2024年5月31日金曜日

【読書感想文】北野 勇作『100文字SF』 / 坂が好き

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100文字SF

北野 勇作

内容(e-honより)
100文字SF、集まれ!新しい船が来たぞ。えっ、沈んだらどうしようって?馬鹿、SFが死ぬかよ。それにな、これだって100文字SFなんだ。北野勇作がそう言ってたろ。さあこの紙の船に、乗った乗った!

 ほぼぴったり100文字のSF短篇集。というかショートショート。

 SNSで発表されている1,000篇の中から200篇を選んだらしい。あのショートショートの神様・星新一氏の作品が約1,000篇だから、100文字という縛りで1,000篇もの作品を書くのはただただすごい。

 しかもクオリティも高い。




 気に入った作品を三篇だけ紹介。

 急坂にある商店街だ。商店街全体が少しずつずり落ちていくから、いちばん上には空き地ができる。そこに新しい店が入る。坂を下れば下るほど左右の店舗は古くなる。いちばん下がどうなっているのかは、誰も知らない。

 いいねえ。子どものような自由な発想。



 定期的に襲ってくる人食い巨大怪獣への対策として行われたのは人を巨大化する計画。誰かひとりが巨人となって戦う。勝てるんですか。勝てなくても、今回から食われるのはひとりで済むだろ。あんなに大きいんだから。

 きれいなオチ。アメリカンジョークのよう。



 水筒の中に何かがいる。口から覗いてみたら向こうもこっちを覗いていた。逆さにして振ってみたが水筒の内壁に手足を突っ張って出てこない。熱湯を入れても平気らしい。それならまあ、何も入ってないのと同じことか。

 ちょっと不快な余韻が残る。こういうのも好き。




 とはいうものの、一気に読んでいるとさすがに飽きてきた。

 いろんな作品があるとはいえ、200篇も読んでいると傾向が見えてくる。坂を扱った作品が多いなとか、またまわりオチか、とか。

 これはあれだな。一気に読まずに、寝る前にちょっとずつ読むとかがいい楽しみかただな。


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