前屈で手のひらを地面にべったりつけることができるし、脚を180度開脚して胸を地につけることができる。
たまにこの特技を人前で披露することがある(ズボンのお尻が破けるのでゆったりしたズボンのときだけだが)。
たいていの人は「うわっ、すごい!」といった驚きの反応を見せてくれるが、中には、
「で、それが何の役に立つの?」
なんて言葉を吐いたりする。
自分でやろうともせずに他人を否定することはたやすい。
深く考えもせずに「何の役に立つの?」なんて言う人間には、こう言ってやりたい。
「そう、何の役にも立たないんですよ」
本当に、少しも役にも立たない。まじでまじで。
『金田一少年の事件簿』に、ズボンのポケットに入っていたほこりを使って火をつけるシーンがあった。
だからぼくの身体が柔らかいことは、ポケットのほこりよりも役に立たない。身体が柔らかくても火はつかない。
もしぼくが体操選手やバレエダンサーだったら、身体が柔らかいことはプラスにはたらいただろう。
また、もしぼくがAV女優だったなら、そういうジャンルの作品に出演することができて、仕事につながっただろう(女性の方には信じられないかもしれないが、ほんとにAVには『軟体もの』というジャンルが存在するのだ)。
でもぼくの柔軟性は1円にもならない。
こないだ整体師と話したときに
「ぼく、すごく身体が柔らかいんですよ。でも何の役にも立たないんですけどね」
と云ってみたら
「でしょうね」
と一蹴された。
人体を知りつくした整体師から太鼓判を押されるほどの役立たずなのだ。
しかしぼくはまだ、この柔らかさを活かすことをあきらめたわけではない。
あきらめてはいけない。
『SLAM DUNK』の安西先生も言っているではないか。
「シュート2万本です」と(そっちかい)。
ある種の鳥は、羽の色鮮やかさで異性を惹きつけるかどうかが決まるという。
またある種の昆虫は、大きな声で鳴く個体に魅力を感じるのだという。
だからぼくは期待する。
死んだ後、身体の柔らかいやつほどモテる生き物にうまれかわることを。
そのためには、この柔軟性を死後の世界へと引き継がなければならない。
だからお願いです。ぼくが死んだら脚を180度開脚した状態で棺おけに入れてください!
ぼくは柔軟性を墓場まで持っていくつもりなんです!
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