知人から聞いた、結婚指輪にまつわる素敵なストーリー。
彼が社員旅行で東南アジアに行ったときのこと。
夜、お酒でも飲みに行こうと歩いていると、現地の男がなれなれしく肩を組んできた。
「いいお店があるよ」とつたない日本語で話しかけてくる。
「いらない、いらない」と答えていると、向こうから歩いてくる男と軽くぶつかった。
しばらくして、客引きの男は立ち去った。
ふとポケットを探ると、財布がなくなっている。やられた!
男が話しかけてきて気をひいている隙に、反対側から来る男が財布をスるというチーム犯罪だったのだ。
不幸中の幸いで、彼の財布に入っていたのは所持金の一部だけで、残りはホテルの鞄に入れていたので無事だった。
しかし彼にとって困ったことに、財布には結婚指輪を入れていた。指輪ごと財布をスられてしまったのだ!
ここで疑問に思う人もいるだろう。
なぜ指輪をわざわざ財布に入れていたのか?
なぜなら、彼は女の子がいるお店に飲みに行こうとしており、女の子にもてようと結婚指輪を外していたのだ。
帰国して、奥さんに対して「指輪をスられた」とは言えない。
がっちり指にはまっている指輪はスられたりしないからだ。
かといって指輪を外していたと言えば、なぜそんなことをしたのか問い詰められることになる。
そこで彼は、
「刃物を突きつけられて暗がりに連れていかれ、金目のものを要求された。指輪もよこせと言われ、これは愛する人との誓いの証で大事なものなので勘弁してくれと言ったが、だったら命を奪うと言われて、愛する妻に申し訳ないと思いながらも泣く泣く強盗に手渡してしまった」という素敵なストーリーをつくって、奥さんに説明したそうだ。
これが、ぼくが知人から聞いた、結婚指輪にまつわる素敵なストーリー(嘘の言い訳)。
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