2024年2月6日火曜日

高級腕時計の世界

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 少し前の『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0』で腕時計の話をしていた。

 高級腕時計が好きな村上さんが、腕時計にまったく興味のない野田さんに数百万円出してもなかなか買えない高級腕時計の話をしていたのだが、そこで野田さんが放った質問がおもしろかった。

「えっ、それだけ高いってことは……。もしかして、ゲームとかできたりする?」

 もちろんこれはボケだ。その後で村上さんに「そういうのはできない」と否定され、さらに「じゃあアラーム機能は?」とボケを重ねていた。

 子どもの質問のようなボケなのだが、意外と真理をついている。改めて「何百万円もする腕時計なのに数千円で買える腕時計よりも機能が上回っていないのはなぜか」と考えるとなかなか答えるのはむずかしい。


 ぼくも高級腕時計のことは知らないが、高級腕時計に「時を知らせる」以外の機能がついていないことは知っている。もちろん指す時刻が正確だとか、自動巻き機能がすごいとかはあるのだろうが、大したメリットとはおもえない。ほとんどの人はゼロコンマ数秒のずれなんか気にしないし、なんなら今は自動で時間をあわせる機能のついた時計もお手頃価格で買える。自動巻き機能だってそれがなに? って感じだ。数百万円の腕時計を買う人が電池代を惜しむとはおもえないし。

 機能面、実用性で考えたら高級腕時計はデメリットだらけだ。自動巻きなので数日使わなかったらずれてしまう。アラーム機能がない。日付も曜日もわからない。歩数計機能もない。重い。文字盤が読みにくい。なにより高い。

 三万円も出せば、自動時刻合わせ機能があって、防水機能があって、傷がつきにくくて、歩数計もついてて、アラーム(スヌーズや曜日別設定も可能)もあって、ストップウォッチにもなって、日付も曜日もわかって、心拍数も測れて、スマホと連動して通知機能もあって、文字盤も自由に変えられるスマートウォッチが買える。

 値段を伝えずに小学生に「どっちが欲しい?」と訊いたら、多くは三万円のほうを選ぶだろう。大人だってそうかもしれない。


 でも、現実問題として使いにくいほうの腕時計のほうが高い値がついている。

 腕時計に限った話ではない。服でも靴でも自動車でも料理でも、ある程度の価格までは価格に比例して機能も充実するが、一定の価格以上は機能と比例しない。「誰がつくったか」「誰が使っているか」「みんなが欲しがるか」など、機能とは関係のないところで価格が決まっている。五千円のシャツは五百円のシャツよりも質のいい生地を使っているだろうが、五万円のシャツが五千円のものよりいい生地を使っているかというと、必ずしもそんなことはない。

 つまりモノの価格には「機能や材料によって決まる価格(主に売り手の事情によって決まる価格)」と「機能や材料とは無関係の価格(主に買い手の事情で決まる価格)」の二種類があるわけだ。

 野田さんが言った「それだけ高いってことはゲームとかできたりする?」は前者の考えであり、村上さんの「高い時計だからそういうのはできない」は後者の考え方だ。どっちも部分的にはあっている。


 ちょっとしたボケだが、価格決定のメカニズムを問うやりとりだ。経済学の入門書に載せてほしい。


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