facebookには「今日は○○さんのお誕生日です」と通知してくる機能があるが、あのシステムを作ったやつは誕生日を祝ってもらう喜びをまったくもってわかっちゃいない。
誕生日おめでとうと云われることがうれしいんじゃない。
ぼくみたいな人間の誕生日を覚えてくれていたことがうれしいんだ。
カレンダーを見て、ほんの一瞬でもぼくのことを思い出してくれたことがうれしいんだ。
facebookの全自動誕生日通知システムは、その喜びをぶちこわしにしてしまった。
誕生日おめでとうメールをもらっても「あーfacebookに云われたから義務的にやってくれてるのね」としか思えなくなってしまった。
こういう“便利な”機能が追加されていくと、近いうちに
「昨日Aさんが髪を切りました。今日会ったら『髪切った?』と云ってあげましょう」
「Bさんはダイエットに成功しました。『やせたんじゃない? きれいになったね』と云うべきです」
なんて指令がfacebookから届くようになる。
なんて“便利な”世の中なんだろう。だって誰もぼくのことをいちいち覚えていなくていいんだもの!
ぼくがどこに住んでいるのか、どんなものが好きなのか、どんな顔をしているか、最後に会ったのはいつだったか。いちいち覚える必要はない。必要に応じて検索して情報を取り出せばいいんだから。
「あぁ、寒いほど独りぼっちだ!」
そんなふうに世をはかなんで震えていたときに、久しぶりに会った旧友がぼくに云う。
「あれおまえ、髪の毛うすくなったんじゃない?」
ああ。
なんてことだ。
ぼくに関心を持ってくれている人がまだいたなんて。
ちがうんだ。
謝らないでくれ。
ぼくが泣いているのは傷ついたからじゃない。
うれしくて泣いてるんだ!
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