歩いていたら、若い女性から「○○駅はあっちであってますか」と尋ねられた。
若い女性から声をかけられるなんて何かの勧誘以外に経験がないのでとっさに勧誘かとおもって無視しようしてしまい、その後「あっ、道訊かれてる、ちゃんと答えないと、わっ、なんていおう」とすっかりあわててしまい、結局「あ、はい、あっちであってます!」と相手の言葉をオウム返しにしただけだった。
ぼくはふだん道を訊かれない。訊かれることもあるが、変なタイミングのときだけだ。
中国に行ったときはなぜか中国人からよく道を訊かれた。なんで外国人に訊くねん! Tシャツにサンダルとかで歩いてたから現地の人っぽかったのかなあ。
旅先で訊かれることも多い。逆に、見知った道ではほとんど訊かれない。知ってる道では歩くのが速いからかもしれない。旅先だときょろきょろしながらゆっくり歩くので、隙が多くて声をかけやすいんだろう。
数年前、はじめて行く土地だったのでスマホのアプリで地図を見ながら歩いていたら若い男性から「すみません、〇〇って店知ってますか?」と尋ねられた。なんで地図見ながら歩いてるやつが土地勘あるとおもうんだよ!
そんなわけで、家の近所では道を訊かれることがめったにない。だから道を訊かれて動転してしまった。
たぶんぼくが妻子と歩いてたからだろう。「妻子と歩いているからそこそこまともな人」と判断されたにちがいない。ありがたいかぎりだ。逆にいうと、一人で歩いているときは不審者だということだ。
あわてて「あ、はい、あっちであってます!」と答えた後、ああしまったなあ、もっと上手に説明できたなあ、と後悔した。
「この道をまっすぐ行くと、信号を二つほど超えたあたりでファミリーマートが見えますので、そこを右手に入ったらすぐ駅ですよ」と言ってあげればよかったなあ。落ち着いたらうまく説明できるんだけどなあ。でもとっさに訊かれたからなあ。
自分の答え方が悪かったと反省すると同時に、道を訊いてきたあの女性の訊き方も悪かったんじゃないか? とおもう。
開口一番「○○駅はあっちであってますか」だぜ。
こっちは見知らぬ人に話しかけられただけでびっくりしてるのに、いきなり本題に入らないでほしい。
ちゃんと「あのすみません」「ちょっと道を訊きたいんですけど」とクッションを置いてほしい。そしたらこっちも「今から道を訊かれるんだな」と心の準備ができるから。
理想を言えば、話しかける前に、「きょろきょろする」「困った顔でこちらを見て目をあわせる」というステップもほしい。
きょろきょろして、困った顔でこちらを見て目を合わせて、「あのすみません」と声をかけて、「ちょっと道を訊きたいんですけど」とこれから話すことのテーマを提示して、しかるべきのちに「○○駅はあっちであってますか」と訊いてほしい。
それが道尋ね道というものだ。
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