
読書感想文は随時追加中……
読書感想文リスト
夜会主催者「今回の生贄はこちら……」
メーカー社員たち「Word……!?」
夜会主催者「君たちにはこの文書作成ソフトを使って、原価管理表を作ってもらう……」
メーカー社員たち「めちゃくちゃだっ……!」
美容院で散髪後に「後ろこうなってます」と手鏡を見せられるが、自分の後頭部を見るのは「散髪直後」だけなので比べるものがない。いいのか悪いのかわからないから、「こうなってます」と言われても「はあ」としか言いようがない。
散髪前にもちゃんと「切る前は後ろこうなってます」と見せてほしい。
娘と茨城県の話になったとき、「茨城県って犬の形やろ?」と言われた。
「ちがうよ、犬の形の県は千葉県やで。チーバくんの形やろ?」
「茨城も犬って習ったで」
調べてみたところ、千葉県も茨城県も犬の形に似ていると言われているらしい。さらに、神奈川県や岐阜県も犬の形をしていると言われているらしい。
しかしいずれも「そこに犬を見いだそうとすれば見えないこともない」レベルだ。人はどんなものにも犬の形を見出してしまう生き物なのだ。
だが、「犬の形に似ている」と挙げられている自治体の中で、東京都日野市だけはどこからどう見ても犬だった。
![]() |
日野市 |
もはや「犬市」にしてもいい。
少女漫画雑誌『りぼん』に連載されていた漫画で、最も売れているのは『ちびまる子ちゃん』で3200万部だそうだ。2位の『ときめきトゥナイト』は2800万部 であるが、現在もテレビアニメを放送されている『ちびまる子ちゃん』のほうが今後も売れる可能性が高いだろうから、この差は開いていくとおもわれる。
『ちびまる子ちゃん』は『りぼん』で最も売れた漫画であり最も有名な漫画だが、『りぼん』を代表する漫画かと言われるとそれはちょっと違う気がする。
『ちびまる子ちゃん』は『りぼん』の中ではかなり異色な作品である。恋愛要素がまるでないし、絵も下手だし、美少女も美男子も出てこない。はっきり言えば『りぼん』っぽくない。邪道が王道を抑えて一位になってしまったのだ。
蕎麦屋がカレーを出していたら一番の人気メニューになってしまったようなものだ。
邪道がいちばん有名になってしまった例としては、他に水がある。
そう、あの水だ。H₂O。
水はダントツで有名な液体だ。「液体を思いうかべてください」と言われれば、99%ぐらいの人が水または水溶液を思いうかべるだろう。雨も海も川もお湯も泥水もお茶もコーラもビールもワインもほとんど水だ。エタノールとかベンゼンを最初に思いえがく人はほとんどいない。
でも水は液体としては異端だ。固体になると体積が増えるとか、0℃から4℃までの間は温度を下げると体積が縮むとか、いろいろと変な性質を持っている。
水は決して“代表的な液体”ではない。王道じゃない。たまたま時代にあったから売れただけ!
小林一三(1873~1957年)の評伝。箕面有馬電気軌道(今の阪急電鉄)、阪急百貨店、宝塚歌劇団、東宝などの創業者であり、鉄道事業の運営と周辺の都市開発や商業施設の経営などの手法は、後の鉄道会社の運営にも大きな影響を与えている。
小林一三氏は鉄道会社が沿線の不動産開発をおこなったり駅ビルを運営したりして利用者の満足度を高めつつ路線価を高めるという画期的な手法を確立した。どれぐらい画期的かというと、みんな真似して今ではあたりまえになって画期的には見えなくなった。それぐらい画期的だった。
明治時代、大阪の人口は急速に増えており、住宅事情は悪かった。
そこで小林一三氏は中産階級(サラリーマン階級)にターゲットを絞り、大阪近郊に住み心地の良い住宅地を供給すれば必ず売れると踏んだのである。
小林一三氏は箕面有馬電気軌道創業前に銀行員として十五年ほど勤務している。この経験があるからこそ、サラリーマンたちの求めているものがよくわかったのだろう。
目を見張るのは、当時の箕面有馬電気軌道の路線はほとんどが田畑が広がる田舎だったことである。その頃近くにあった阪神(大阪ー神戸)や京阪(大阪ー京都)が大都市間を結ぶ鉄道であったのと対照的だ。そのため採算がとれないのではないかと予想されていたという。
だが小林氏はそのデメリットをメリットに変えた。沿線が田舎ということは地価が安いということである。周辺の土地を買収して、それを住宅地として販売することで増収につなげた。鉄道事業としてはマイナスでしかない「ガラアキ電車」も、沿線に住宅を購入しようとする人にとってはプラスになる。鉄道運賃で利益が出なくても、他の事業で収益を挙げればいいと考えたのだ。
さらに当時めずらしかった住宅ローンでの販売を導入した。
今ある市場で勝負するのではなく、ない市場を生みだす。相当先見の明がある人でないとできないことだ。
小林一三氏は人口学に基づいた考え方ができる人だったようだ。それを物語るエピソードがいくつも紹介されている。これからはこれぐらい人口が増える。するとこれぐらいの需要が生まれるのでこのぐらいの価格帯の商品を提供すれば年間の売上がこれぐらいになる。こうした計算をやっていたようだ。
著者の鹿島茂氏は「人口学は未来をかなり正確に予測できる学問だ」と書いている。たしかに。戦争とかジェノサイドとか大量の難民発生とかがなければ、50年後の人口はだいたいわかる。
他にも小林一三氏はあの手この手で電車との相乗ビジネスを成功させた。言わずと知れた宝塚歌劇団、劇場、ホテル、高校野球選手権大会(第一回は阪急沿線の豊中球場で開催。後にライバルである阪神の甲子園球場に奪われることになるが)、プロ野球チーム(阪急ブレーブス)、名門大学の誘致など、次々に「阪急」ブランドを高めることに成功した。
ぼくは阪急沿線で生まれ育ったので身びいきも入っているのだが、阪急は上品だ。客層がいい。身なりもいいし、みんな静かに座っている。特に阪急今津線なんて閑静な住宅地と名門大学とかお嬢様学校とか宝塚音楽学校とかが沿線にあるので、なんとも優雅な雰囲気が漂っている(今津線に乗るとよく未来のタカラジェンヌの姿を見ることができる。みんな姿勢がいいし運転士にお辞儀をしているのですぐわかる)。会話をしている人もみんな物静かだ。
それも、創業当初から中産階級をターゲットにしてきたからなのだろう。住民の生活レベルを引き上げることを目指した小林氏の取り組みが見事に成功している。
感心するのは「儲けすぎないようにする」という精神があふれていることだ。「儲けすぎない」を示す逸話が、この本の随所にあふれている。
もちろん金儲けは考えるが、それと同じくらい「人々の暮らしを良くすること」を大事に考えている。小林一三氏が特異だったのか、それともこの時代のエリートはこのような意識を持っていたのか。
今の時代にこういう考えをする経営者は絶滅危惧種だろうな。経営者が「儲けすぎないように」と考えていても株主がそれを許さないだろうし。
小林一三という人は、まちがいなく日本人の暮らしを良くした人だった。彼がいなければ、日本はもっと階層社会だったかもしれない。
なぜ彼は次々に革新的なビジネスで人々の暮らしを塗り替えることができたのか。逆に言えば、なぜ今の経営者にはそれができないのか。
うーん、今後の日本でこういうスタンスを継続できる大企業が生まれる可能性は低いだろうなあ……。
いい評伝でした。小林一三氏は未来をかなり正確に見通せていた人だったんだなと感じる。
プラスチックはなかなか自然には分解されないそうだ。数百年たてば紫外線によって分解されるらしいが、土の中など紫外線があたりにくい場所であれば何千年も残ってもおかしくない。
千年後の考古学者が千年前(つまり現代)の人々の暮らしぶりを想像するときに、プラスチックは大きな手掛かりになるはずだ。自然界にはないものだから、プラスチックが多く出土する場所は確実に人々が暮らしていたはず。貝殻が残りやすいので貝塚が昔の集落を知る手掛かりになるのと同じように。
プラスチックについた色や絵も残るのだろうか。
残ってほしいな。そしたらそれも、人々の暮らしを未来に伝えるための重要な情報源になる。
プラスチックって子ども向けの製品が多いから、特に子ども向け文化が未来に伝わりやすい。
未来の考古学者は、出土したプラスチック製品に描かれたミッキーマウスやハローキティやリラックマを見てどんなことをおもうんだろう。
「これは当時の人々が信じていた神様の姿ですね。当時はアニミズム信仰がさかんで、ネズミやネコやクマの姿に神聖なものを感じていたのでしょう。これらの食器は神にさ捧げる供物を載せるのに使われていたのでしょう」なんてことを言うかもしれない。
そんなことを想像すると楽しい。
はっ、待てよ。
ってことは、今我々が数千年前の出土品や壁画を見て「これは神々への祈りのためにつくられたものです」なんて言ってるのもまるで見当違いで、あれは当時の人気キャラだったんじゃないだろうか。
モアイなんて、今のくまモンみたいなものでイースター島のご当地ゆるキャラだったのかもね。