ヒジはなぜ存在するのか。
今まで考えたことがなかった。
なるほど、これはなかなかの難問だ。
「で、なんて答えたんですか」
Mさん「ヒジがないと曲げられなくて困るでしょ、って」
「それは結果であって理由じゃないですね。回答として不正確だと思いますよ」
「それ、そばで聞いてた旦那にも同じこと云われた。うちの旦那も犬犬さんと同じぐらい理屈っぽいから」
「ほめ言葉として受け取っておきます」
「犬犬さんだったらなんて答えるんですか」
「遺伝子情報にヒジを作ることが組み込まれているから……」
「4歳児にそんなこと云ってもわかるわけないじゃない」
「じゃあ物語を作って聞かせたらどうですか。よくあるじゃないですか、塩の出る臼が海底に沈んで海の水はしょっぱくなりましたとさ、みたいなこどもだましの昔話」
「嫌な言い方だねえ。たとえばどんなの?」
「えーっとそうですね。
むかしむかし、人間の手にはヒジがありませんでした。
その頃の人は食べ物をつかんでも口に運ぶことができず、不便な生活を強いられていたのです」
「あ、なんかそれっぽい」
「あるときその様子を見ていた神様が不憫に思い、人間にヒジを授けたのです」
「うんうん」
「人間たちは大喜びしました。
これで自分の口に手が届くぞ!
それまで人間たちは、ペアを組んでお互いの口まで食べ物を運んであげていました。
ヒジができてからというもの、人々の暮らしは格段に便利になりましたが、同時に助け合いの精神が希薄になり、人心はどんどん荒廃してゆき、やがては曲がるようになった腕で弓矢や銃を持って互いの命を……」
「ちょっとちょっと! ほのぼのした昔話だったのに途中から急に殺伐としてる!」
「便利さと引き替えに精神的な豊かさが失われるという教訓のこもったいい話だと思うんですけどねー」
「却下」
いったいどう答えるのが正解なんだろう?
うちの妻にも訊いてみたところ、
「ヒジが何かの目的を持って作られたわけじゃなくて、曲がる部分がヒジと名付けられただけ。だからその質問自体がナンセンス」
というお答えが返ってきました。
うーん、科学の子。
ヒジの使い方 |
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