2015年8月20日木曜日

ハンカチにアイロンをあてるなんて

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 同僚にA田さんという未婚女性がいる。
 そこそこの美人なのだが、常に「彼氏が欲しい」と嘆いている。
「誰か紹介して。収入があって借金と前科がない人」と。

 そんなA田女史と話していたときのこと。
 ぼくが自分でハンカチにアイロンをあてるという話をすると「えー!キモい」と云われた。
「マメすぎる。女の子みたい」だというのだ。
 これには驚いた。マメなんて云われたのははじめただ。
 自慢じゃないが、ぼくほどガサツな人間はいないと思っている。
 嘘だと思うなら、ぼくを自宅に招待してデニッシュを食べさせてみるといい。足下にこぼれまくったデニッシュにうんざりしてカーペットを買い替えるだろうから。

「じゃあA田さんはハンカチにアイロンあてないんですか」
  「あたし? あたしはハンカチ持ってない」
「えー!? じゃあトイレに行ったときはどうしてるんですか」
  「ジェットの力で吹き飛ばしてもらう」
「ハンドドライヤーがないトイレもあるでしょ」
  「そういうときは服でごしごしするしかないよね」
「男子小学生か」
  「だってね。女の人の服にはポケットがないの。だからカバンにハンカチを入れるでしょ。手を洗ったあとに濡れた手でカバンの中をあちこちさぐるでしょ。カバンの中がびしょびしょになっちゃうでしょ。ほら」
「ほら、じゃないですよ。あちこちさぐらなくてもハンカチくらいすぐ出せるでしょ」
  「あたしのカバンの中はものがぐちゃぐちゃに入ってるからすぐに出てこないの!」
「……」
 ここでA田さん、ひらめいた。
  「あ、そっか! ものが多いわりにカバンが小さいからぐちゃぐちゃになるのか! 大きなカバンを買えばいいんだな」
「いやたぶんそういう問題じゃな……」
  「あー解決したー!」
「……」

 ぼくは自分のことを相当ガサツな人間だと思っていたが、まだまだひよっこだということを思い知らされた。

 ちなみにA田女史の最近の悩みは
「食べ物じゃない物もついつい冷蔵庫に入れてしまうので、食べ物の入るスペースがなくなってきた」ことだそうだ。

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