小さい頃は、こたつで寝てしまったら親に布団まで運ばれた。
運んでもらえるのはありがたいけど、布団に入ったとたん、布団の冷たさで起きてしまう。
まず布団を持ってきてこたつに入れてあたためて、よくあたたまった布団にあたしを入れて、しかる後に布団ごと運んでくれたらいいのに、と思っていた(自分が親なら、布団まで運んでやった子どもにそんな要求されたら戸外に放りだすけど)。
もう少し大きくなったら布団まで運ばれることはなくなったけど、「そんなとこで寝ないで布団で寝なさい」と言われるようになった。
聞こえないふりをして寝ていたら、こたつの電源を切られた。
あたしがグレて消しゴムを最後まで使いきらずに早めに新しいやつをおろすようになったのは、この悔しさがきっかけ。
だからあたしがひとり暮らしをはじめて最初の冬。
かねてからの念願だった、こたつで朝まで寝る計画を実行に移すことにした。
準備は周到に。
敷き布団をこたつの下に敷き、枕をセット。
熱すぎないよう、こたつの温度は最低。それでも喉がかわくことを予想して、手の届くところにお茶を配置。
こたつの上にはお菓子を並べ、寝たままでもテレビを観られるように軽く模様替え。
カンペキ。
で、結果は云うまでもなし。
こたつで寝たことある人ならわかると思うけど、夏場のアスファルトの上にへばりついてるミミズ状態。
こたつの温度を弱にしてるのにぜんぜん弱くない。強烈な強さはないのに、じわじわと攻めてくる。往年の貴ノ浪みたいな粘り腰。
そんで喉がからからになって目が覚めて、お茶を飲んで、電源をオフにする。
で、寒くて寝られない。
で、電源オン。
で、アスファルトミミズ。
で、電源オフ。
ずっとそのくりかえし。
アメリカ民主党と共和党みたいに、一晩中電源オンとオフが交互に政権とってた。
あたしのこたつが二大政党制。
次の日は眠さしかなかった。喜怒哀楽あらゆる感情が眠さにとってかわられた。
こたつの脚に四方固めきめられてて寝返りも打てなかったから、背中も腰も痛かった。
そしてあたしが学んだ教訓がひとつ。
こたつでの睡眠と 頻繁な政権交代は、国民を疲弊させるってこと。
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