真を撮り逃したことが残念でならないのだが、どん兵衛を食いながら自転車に乗っているおっちゃんを見た。
左手にお湯の入ったどん兵衛、右手に割り箸を持ち、両肘でハンドルを支えながらふらふらと大通りを走っていった。
その状態でどうやって食うのだろうと注目していたが、やはり肘だけでバランスをとるのがせいいっぱいのようで、ぼくが見ていた限りでは一口も食っていなかった。
ま、そりゃそうだろう。
無理に決まっている。
だから先ほど「食いながら」と書いたが、「今にも食いそうな気配を漂わせながら」というのが正確な表現だ。
それにしても、急いでいたのだろうけど、どうして自転車に乗りながら食おうと思ったのだろう。
立ち止まって食って、食いおわってから走るほうが絶対に早いだろうに。
それよりなにより。
自転車で走りながら食うのに、どうしてどん兵衛を選んだのか。
もっとあるだろう。
ほら、おにぎりとかパンとか、片手で食える軽食が。
おっちゃんに問いたい。
誰しも一度は聞いたことのある「サンドウィッチ伯爵が食事の時間も惜しんでトランプをやるために~」という逸話から、あなたはいったい何を学んだんですか!
まさか「それぐらいトランプは楽しい」という教訓しか引きだせなかったんですか!?
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