」
と書けばいいのです。
嫌いな理由もいりません。
「批評」であればどこがどう悪いのかを的確に示す必要がありますが、君たちが書くのは「感想文」です。イヤだからイヤ、これで十分なのです。
ただひたすら悪口を書く。
ふだんからインターネットで悪口になれしたしんでいる君にとっては造作もないことでしょう。
そして最後に
「以上のように欠点もあったが、さまざまな感情を喚起してくれるという点では刺激的な本だった。この本に出会えたことを感謝したい。」
と一文つけくわえておけば完成です。
最後の一文はべつになくてもいいのですが、これは自分に対する免罪符のようなものです。
悪口だけで終わってしまうと、「おれってなんて嫌なやつなんだ」と自己嫌悪につながってしまうかもしれません。
最後にとってつけたような感謝の一文を入れて「いろいろイヤなこともいったけど、これは愛情の裏返しなんだよ」と自分に嘘をつくことで、自己嫌悪に陥らずに済むのです。
以上が、読書感想文嫌いの小中学生のための感想文の書き方です。
では最後までお付き合いいただいたみなさん、どうせ今から書いてもまにあわないとおもいますので、笑顔ではきはきと「すみません、宿題忘れました!!!」と言う練習、がんばってください!
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