2020年2月13日木曜日
気の毒な苗字
ぼくの苗字はごくごくありきたりの苗字だ。
日本の多い苗字トップ10に入っている。
めずらしい苗字にあこがれたこともある。
星野とか桜井とか月島とかの美しい苗字がうらやましい。
しかし「苗字をランダムに変えられるボタン」があってもぼくは押さない。
今より悪い苗字になるのが怖いからだ。
親が様々な想いを込めてつける名前とちがい、苗字は「なんでこんなのにしたんだろ」とおもうものがちょこちょこある。
その苗字で生きている人には悪いが、毒島とか大尻とか。
毒島なんて漢字もひどいし読みも「ぶすじま」で二重苦だ。つくづく「毒島じゃなくてよかった」とおもってしまう。ごめんやで。
江口とか。
ぜったいに小学生のときのあだ名は「エロ」で確定だもんな。
大学生のとき、同級生に田尾さんという女の子がいた。
田尾さんはあまり字がきれいではなく、漢字のヘンとツクリが離れてしまう、横に間延びした字を書く人だった。
あるとき友人のひとりが、左右離ればなれになった「尾」という字を見て「田尾さんの毛がはみでてる」と云った。
ぼくは大笑いしながら「名前が田尾じゃなくてよかった」とおもった。
前の会社に毛尾さんというおじいちゃんがいた。
苗字に毛がふたつも入っている。
当人は少し薄毛で、ぼくは毛尾さんに会うたびに「名前はあんなにふさふさなのに」とおもっていた。
もちろん口に出したりはしない。いい大人なので。
でもこれからも江口さんに会えば心の中で「エロ」と呼んでしまうだろうし、大尻さんに会えばこっそりお尻の大きさを観察してしまうのだ。
2020年2月12日水曜日
喪服のバラ売り
仕事で付き合いのあった方が亡くなくなり、お通夜に参列することになった。
葬儀なんて何年ぶりだろう。
ありがたいことに知人の死とはほぼ無縁の人生を送っている。親戚以外の葬儀に出席するのははじめてだ。
たしか喪服があったはず。ついにこれが役に立つ日が……。
あれ。
喪服はある。ジャケットだけ。ズボンがない。
ズボンだけがない。
衣装棚の服を全部調べた。ない。喪服のズボンだけがない。
そんなことあるか?
こないだ着たのいつだっけ。わかんない。喪服なんてめったに着ないから思い出せない。一度か二度しか着てないのに。
この喪服は、高校を卒業するときに母が買ってくれたものだ。
「こういうのが必要になるときも必ずあるから」と云って、数珠や袱紗と一緒に“葬儀セット”を買ってくれた。
さすがは母親だ。
息子が「こういうの」を自分では買わないことをちゃんとわかっているのだ。
もしものときに備えて買っておくなんてことはぜったいにしないし、いざ「必要なとき」になっても
「喪服買わなきゃいけないのか……。黒っぽいズボンとシャツじゃだめかな。なるべく文字が入ってないやつで」
とおもうか
「別の葬式と重なったことにして『葬式の先約があるんです』と云って行くのやめようかな」
と考えるかで、いずれにせよめんどくさいことから逃げようとする人間だということを、母はちゃんと理解しているのだ。すごいなあ。
その、母が買ってくれた喪服のズボンだけがない。
クリーニングの袋には入ってないから、クリーニングに出したわけではない。なによりぼくの性格的に、目に見えて汚れたわけでもないのにクリーニングに出すなんて面倒なことをするわけがない。
いつなくしたんだろう。喪服のズボンだけがどこかに行くなんてことあるだろうか。
前回お葬式に出たときに、ズボンを履かずに下半身パンツ丸出しで帰ってしまったとしか考えられない。
きっとどこかの葬儀場のトイレの中だ。我ながらうっかりさんだなあ。ウケる。
しかし、ないものを嘆いてもしかたがない。
問題は明日のお通夜をどうするか、だ。
時間はあるから、買いに行くことはできる。家から徒歩五分のところに紳士服屋もある。
さすがに結婚して子どもも持った今となっては「黒っぽいズボンと黒っぽいシャツ」というわけにはいかない。
でもなあ。
ジャケットはあるんだよなあ。
両方なくしたんなら潔く買い替えるんだけどなあ。
ジャケットは一回かニ回しか袖を通してないから新品同様なんだよなあ。ぼくは十八歳のときから体型も変わってないからまだ着られるんだよなあ。
このジャケットを紳士服屋に持っていって「これにぴったりのズボンください」って言って買えるのかなあ。むりだろうなあ。喪服のバラ売りやってないだろうなあ。
試しに他のスーツのズボンをあわせてみる。
いちばん黒っぽいの。
うーん。
やっぱりちょっとちがう。喪服は漆黒だけど、スーツは黒といってもちょっと明るいんだよなあ。
妻に訊く。
「これ、上下ちがうってわかる?」
「んー。明るいところでよく見たらぜんぜんちがう。でもまじまじと見なければ気づかないかも。敏感な人なら気づくかもしれないけど」
おお。
なかなかいい手ごたえじゃないか。
これならごまかせるかも。
そうだよな。よく見なきゃ気づかないよな。
それにお通夜って夜だしな。葬儀場って祭壇以外はそんなに煌々と照らさないしな。
うん、いける。
しかも黒ネクタイとか数珠とかの「葬儀セット」はちゃんとあるしな。そっちに目が行くしな。
そもそも誰も「この人喪服の上下そろってなくない?」なんて疑いもしないだろうしな。
よし、これでいこう!
大丈夫だ!
そして翌日。
喪服のジャケットと黒っぽいスーツのズボンでぼくは出かける。
そして玄関先で気づく。
真っ黒の靴がない。
まあこの黒っぽい靴なら……。黒というかダークブラウンだけど……。
葬儀なんて何年ぶりだろう。
ありがたいことに知人の死とはほぼ無縁の人生を送っている。親戚以外の葬儀に出席するのははじめてだ。
たしか喪服があったはず。ついにこれが役に立つ日が……。
あれ。
喪服はある。ジャケットだけ。ズボンがない。
ズボンだけがない。
衣装棚の服を全部調べた。ない。喪服のズボンだけがない。
そんなことあるか?
こないだ着たのいつだっけ。わかんない。喪服なんてめったに着ないから思い出せない。一度か二度しか着てないのに。
この喪服は、高校を卒業するときに母が買ってくれたものだ。
「こういうのが必要になるときも必ずあるから」と云って、数珠や袱紗と一緒に“葬儀セット”を買ってくれた。
さすがは母親だ。
息子が「こういうの」を自分では買わないことをちゃんとわかっているのだ。
もしものときに備えて買っておくなんてことはぜったいにしないし、いざ「必要なとき」になっても
「喪服買わなきゃいけないのか……。黒っぽいズボンとシャツじゃだめかな。なるべく文字が入ってないやつで」
とおもうか
「別の葬式と重なったことにして『葬式の先約があるんです』と云って行くのやめようかな」
と考えるかで、いずれにせよめんどくさいことから逃げようとする人間だということを、母はちゃんと理解しているのだ。すごいなあ。
その、母が買ってくれた喪服のズボンだけがない。
クリーニングの袋には入ってないから、クリーニングに出したわけではない。なによりぼくの性格的に、目に見えて汚れたわけでもないのにクリーニングに出すなんて面倒なことをするわけがない。
いつなくしたんだろう。喪服のズボンだけがどこかに行くなんてことあるだろうか。
前回お葬式に出たときに、ズボンを履かずに下半身パンツ丸出しで帰ってしまったとしか考えられない。
きっとどこかの葬儀場のトイレの中だ。我ながらうっかりさんだなあ。ウケる。
しかし、ないものを嘆いてもしかたがない。
問題は明日のお通夜をどうするか、だ。
時間はあるから、買いに行くことはできる。家から徒歩五分のところに紳士服屋もある。
さすがに結婚して子どもも持った今となっては「黒っぽいズボンと黒っぽいシャツ」というわけにはいかない。
でもなあ。
ジャケットはあるんだよなあ。
両方なくしたんなら潔く買い替えるんだけどなあ。
ジャケットは一回かニ回しか袖を通してないから新品同様なんだよなあ。ぼくは十八歳のときから体型も変わってないからまだ着られるんだよなあ。
このジャケットを紳士服屋に持っていって「これにぴったりのズボンください」って言って買えるのかなあ。むりだろうなあ。喪服のバラ売りやってないだろうなあ。
試しに他のスーツのズボンをあわせてみる。
いちばん黒っぽいの。
うーん。
やっぱりちょっとちがう。喪服は漆黒だけど、スーツは黒といってもちょっと明るいんだよなあ。
妻に訊く。
「これ、上下ちがうってわかる?」
「んー。明るいところでよく見たらぜんぜんちがう。でもまじまじと見なければ気づかないかも。敏感な人なら気づくかもしれないけど」
おお。
なかなかいい手ごたえじゃないか。
これならごまかせるかも。
そうだよな。よく見なきゃ気づかないよな。
それにお通夜って夜だしな。葬儀場って祭壇以外はそんなに煌々と照らさないしな。
うん、いける。
しかも黒ネクタイとか数珠とかの「葬儀セット」はちゃんとあるしな。そっちに目が行くしな。
そもそも誰も「この人喪服の上下そろってなくない?」なんて疑いもしないだろうしな。
よし、これでいこう!
大丈夫だ!
そして翌日。
喪服のジャケットと黒っぽいスーツのズボンでぼくは出かける。
そして玄関先で気づく。
真っ黒の靴がない。
まあこの黒っぽい靴なら……。黒というかダークブラウンだけど……。
2020年2月10日月曜日
【読書感想文】振り込め詐欺をするのはヤクザじゃない / 溝口 敦・鈴木 智彦『教養としてのヤクザ』
教養としてのヤクザ
溝口 敦 鈴木 智彦
ヤクザに精通したふたり(といってもこの人たちはヤクザではなくライター)による「今のヤクザ」に関する対談。
幸いにしてぼくはヤクザとは無縁の生活を送っているのでヤクザのことなんて映画やマンガで出る覚醒剤、拳銃、抗争、ショバ代……ぐらいのイメージしかなかったんだけど、この本を読むかぎりヤクザはわりと身近なところにいるらしい。
なにしろタピオカ、精肉、漁業、建設、原発などいろんな産業にヤクザが入りこんでいるらしく、そうなるとまったく無縁の生活を送ることはほぼ不可能だ。
なるほど。禁止されているものを扱うのがヤクザの仕事なのか。
だから拳銃や覚醒剤はもちろん、希少なものであればヤクザの商売道具になりうるわけだ。たとえばゲームが禁止されたらヤクザがゲームが扱いだす、という具合に。
水産庁が「ウナギが減っているからウナギ漁を抑制しよう!」となぜやらないのだろうとおもっていたけど、その背景にはもしかしたらこういう理由もあるのかもしれない。
制限してしまうと密漁や密輸が横行してヤクザを儲けさせることになるのかもしれないね。
アメリカの禁酒法がマフィアが勢いづかせることになったように。
廃炉作業なんてのはやりたがる人が少ないから、ヤクザを介在させるのは必要なことなのかもしれない。
暴力団関係者を徹底的に排除してしまったら作業をする人間がいなくなってしまう。だから関係者は暴力団関係者とわかっていても目をつぶらざるをえない。
うーむ、こういう話を聞くと、ある分野ではやっぱりヤクザは必要悪なのかなあとおもってしまう。
誰もやりたがらないけどやらなきゃいけないこと、ってのはぜったいにあるもんね。
東日本大震災復興予算のかなりの部分が、被災地と関係のないところに流れたと聞く。それは納税者としても一市民としてもぜったいに許せないことなんだけど、しかし「ヤクザ以外にやりたがらない仕事」のために使われた部分もあるだろうし、そのへんを完全に切り分けるのは難しいだろうから、やっぱり現実問題としてある程度ヤクザやグレーの企業に流れるのはしかたないことなのかなあ。
詳しくない人間からすると「ヤクザ」と振り込め詐欺をするような「半グレ」はどっちも同じようなものなんだけど、当事者たちからするとまったくべつの組織なんだそうだ。
昨年、芸能人が反社会的組織と付き合って話題になった。
ぼくは「ヤクザとの付き合い」だとおもっていたけど、あれはヤクザではないそうだ。振り込め詐欺などは、(基本的には)ヤクザの仕事ではないみたいだ。
もちろんヤクザ(暴力団)は悪しき存在なんだけど、ヤクザと半グレを比べた場合、警察が扱いやすいのはヤクザのほうなんだそうだ。
警察はヤクザの組織構成はだいたいつかんでいるし、警察とヤクザの間である程度の取引もできる(ほんとはよくないことなんだろうけど)。
ヤクザには一種の美学もあるので、「罪のない年寄りをだまして金をまきあげる」ことに抵抗をおぼえるヤクザも少なくないかもしれない。
(だから年寄りを騙して金をまきあげてたかんぽ生命はヤクザではなく半グレ)
一般人からしても、どっちがタチが悪いかといわれれば、ヤクザのほうがまだマシなのかもしれない。
「金さえ払えば超法規的な手段でもめごとを解決してくれる組織」を必要とする人も多いだろうし。
ところが今、暴力団対策法によって暴力団の構成員が生活していけなくなり、昔だったらヤクザになっていたような人間が特殊詐欺グループに行くようなケースも増えてきているらしい。
ヤクザにはヤクザなりの秩序があったわけだが、その秩序すらない犯罪組織がどんどん拡大してきていると聞くと、はたして暴力団対策法っていいことだったのかなとふとおもってしまう。
かといってヤクザが幅を利かせている世の中ももちろんイヤなんだけど。
ヤクザに対する見方がちょっとだけ変わる一冊。
その他の読書感想文はこちら
2020年2月8日土曜日
ツイートまとめ 2017年12月
流行語大賞
毎年「こんなのどこで流行ってんだよ」「なんでいまさらこれなんだよ」と言うのが恒例だったのに、今年はすごく妥当。どの言葉も今年よく耳にするようになったし、世相も写している。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月1日
選考委員、総入れ替えでもした……? https://t.co/7NkOG7w1Ns
大日如来
— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月6日
偽物
「弊社サイトを装った偽サイトにご注意ください」みたいな注意喚起を見るたびに、『カリオストロの城』で偽銭形が「バカヤロー! そいつがルパンだ!」と言ってたシーンを思いだす。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月7日
日本放送協会
以前「注文していない商品を勝手に送りつけ後から代金を請求する詐欺が横行している」とNHKニュースでやっていた。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月7日
それ完全にNHKと同じ手口じゃないか……。
ないしょ話
娘は最近ないしょ話にハマっていて、「ちょっと耳かして!」と言って耳うちで大したことないこと(「ごちそうさまでした」とか)を伝えてくれる。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月7日
かわいいけど、耳にごはんつぶがつくのでやめてほしい。
二刀流
大谷翔平の入団記者会見で、監督の話に「二刀流をさせる」と字幕が出ていたけど、英語で二刀流って何て言うんだろう。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月10日
アメリカでは「二刀流」を「二丁拳銃」に改めたほうがいいのでは。
環状線
環状線といえば山手線ですが、大阪にもJR環状線があります。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月11日
ただ大阪の環状線はええかげんなので、ときどき遠心力ですっとんでいきます。油断していると環状線に乗ってたはずなのに奈良や和歌山まで連れていかれることがあります。マジです。
現代文
誤変換・誤字・読み間違いが多い同僚が「わたし現代文苦手なんですよ~」って言ってたけど、古文と漢文は得意なのかよ。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月13日
歴史修正主義
歴史修正主義者ってやっぱり、「応仁の乱で京都が焼け野原になったというのは京都人の捏造」とか「弥生時代にあった偉い人の墓に生きた人も一緒に埋める"殉死"は強制ではなく自ら志願してのものだった」とか主張してるんですかね?— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月14日
だじゃれ
ぼくが子どものころは「オヤジギャグ=だじゃれ」ってぐらいにおっさんはだじゃれを言うイメージだったのに、いざ自分がおっさんになってみたら周りにだじゃれを言う人がいない。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月14日
どうなってんだ。あの頃のだじゃれオヤジたちはどこへ行ったんだ……? まさか、消された……?
四色定理
こども向けの日本地図。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月14日
都道府県を5色で塗り分けた人はわかってない。4色で塗り分けたら数学の勉強にもなるのに! pic.twitter.com/Sw184QzKZX
沼
おいでよ どうぶつの沼— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月15日
生産性
生産性の高い人は「生産性を上げろ」「効率のいい仕事をしろ」とは言わない。無駄だから。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月15日
「このミーティングは無駄だからなくそう」「〇〇と××は重複しているから一本化しよう」と具体的な指示を出す。生産性の低い人だけが、生産性を上げろと言う。
アドベンチャーワールド
シャンシャンの観覧に外れた人はみんな和歌山のアドベンチャーワールドに行きましょう。パンダ5頭もいます。1歳パンダもいます。ついでにイルカも見れます。サファリパークもあります。なのに混んでません。https://t.co/pCoEwTz84t— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月15日
ボタン電池
そういや長らくボタン電池を見ていない。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月16日
かつてボタン電池を使っていたカメラとかゲーム機とかは、みんな充電式バッテリーになっている。
今でもボタン電池を使っている製品をご存知の方いましたら教えてください。
相撲協会
相撲協会が被害者に厳しいのは、辞めた人間が行くところがないから、ってのもあるだろうね。他の協会もないし外国リーグもない。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月17日
一度相撲協会に入ったら指を詰めるまで出られないようにできている。
確認
社員数名の会社に電話をして「〇〇さんいらっしゃいますか」と言うと「確認いたしますので少々お待ちください」と言われる。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月18日
確認なんか0.1秒でできるはずなので、不在ならおりませんと言うだろう。即答しないのは「××からですけどどうします?」「いないって言って」の場合があるからなんだろうな。
グッズ
「ミュージシャンになった理由、ですか……。自分の名前の入ったタオルとかTシャツとか、どうでもいいグッズあるじゃないですか。ああいうのつくりたくて、それにはこの道しかないなって……」— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月18日
プロフィール
Googleさん、この画像は悪意ありすぎないですか? pic.twitter.com/rddPC9OtaE— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月19日
分類
料理名のつけかた分類。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月19日
「調理法+食品名」→ 焼き芋、煮魚、フライドポテト、ローストビーフ
「調理器具+調理法」→ 鉄板焼き、茶碗蒸し、土瓶蒸し
「調理器具+食品」→ 皿うどん、パンケーキ
ストロー
コンビニでおにぎりと味噌汁を買うと、味噌汁にお箸じゃなくてスプーンをつけられることがよくある。「まあコンビニ店員も忙しいからスープと間違えちゃったのかな」と思って特に気にしないんだけど、今日袋を開けて味噌汁とストローが出てきたときは「おい!」と声が出た。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月20日
今、味噌汁吸ってる。
そうそうそう、これがほんとのお吸い物……ってやかましいわ!— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月20日
想像力
通勤電車の中でいつも本を読む。以前上司から「電車の中でYahoo!ニュースとか見てるか」って言われたので「いいえ」と答えたら「ゲームばっかじゃあかんぞ。おれみたいにいろんなサイト見て情報収集しろよ」って叱られた。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月22日
本を読まない人って他人が本を読むという想像すらできないんだな、と思った。
おいだき
風呂にある「おいだき」ボタンって、日本語が少しわかるぐらいの人が見ても意味がわからないと思う。ひらがなで書いてるから意味もとりにくい。辞書にも載ってない。風呂だから人にも訊けない。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月22日
甥抱き? 老い滝? と、あれこれ悩みそう。
広告
憎しみ込めてTwitterの広告に「×」をして非表示にする人、けっこういるみたいね。あれ、広告出す側からするとありがたいです。顧客になる見込みのない人をターゲットから外せるから。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月24日
金曜ロードショー
こないだ久しぶりに金曜ロードショー観て愕然としたんだけど、こんなに酷かったっけ。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月25日
映画の最中に「ここまでのあらすじをチェックするにはリモコンのdボタン!」ってテロップ出したり、盛り上がりどころで「〇月〇日は『××』を放送!」と別の映画を宣伝したり。
やってる人、映画嫌いなのかな。
金曜ロードショーの最後にHuluのCMが流れたのは、テレビ局からの「いいかおまえら。これに懲りたら二度と地上波で映画観ようなんてふざけた考え起こすんじゃねえぞ」というメッセージでしょうか。 https://t.co/2T19RLnZbo— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月25日
ザ・
日本人がいろんな言葉に「御」をつけるのにたいした意味はありません。「ザ・」とつけるのと一緒です。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月25日
「お名前とお電話番号とご住所をご記入ください」は「ザ・名前とザ・電話番号とザ・住所をザ・記入してください」の意味です。
座右の銘
座右の銘は「直行直帰」です。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月25日
餅
「冬だけどバーベキューしてー!」って言われたんだけど、おまえは餅をついとけ。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月26日
平安
いまだに「インターネットで知り合った顔も名前も知らない人と親しくするなんて……」という人がいるんだな。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月27日
平安時代にはもう顔も名前も知らない人の和歌だけ見て恋愛してたってのに。
こども手当
こども手当ってさ、毎年申請書が送られてくんのね。で、それに記入して送り返したら、お金が振り込まれんの。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月27日
はじめからお金を送りつけたら双方のコストが大幅に削減されるのに、ばかなことしてんなーって毎年思う。
Excel
Excelって「1/1」と入力したら自動的に「2017/1/1」と今年の日付に変換してデータを持つじゃないですか。でも12月に「1/1」と入力するのって、今年の1/1じゃなくて来年の1/1であるケースのほうが圧倒的に多いと思うんですよね。訊いてくれたらいいのに。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月28日
通話
お地蔵さん「しもしも~? 菩薩~?」 pic.twitter.com/D4LuWe384w— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月28日
接客
こないだスーパーの店員がめちゃくちゃてきぱきしてて気持ちよかったので褒めたくなった。でも若い女の人に向かって、いきなりおっさんが「あなたの接客気持ちいいですね」とか云ったらクレームよりキモいかな、と思って何も言えなかった。後で投書でもしようかと思ったけど名前見てなかったなー。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月30日
レゴ
1セットでティラノサウルスとトリケラトプスとプテラノドンが作れるレゴクリエイター、最高すぎるだろ……。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月31日
まだ作ってないけどブラキオサウルスもできるらしい。正月にやろう。 pic.twitter.com/cFKy9U6Nop
可動域広いし、見た目もカッチョいい。しかも約2,000円とレゴにしては破格の安さ。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2017年12月31日
唯一の難点は同時に他の恐竜を作れないこと。4箱買いたくなるな。 https://t.co/4dESAD4cY1
2020年2月7日金曜日
カポエラと不倫
大学生のとき、幼なじみの女の子Sと同窓会で再会した。幼稚園からの付き合いなので色恋沙汰にはならない。いとこのような感覚だ。
Sは大学を中退して今は仕事をしているという。
すぐ近所に住んでいることがわかったので「じゃあ今度ごはんでも行こうよ」と連絡先を交換した。
それっきりなんともなかったのだが数ヶ月後にSから「カポエラに興味ある?」とメールが来た。
カポエラ?
ネットで調べると、南米発祥の格闘技とのことだった。踊るように戦う武術。
奴隷が格闘技をしていると反抗を企図してるとおもわれるので、ばれないように踊りに見せかけたのがはじまり。鎖につながれたままでも戦えるような動きが特徴で……。
興味あるどころかカポエラについて考えたことすら一度もない。
なぜカポエラなのか尋ねると、今度カポエラ教室の無料体験があるから一緒にいかないかという誘いだった。
ぼくは自分から新しいことにチャレンジするのは苦手だが、だからこそこういう誘いはありがたい。
授業の終わったあとにSと待ち合わせてカポエラ教室に向かった。
行ってすぐに自分が場違いな存在であることに気づいた。
格闘技とはいうものの「カポエラで楽しくダイエット!」的なレッスンで、ぼくと講師の男性をのぞく全員がOLで、いたく恥ずかしい思いをした。
ぼくは他のOLさんたちからSの彼氏だと勘違いされた。「彼氏?」と訊かれて訂正しようかとおもったが、彼氏じゃないならOLの汗のにおいをかぎにきた変態野郎だということになるので訂正はやめておいた。
カポエラ教室の後、Sと食事に行った。
カポエラの話や共通の知人の話で盛り上がり、Sから「彼女いるの?」と訊かれた。
「いるよ。Sは彼氏は?」
「……いるといえばいるかな」
「どういうこと?」
「わたし、不倫してんねん」
「えっ……」
それからSは不倫について語りはじめた。
相手は同じ会社の既婚男性であること、ごくふつうのおじさんでかっこいいわけでもお金持ちなわけでもないけどそういう関係になったこと、相手には子どももいて子どもの写真を見せてくれたりもすること、別れさせるとか結婚するとかは考えてないこと。
かなり赤裸々に語られたのだが、ぼくはまるでテレビドラマのストーリーでも聞かされているような気持ちだった。
目の前の女性は、今は二十一歳の女性とはいえ、ぼくが幼稚園のときから知っている子だ。
幼稚園では一緒に登園し、プール教室に通いたくないと泣き、ぼくのいたずらを先生に言いつけにいっていた子だ。
小学校も中学校も高校も同じだったので、きょうだいかいとこみたいな存在だった。
かつて五歳だったSと、今不倫をしていると語る目の前の女性とがどうしても結びつかなかった。
んなあほな。五歳だったのに不倫なんかするわけないじゃないか。
もちろん世の不倫女性すべてがかつては五歳だったわけだけど、それでもぼくの知っている元五歳児は不倫なんかするわけがなかった。
だいたい不倫をする女って、もっとセクシーで男を手玉に取るようなタイプなんじゃないのか。
中学校の図書室でメガネをかけて小説を読んでいたSと、ぼくの中にある不倫女性のイメージとはほんの少しも重ならなかった。「互いに素」だ。
なぜSがぼくにそんな話をしたのかわからない。
ごくごくふつうの調子で、「最近海外ドラマにハマってるんだー」みたいな調子で、「わたし、不倫してんねん」と語っていた。
きっと、Sにとってぼくはちょうどいい距離感の人間だったのだろう。
家族や友人ほど近すぎず、かといってまったく知らない間柄でもない。不都合になればいつでも連絡を断つことができる。
だからこそ打ち明けられたのだとおもう。
ぼくは、Sの行為を肯定も否定もしなかった。
「へえ」とか「不倫とか現実にあんねんなあ」と間の抜けた相づちを打っていた。
数年後、Sからひさしぶりに連絡があった。
「東欧に行くことになったから挨拶しとこうとおもって」
東欧?
Sからの話はいつも唐突すぎてわからない。
数日後に会うことにし、喫茶店でパフェを食べながら話を聞いた。
結婚することになった、相手の仕事の都合で東欧に行くことになった、となんだかせいせいするというような口ぶりでSは語った。
不倫関係があの後どうなったのかは聞けなかった。
結婚相手は同い年だと言っていたので、不倫相手と結婚したわけではないことだけは確かだった。
「しかし外国に住むなんてたいへんやなあ。子どもができてもかんたんに親に手伝ってもらうわけにもいかんやろし……」
と話すと、Sは云った。
「子どもはぜったいにつくりたくない」
その強い言い切りように、ぼくは「なんで?」と聞けなかった。
聞けばどういう答えが返ってくるかはわからないが、その答えがおそろしいものであることだけはわかった。
それから数年。
お正月に実家に帰ったら、母から「Sちゃん離婚したんだって」と聞かされた。
その言葉がずしんと響いた。
驚いたのではない。むしろ納得感があった。落ちつくべきところに落ちついた、という感覚。
ビールを一気に飲んで、しばらくしてから溜まっていた炭酸が大きなげっぷとなって出てきたときのような。
よく「不倫するような女は将来結婚しても幸せになれない」という言葉を聞く。
それは事実というより語る人の願望なのだろう。他人を不幸にしていい思いをしたんだからしかるべき罰を受けてほしい、という願望。
「嘘つきは閻魔様に舌を抜かれる」と同じだ。
Sの離婚の原因がなんだったのか、ぼくは知らない。
Sが過去にしていた不倫と関係あるかどうかもわからない。きっとS本人にもわからないとおもう。
Sが「罰を受けた」という見方には賛成できない。
Sに与えられたのは、罰ではなく解放だったんじゃないかとぼくはおもう。
離婚を決めたときのSの心に「ああよかった」と安堵する気持ちがちょっとはよぎったんじゃないかと想像する。これで過去の不倫がチャラになる、というような。
なぜなら、ぼくも似た感覚を味わったからだ。
ぼくが不倫をしたわけではない。
でも、Sから不倫をしているという報告を受けたことで、それを咎めなかったことで、Sが不倫をしているということを誰にも言わずに自分の胸に秘めていたことで、知らず知らずのうちにぼくも共犯者になっていたのだ。
まるでぼくがSの不倫相手の家族を苦しめているかのような。
それが「Sが離婚した」と聞かされたとき、ようやく解放された。だからこうして書くこともできる(これまでは匿名であっても書けなかった)。
もちろんSが離婚したことと、Sが結婚前に不倫をしていたこととは無関係だ。不倫の罪(罪だとするなら)が消えるわけではない。
でも、ぼくの中では相殺された。打ち消しあって完全に消えてしまった(当事者でないからなんだろうけど)。
Sに対して、よかったなと言いたい。
皮肉ではなく本心から。
ずっと不倫の過去という鎖につながれたまま戦ってただろうけど、ようやく自由になれたな。
もうカポエラはしなくていいんだよ。
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