2016年2月18日木曜日

【エッセイ】オオオオオオオペラ

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妻のお父さん(つまり義父)から誘われた。
「今度オペラを観にいこうと思うんだけど、よかったら一緒にどう?」


オオオオオオオペラ!?

オペラとミュージカルとバレエと能と歌舞伎の区別もついてないぼくが、オペラ……!?


そういやお義父さん、クラシック観賞が趣味だといっていたな。
そうか、そういう人はオペラを楽しむのか。
「今度、近くのホールに桂米朝が来るってよ! チケットとっといたから! その日は平日だからあんた学校休みなさい」と、息子に小学校をサボらせて半ば強引に落語に連れていったうちの家とは大違いだな。

クラシックも聴かないしオペラといえば怪人が出没するらしいという知識しかないぼくだけど(その知識もまちがってる気がする)、義父母とは良好な関係を築いておきたいし、何事も食わず嫌いはよくない。
一度行ってみたら意外と楽しめるかもしれない。

「へえ、オペラですか。いつやるんですか?」

 「8月だよ」

「けっこう先ですね」

 「そう。ドイツの田舎町にいいオペラハウスがあるんだけどね。そこを作った作曲家が8月に生誕100年を迎えるんだ。その記念公演があるから……」

「ちょっと待ってください。ドイツの田舎町に行くんですか……!?」

 「そう。ほんとに何もない町だけどね。でもいいホールだってオペラ界では有名なとこなんだよ」

「ってことはドイツ語でやるんですよね……?」

 「そりゃオペラだからね。日本公演でも日本語ではやらないよ」


クラシックも聴かないのに、ドイツで、田舎町で、オペラ界で有名なホールで、ドイツ語で、しかもお義父さんと……。
初心者にはハードルが高すぎるっ……!


「すみません、8月はちょっと仕事が忙しい時期なので。せっかくですけど……」

 「そうか。残念だけど、仕事ならしょうがないな」

「ええ、ぼくも残念です。また誘ってください。できたら落語かストリップとかのときに……」


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