2026年3月30日月曜日

【読書感想文】福川 裕一(監修)『超入門!ニッポンのまちのしくみ 「なぜ?どうして?」がわかる本』 / 超高層ビルは建てられるけど建てない

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超入門!ニッポンのまちのしくみ

「なぜ?どうして?」がわかる本

福川 裕一(監修) 淡交社編集局(編)

内容(e-honより)
なぜ都会の真ん中には高いビルが集まっているの?町はどこまでが都会で、どこからがそうじゃないの?ビルの頭が同じくらいの高さでナナメに切られているのはなぜ?神社やお寺ってコンビニより多いってホント?なんで日本の町は電柱・電線だらけなの?雨ってどこに流れていくの?…チャット形式でサクサク読める!

「まちのしくみ」についての入門書。

 都市工学に関する本を読んでみようとおもって手に取ったのだが、あまりにも入門書すぎた。小学生向けぐらいの内容。



 高さ数百メートルを超える超高層ビルが日本にほとんどないわけ。日本は地震が多いからだとおもっていたけど、実は技術的には地震に耐えられるような超高層ビルも建てられるんだそうだ。

「いや、実は超高層ビルはそんなに効率は良くないんだ。
その土地に建てられる建物のゆかの広さは、都市計画っていうルールで上限が決まっているからね。
それに考えてごらん?
超高層ビルに人がたくさん集まったら、移動のためのエレベーターもたくさん必要になる。
つまり、高くなればなるほど、エレベーターをつくるスペースもたくさん必要ってわけ。
だから結局のところは、広い土地がいるってことなんだ。」

「そっか。じゃあ、世界の超高層ビルはなぜ建てられたんですか?」

「それはね、「新しい町のシンボル」としてつくられることが多いんだ。
これから開発する場所だから、きびしいルールがない場合も多い。
日本はある程度開発された町が多いだろう?
だから、いろいろな法律で「してはいけないこと」が決められている。
たとえば飛行機のじゃまになるビルは、空港近くに建てられない。
日本は若い人が少なくて年寄りが多い、発展途上国の真逆の、成長しきった国だ。
そこに高いビルを競ってつくる必要があるのか、新しい建物がそんなに必要なのか、っていうことが、そこまで高いビルがない理由のひとつだと思うよ。」

 なるほどねえ。超高層ビルを建てるメリットがあんまりないのか。

 超高層ビルを建てても土地面積によって総床面積(すべてのフロアの床面積の合計)は決まっている。土地を広げれば総床面積も広げられるが、都心に広い土地を確保するのはむずかしい。かといって田舎に超高層ビルを建ててもしょうがない。

 エレベーターのスペースが多く必要になるから実際に使える床はさらに狭くなる。防災設備も多く必要になるし、高いビルは移動に時間がかかるなど利用者にとっても不便なことが多い。タワマンも決して住みやすいとは言えないらしいし。

 高すぎる建物には「目立つ」「見晴らしがいい」ぐらいしかメリットがないわけだ。

 だからこそ国力を見せつけるために建てたりするんだろうけど。クジャクが派手な羽を広げるのといっしょだね。あんまりメリットがないからこそ、そんな建物を建てるぐらい余裕があることを示すためことができる。



 この本に書かれているのは長く生きていたら自然と耳にするような知識がほとんどだったけど、知らなかったのはアルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)という観光地の形態。アルベルゴ・ディフーゾとはイタリア語で「ちらばっている宿」の意味だそうだ。

「早くから空き家が問題だったイタリアの取り組みで「町全体がホテル」だって考えるようにした。食事は町のレストラン、お風呂は近所の温泉、泊まるところは空き家を改造した宿というように、お客さんが町の中を動くことで、町にお金が落ちて、町全体を活性化させようって発想なんだ。
日本でも「分散型ホテル」って名前で、まちぐるみで客をもてなしているところがあるんだよ。」

 なるほど。これは楽しそうだ。温泉街とかって独特の雰囲気があってけっこう好きなんだよね。

 ぼくは海外旅行に行ったときはなるべく現地の人と近い暮らしをしたいんだけど、ホテルに泊まってるとそれはむずかしい。地元スーパーとかに行っても調理手段がないからお菓子ぐらいしか買えなかったり。かといってホームステイとかはいろいろ気苦労も多そうだ。

 こんなふうに「町全体が宿」だと、ホテル宿泊客と現地の人の中間ぐらいの生活ができそうだ。

 調べたら、岡山県矢掛町や長崎県平戸市など、日本でもアルベルゴ・ディフーゾの取り組みは始まっているらしい。行ってみたいなあ。

 ただ、日本に定着させようとおもったら「アルベルゴ・ディフーゾ」ってネーミングはよくないとおもうぞ。言いづらすぎる。

「散宿」みたいに短い言葉じゃないと定着しないぜ。


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