2024年12月20日金曜日

【読書感想文】今和泉 隆行『考えると楽しい地図 ~そのお店は、なぜここに?~』 / おじさんは道が好き

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考えると楽しい地図

そのお店は、なぜここに?

今和泉 隆行(著)  梅澤 真一(監修)

目次
第1章 これも地図?いろんな地図をみてみよう
(地図マスターへの第一歩!どんなときにどの地図をつかう?他)
第2章 おぼえるときは地図をみながら!地図のやくそくごとを知ろう
(上下左右ってどっち?方位をつかって方向をしめそう他)
第3章 そこってどこ?地図を読む練習をしよう
(これでは会えない!ざんねんなまち合わせ他)
第4章 まちの歴史もみえてくる?地図から土地の特色を読みとろう
(地形を一気にかえるスーパーパワー!火山のすごさを地図から読もう他)
第5章 正解は人それぞれ!地図を読んで自分なりの考えをまとめよう
(もしこのまちに引っこすならどこに住みたい?他)

 空想地図作家(存在しない街の地図を空想で描いてる人)である今和泉隆行さんが子ども向けに地図のおもしろさを伝える本。

 問題(ただひとつの正解があるとは限らない)と解説がセットになっているので読みやすい。

 地図に関する幅広い内容を扱っているのでちょっと地図に興味がある、ぐらいの子どもにはちょうどいい内容かもしれない。

 今和泉さんのファンでありこれまでに何冊か著作を読んでトークショーを聴きにいったぼくにとってはほとんどが既知の内容だったけど……。



 地図は魅力的だ。ぼくは地図好きとは到底言えないレベルだが、それでも地図は楽しい。

 誰しも、近所の地図を描いて遊んだり、オリエンテーリングで地図を見ながら宝探しをすることに喜びをおぼえた経験があるだろう。

 地図がおもしろいのは、ありとあらゆることが地図につながっているからだ。

『考えると楽しい地図』では、地図のおもしろさを伝える問題をバランスよくとりそろえている。

 地図を見て、ラーメン屋を開くならどこがいいか、図書館を作るならどこが向いてるか、ここから見える景色はどんなのか、川や火口の近くにはどんな施設があるか、自分が江戸時代の藩主だとしてらどこに築城するのがいいか……。

 経済、歴史、行政、地学、軍事、法律、あらゆることが地図と密接に関係している。

 城下町は敵に攻めこまれにくくするために曲がり角が多いとか、江戸時代は家の間口が広いほど税が高かったので古い町は今でも細長い敷地が多いとか、地図を見ると昔の生活が浮かびあがってくる。


 以前、あるラジオで「おじさんは道の話が好きだよね」という話をしていた。

 車で□□に行く、という話をしているとすぐにおじさんが寄ってきて、それだったらどの道を通るのがいい、ここで高速を降りて下道を通ったほうが早い、と言いだす、という話だった。

 たしかに。世のおじさんには道好きが多い。今まで生きてきた中で蓄えてきたあれやこれやがみんな道につながるから、歳をとると道を好きになるのかもしれない。


 今和泉さんのトークショーの中で「より正確な地図を書くためには地形の成り立ちを知る必要があるからプレートテクトニクスを勉強している」という話があった。

 そうやってどんどん興味の幅が広がっていくのはすごく幸せなことだ。知に対する興味が衰えない人は一生楽しめる。


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