2017年8月17日木曜日

パパ友の口説き方

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「ママ友」の検索結果 約1300万件

「パパ友」の検索結果 約38万件


ということで どうも世のお父さん同士はあまり友だちにならないらしい。
(しかし「ママ友」も「パパ友」もネガティブな検索結果が並んでるな……)

ぼくには4歳の娘がいるが、パパ友はいない。
学生時代の友人に子どもが生まれたので子どもと一緒に遊びにいく、ということはあるが、子どもを介して友人になった人はいない。

毎朝娘を保育園に送っているので、他の保護者とも顔を合わせる。
保育園に通わせている人は基本的に共働きだから父親が送りにくる家庭もめずらしくない。
必然的によく顔を合わせるお父さんも決まってくる。
ぼくは常々まっとうな人間として生きていきたいと願っているからあいさつをする。「もうすぐ発表会ですね」とか「今日も〇〇ちゃんは元気ですね」といった言葉も交わす。
でもそれ以上の踏み込んだ話をすることはない。


休みの日には たいてい子どもと遊びにいく。しかし「この人(娘のこと)はお父さんとばかり遊んでいいのだろうか」と心配になる。
一人っ子だし、もっと同年代の子と遊ぶ機会をつくってあげたほうがいいんじゃないか。

あるとき、娘と公園に行ったら保育園の同じクラスの子とばったり会った。
子どもたちはおいかけっこをはじめて、そのとき娘はぼくが見たこともないぐらい速く走っていた。
犬を飼ったことのある人は知っていると思うが、犬は散歩のときリードを持つ人の速さにあわせて歩く。老人と散歩するときはゆっくり歩くし、若くて元気な人が散歩をさせると犬は「この人のときは走ってもいい」と思って速く走る。
同い年の子どもと全速力で走って遊ぶ娘を見て、「ああ、4歳の娘もぼくと遊ぶときは、老人と散歩する犬のように遠慮していたのだな」と気づいた。ショックだった(犬から見た老人の扱いをされていたことも含めて)。

もっと同じ年代の子と遊ばせてあげたい。しかし近所にはパパ友がいない。
ちくしょう! 娘よすまない、ぼくが社交的でないばっかりに……!


忸怩たる 思いいを抱えていたぼくだが、少し前にこんなことを書いた。

娘の保育園に行ったときに他の子の父親から「休みの日ってどこに連れていってます?」と訊かれたので、これはチャンスと思い「こないだプール行ったんですけど子どもは喜んでましたよ。今度子ども連れて一緒に行きませんか?」と誘ってみた。

言われたお父さんは「あーいいですねえ」とニコニコしながら言って、あれ? この後どうしたらいいんだ? 具体的な日程を決めたらいいのか? それとも今日は連絡先の交換だけにしておいて後日LINEとかでやりとりしたほうがいいのか? いやでも「いいですねえ」と言っただけで「行きます」って言ったわけじゃないしこれは断りかたがわからなくて困ってるパターンか? とかいろいろ考えているうちになんとなく次の会話がなくなってしまって、うやむやになってしまった。

コミュニケーション能力が低いばかりに千載一遇のチャンスを棒に振ってしまったのだが、あきらめきれなかったぼくは「あのお父さん(Nちゃんのお父さんとする)とプールに行く」という目標を立てた。

そこで、まずは娘に
「Nちゃんとプール行こっか。Nちゃんに、一緒にプール行こうって言ってみたら?」
と吹きこんでみた。

娘とNちゃんの間で「プールに行こう」という約束ができる
 ↓
Nちゃんが家でお父さんに「〇〇ちゃんとプール行きたい!」と言う
 ↓
Nちゃんのお父さんが、今度会ったときにぼくに「娘が行きたがってるんでプール行きましょう」と言う

という展開を期待したものだ。
自分では声をかける勇気がないので子どもたちを経由して、しかも向こうから誘ってもらおうという巧妙かつ意気地なしの作戦だ。好きな女の子から告白されるのを待って自分からは何のアクションも起こさなかった学生時代からまったく成長していない。


その後も 何度かNちゃんのお父さんと会う機会があったのだが、いっこうにプールの話が出ない。
うちの娘のところで止まっているのか、それともNちゃんで止まっているのか。なにしろ4歳児なのであてにならない。大人でも報連相はむずかしい。
もしかしたらNちゃんのお父さんのところまで話は届いているのに「あいつと出かけるのイヤだな」と思われているのかもしれない……。

くよくよ考えていても結論は出ない。
ここは直接的に誘うにかぎる。

ある日、保育園に娘を送った後、少し前をNちゃんのお父さんが歩いているのを見つけた。
小走りでNパパに近づく。すっと横に並び、たまたま出くわしたかのように「あ、おはようございます」と声をかけた。

そして、前から準備していた台詞を、まるで今思いついたかのように言う。
「ああそういえばですね、こないだプールの話したじゃないですか。あれ以来、娘がNちゃんとプールに行きたいって毎日のように言ってるんですよ。どうでしょう、今週末にでも一緒に行きませんか?」
娘が毎日のようにプールに行きたいと言っている、というのはもちろん嘘だ。また娘を利用させてもらった。

で、
「いいですよ。行きましょう」
「じゃあLINE交換してもらっていいですか」
と、事前に脳内シミュレーションしていたやり取りを経て、見事一緒にプールに行く約束をとりつけることに成功した。


学生時代に 好きな女の子を誘ったときぐらい周到に準備したのが功を奏した。
休みの日は家族でゆっくりしたいのに誘ったら迷惑じゃないだろうかとか断られたらその後保育園で顔を合わせたときに気まずいなとか思い悩んでいたが、杞憂に終わった。
プールに行くときも「ダサいと思われたくないから新しい服を着ていこう」と前日から準備をして、何があるかわからないから一応銀行でお金おろし、気持ちは完全に初デート前日の高校生だった。


プールでは娘たちも楽しんでいたし、「また一緒に遊びに行きましょうね!」と言って別れたのだが、その日からまたべつの悩みが生まれた。

次はどう誘ったらいいのだろうか。

前回はこっちから誘ったから、次は向こうが誘ってくるのを待ったほうがいいのだろうか。
いやでも待つだけの姿勢では自然と疎遠になってしまうかもしれない。
かといってすぐにまた誘うのも「しつこい人だな」と思われるんじゃないだろうか。
どれぐらいの間隔を開けるのがベストなんだろう。1ヶ月ぐらいだろうか。
前回は「プール」という夏らしいイベントがあったけど、次は何を誘ったらいいのだろう。公園遊びとかは平凡すぎるだろうか。

パパ友をつくるってこんなにたいへんなプロジェクトだったのか。
そりゃなかなか作れんわ。


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