70歳のウィキペディアン
図書館の魅力を語る
門倉 百合子
ウィキペディアン(Wikipediaの編集者)をやっている70歳女性のエッセイ。
とはいえ、もともと司書や、会社員として資料整理の仕事などをしていたということで、これまでのスキルを十分に活かした上での活動。
この人は「誰でもウィキペディアンになれるんですよ。やってみませんか」ってなことを書いているが、これを読むかぎりでは「ずぶの素人が手を出すのはなかなかむずかしそうだな……」という気がする。
ぼくは毎日のようにブログに文章を書いている人間だが、それでも好き勝手にやっているから書けるのであって、「出典を明らかにするように」「出典は第三者が書いたものに限る」「事実と感想を切り分けて事実のみ書くこと」なんて制約をつけられたらちょっと気後れしてしまう。
まあそれが仕事であればやってやれないことはないとおもうけど、Wikipediaの編集は無償。書いた人の名前が売れることもないし、資料の検索や整理が好きでないとなかなかできることじゃないよな。
そういやずっと昔、ぼくがはじめてWikipediaなる存在を知ったころ(二十年近く前)、一度編集をしてみたことがある。
自分ではちゃんと書いたつもりだったんだけど、「根拠不明瞭」とかのコメントをいっぱいつけられて、心が折れてしまった。なんで好き好んで卒論みたいなことをせにゃならんのかと。
ただ自分で編集や執筆をやりたいとはおもわないけど、Wikipediaには常日頃お世話になっている。
もちろん問題はあるけれど、他のWebサイトに比べればずっと信頼のおける情報が手に入るし、なにより誰でも無料でアクセスできるというのはほんとにありがたい。
こういう人たちがいるおかげだよな。ひとりが書いているのではなく、複数の人たちが知識を結集して書いている、というのがWikipediaの最大の価値だとおもう。それによって中立が保たれやすいし、信頼性も増す。無償で知恵や労力を出しあうことをいとわない人たちが世界中にいっぱいいる、っておもうと、この世の中も案外悪いものではないなとおもえてくる。
とはいえ。
正直にいうと、この本、ぜんぜんおもしろくなかった。
う~ん、さすがはウィキペディアン。書かれていることが事実の羅列で、心の動きだとかこぼれ話だとかがまったくといっていいほどないんだよなあ。まったく知らない人の堅苦しい日記を読んでいるだけ。とにかく退屈。
これを読むんだったらWikipediaを読んでいるほうがずっとおもしろいな……。
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