2026年7月30日木曜日

【読書感想文】高水 裕一『宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう』 / 太陽が2つ以上ある惑星のカレンダー

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宇宙人と出会う前に読む本

全宇宙で共通の教養を身につけよう

高水 裕一

内容(e-honより)
宇宙で本当に必要な教養とは?もしも宇宙で知的生命と会話をすることになったら、あなたは自分のことをきちんと説明できますか?出身地や身体の組成など、相手はいろいろ聞いてきます。宇宙の平均より文明が遅れている可能性がある地球人は、それらにどう答えればよいのでしょうか?さあ、ちゃんとした宇宙人への第一歩を踏み出すために、宇宙標準の科学を知って宇宙偏差値をアップさせよう!

 講談社ブルーバックス。

 宇宙人とのファーストコンタクト(どうやってコミュニケーションをとるか、未知の言語をどう解読するか)的な話かとおもったら、その先の話、つまり宇宙人とコミュニケーションがとれるようになったときにどんな話をすればいいか、という本だった。うーん、ぼくが生きている間は使うことはなさそうだな(ファーストコンタクトもないだろうけど)。

 要するに「地球以外の星や宇宙のことを知ろう」が内容なのだが、それだとあまりにとっつきにくいから「宇宙人と仲良くなるためには地球と他の惑星・衛星の違いを知っておかなくちゃいけないよね」という切り口で小説仕立てにしている本だ。

「日本と諸外国の地理的比較」だと難解だから「海外旅行の前に読む本」というタイトルをつけた、みたいな感じだね。



 太陽の個数について。

 ぼくらは太陽は1つだけだとおもっているけど、ぼくらのいる太陽系がたまたまそうなっているだけで、宇宙規模で見ると太陽が1つしかないのはむしろ少数派なのだという。2個、3個の恒星を持っている惑星のほうが多いそうだ。

「地球の特殊さは、太陽が1つしかないことだけじゃない。地球には月も1つしかない」
 ああ、たしかに。太陽系のほかの惑星がもっている衛星の数をみると、水星と金星はゼロですが、火星は2個、木星は2個、土星は3個、天王星は27個、海王星は14個(今後も観測によって増える可能性あり)と、衛星が1個しかないのは地球だけです。なんと地球は太陽系でも「変わり者」だったのです!

 太陽と月がそれぞれ1つしかないことがキリスト教、ユダヤ教、イスラム教など唯一神を信仰する宗教が多い理由ではないか……と著者は書いている(ただぼくはそれはちょっと無理があると思う。地球上にも複数の神を信じる文化はたくさんあるので)。


 我々の暦は1つしかない太陽や月の見え方をベースにしているが、太陽が複数ある星ではまた別のカレンダーを使っているはず……という話はなかなかおもしろい。

 別の銀河のカレンダーがどうなっているかなんて考えたこともなかったから(たぶんこの先も考えないだろう)。


 そして100億年後の地球のカレンダーについて。

「さて、現在の月は、毎年約4cm、地球から遠ざかっている。地球人の手の爪が伸びる速さともいわれている。微々たるものに思えるが、それにしたがって自転速度も少しずつ遅くなり、1日の長さが少しずつ長くなっていく。何億年もすれば25時間、26時間となる。一日でやれることが増えてラッキーなんて言ってられるのはそのあたりまでだ。100億年後に、同期化による速度移動が完了して地球と月の回転速度が同じになると、一日はなんと約1200時間になる。もう日雇いの仕事などやっていられない。このとき、月はまだ地球の周囲をゆっくりと回っていて、地球の自転速度とほぼ同じになる。つまり1ヵ月=1日となり、1年はわずか7日程度になってしまう。さらに時間がたつと、月は完全に地球の重力的影響下から離れて、新しい第4惑星となり、太陽を中心に円運動を始める。そしてカレンダーからは『月』の表記が消える」

 はっはっは。100億年後の心配はしなくて大丈夫だろう。どっちにしろ今のようなカレンダーは使っていまい。




 そもそもは地球でも、生物が左右対称であることは普通ではなかったようです。ではどうだったかといえば、ある点を中心に180度回転しても同じ形になる回転対称のような形の生物や、中心の点から足が放射状にいくつも伸びているような放射相称の生物などがいました。現在も、ウニやヒトデなどの仲間にそういう生物が見られます。しかし地球では、ある事件を境にして、左右対称の生物が圧倒的に優勢になりました。それが約5億5000万年前に起こった「カンブリア紀の大爆発」です。このとき、それまでの生物の
 ほとんどは絶滅し、新しいタイプの生物が一気に地球を席巻しました。現在の地球生物のほとんどはこのときに出現したものです。そして、その多くは左右対称だったのです。

 動物の身体はほぼ左右対称であることがあたりまえだとおもっているけど、別に左右対称でなくてもいいわけだ。植物なんかは自由気ままに枝を伸ばしてるしな。

 そういえば、自動車とか電車とかもみんなボディは左右対称だ。あれこそ非対象でも良さそうなものだけど。タイヤさえ対称形であれば他は非対象でもまっすぐ進むもんな。地球人が「動くものは左右対称でなければいけない」という思い込みにとらわれているせいかもしれない。


「あれ、時計が逆回りになっていませんか?」
「え? 私たちの惑星ではこれが普通ですよ」
 時計の針が回転する方向は、少なくとも地球では、日時計の名残をとどめています。かつて使っていた日時計は、太陽の光を受けてできる影が回転することで時間を表していました。その回転方向と同じ方向に針が回転するように、地球の時計はつくられたのです。
 しかし、「時計の針が右回りなのは、日時計の影が右回りだった名残」と説明するのは大問題です。理由はわかりますよね。そう、これは北半球での話で、南半球では日時計の影は逆に左回りになるからです。こんな説明をすると南半球の人から猛クレームを受けそうです。地球の時計が「右回りしかない」のは、時計を最初につくったのが北半球の文明だったからです。「ということは、地球の時計の針が右回りなのは、地球では比較的、北半球の文明が先に発達-たことの間接的な証拠とも言えるのかもしれませんね。そんなこと、気づかなかったなあ」

 時計の針が右回りなのは、地球限定どころか、北半球限定の常識なのだ。南半球の日時計は逆回りだし、もっといえばもしも赤道直下の日時計が元になっていれば時計は円ではなく直線的な形をしていたはずだ。

 我々が常識だとおもっていることがいかに地球限定、太陽系限定の常識にすぎないかということを思い知らされる。地球外生命体とふれあわないかぎりはそれで何の問題もないんだけど。


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