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【読書感想文】東野 圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』 / 人は自己を犠牲にしない

パラレルワールド・ラブストーリー

東野 圭吾

内容(e-honより)
親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー。


【ネタバレあり】


 主人公・敦賀崇史のふたつの世界が交互に語られる。

 ひとつは、親友・智彦が麻由子という女性と付き合っており、崇史が麻由子にひそかな恋心を描いている世界。

 もうひとつは、崇史が麻由子と交際しており、智彦はアメリカにいる世界。この世界では智彦と麻由子が交際していたという事実はない。

 まるでパラレルワールドのように、似た世界でありながら細部が異なるふたつの世界。はたしてどちらが真実の世界なのか。そしてなぜ〝パラレルワールド〟は生まれたのかー。




 感想。

 せっかく「パラレルワールド」というタイトルをつけてミスリードを誘ってはいるが、あまり成功してはいない。

  • 主人公たちが記憶に関する研究をしている
  • 主人公の記憶と事実との間に食い違いがある
  • 過去と現在が交互に語られるが、食い違いが生じているのは現在のみ
  • 過去編と現在編で人称が変わる(過去編は『俺』で、現在編では『崇史』で語られる)

 ので、「何らかの理由で主人公の記憶が改変され、同一人格でなくなったのだな」と容易にわかる。パラレルワールド感が出ていない。

 で、読み進めていくとはたしてその予想は当たっている。パラレルワールドではなく、現在編は「記憶を改変された主人公が認識している世界」だ。


 で、なんやかんやあってあれやこれやの謎が解けて(内容ゼロのあらすじ)過去編と現在編がつながるわけだが、どうもしっくりこなかった。

 ストーリー組み立てのうまさとか、SFをとりいれつつもちゃんとミステリにしあげるところか、さすがの東野圭吾作品だとはおもう。

 ただなあ。

 話のキーになるのが「主人公の親友の自己犠牲」なんだよね。これが嘘くさくて、終盤で冷めてしまった。

 中盤までは理解不能な記述が続くので「いやでもこれを乗り越えた先におもしろいラストがあるはず!」と信じて我慢しながら読み進めていたのに、待っていたのが主人公の親友による「愛する人の幸せのためにぼくは身を引くよ」「ぼくを裏切ったあいつとずっと親友でいたいから、ぼくは生命の危険があるけど己の記憶を改竄するよ」という自己犠牲的な行動。

 いやあ、そりゃないぜ。人間、そんなに自分を犠牲にできないぜ。

 フィクション以外で聞いたことある? 愛する女性に幸せになってもらいたいから、自ら身を引いた人の話を。親友が大事だから、自らの命を投げだした人を。

 ねえよ。戦時下みたいな特殊な状況で「殺らないと殺られる!」みたいにおもいこまされたのならともかく、平常時に洗脳されたわけでもない人が自己犠牲精神を発揮するかというと……、ううむ、納得できない。


 主人公の行動はひたすらエゴイスティックで共感できただけに、親友のうすっぺらい行動にはがっかり。

 最後にもう一段階「これもまた主人公の願望によって改竄された記憶でした!」っていうオチがあるのかとおもったら、それもなく。都合のよい願望かとおもったら、都合のよい現実でした。


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2022年6月3日金曜日

漫画読むのだりー

 漫画読むのだりー

とおもう日が来るとはおもわなかった。


 ぼくは漫画が大好きだった。小説やノンフィクションも好きだが、漫画のほうが好きだった。小説も好きだったが、どっちかっていったら「お金がなくて漫画が買えない」「図書室には漫画がない」「漫画を人前で読むのは恥ずかしいからかっこつけて小説を読む」みたいな消極的な理由で、できることなら漫画ばかり読みたかった。

 母親がぼくに語ってくれたエピソードがある。ぼくが小学生のとき、いっしょに買い物に出かけ、買い物をする間ぼくを本屋で待たせておいた。母親が戻ってくると、息子がむずかしそうな小説を読んでいる。感心感心とおもって「一冊買ってあげるよ」と声をかけると、息子はうれしそうに小説を棚に戻し、漫画コーナーへと走っていったという。つまり「ほんとは漫画を読みたいけど漫画はシュリンクされていて立ち読みできないので小説を読んでいただけ」だったのだ。

 小学生のときはこづかいが少ないから漫画は月一冊しか買えなかったし、中高生のときも遊ぶ金がほしくて漫画はそうそう買えなかった。ほんとにほしい漫画(『行け!稲中卓球部』とか『王様はロバ』とか)を月に一冊ぐらい買うだけだった。
 その点、文庫本は安かった。古本屋だと百円で買えたし、近くの公民館でやってたバザーではなんと一冊十円で買えた。おまけに活字の本は一冊読むのに時間がかかる。漫画だったらあっという間に読んでしまうが、活字の本は数日はもつ。ぼくが活字の本をたくさん読んでいたのは「漫画が買えなかったから」だ。


 大学生になると、バイトなどである程度お金に余裕もできて、思う存分漫画を買えるようになった。おもえばこの頃がいちばん漫画を読んでいた。

 今のようにネット上で試し読みもできないし、ネットでレビューも見られなかった時代。どうやっておもしろい漫画を買っていたとおもう? 若い人には想像もできないかもしれない。

 答えは「表紙だけで買ってみる」である。

 表紙と裏表紙の絵、作品タイトル、帯に書かれたわずかなコメント。そういったものを頼りに「おもしろそう」なものを買ってみるのだ。ときには作者のペンネームで選ぶこともある(黒田硫黄なんてはじめはペンネームのセンスだけで選んだようなものだ)。

 あとはブックオフにもお世話になった。ブックオフは立ち読みできたからね。


 大学を卒業してからも漫画はたくさん読んでいた。無職時代は時間だけはあったので漫画喫茶に行ったり、古本屋でまとめ買いをしたりして、『ジョジョの奇妙な冒険』『SLAM DUNK』『H2』などの数十巻ある作品を数日で一気読みしたりしていた。

 その後、書店で働きはじめると「まだ流行っていない作品」の情報が入るようになった。知らない人も多いが、書店に届いた時点ではコミックはまだシュリンクがかけられていないのだ。品出しをする書店員は読み放題なのである(もちろん仕事があるからじっくりは読めないけど)。

『聖☆おにいさん』も『テルマエ・ロマエ』も『俺物語』も『ママはテンパリスト』も『ダンジョン飯』も、「この漫画がすごい!」に選ばれるよりずっと先におもしろさを知った。


 だが、書店員を辞めてから急速に漫画を読まなくなった。読むのは、以前から買っていたシリーズのみ。新たに開拓をすることはほとんどなくなった。今では継続的に買っているのは『HUNTER×HUNTER』と『ヒストリエ』だけ。どっちもなかなか新刊が出ないので(いつ出るんだ!)ぜんぜん買っていない。

 今では漫画を買うのは年に二、三冊だ。それも短篇集とか一巻だけを単発的に買うだけで、何十巻も続くシリーズを継続的に買うということはない。経済的には今がいちばん余裕があるのに、電子書籍のおかげで保管場所の心配もしなくて済むようになったのに、今がいちばん漫画を買っていない。


 自分でも驚くことに、漫画を読むのがめんどくさくなったのだ。学生時代には想像すらしなかった。漫画一日中でも読めた。さほどおもしろくなくても、漫画があればとりあえず読んだ。

 ところが今じゃ漫画を読むのがめんどくさい。気になる漫画がないではないが、「連載作品を買って長く付き合っていくのがめんどくさいなあ」とおもうようになった。「三巻まで無料!」なんて広告を見ても心を動かされなくなった。「読んでみておもしろくなかったらイヤだし、おもしろかったら四巻以降も買わなきゃいけないからそれはそれでイヤだ」とおもうようになった。


 もちろん、今の漫画がつまらないなんて言う気はない。今の漫画は歴史上最高におもしろいのだろう。ただ、ぼくが歳をとってしまっただけだ。

 そういや母もそうだった。
 ぼくの母はかつて漫画好き少女だったらしく、家には手塚治虫の古い漫画がたくさん置いてあった。我が子にも手塚治虫漫画を買ってくれた。

 だがぼくの知っている母は漫画をほとんど買わなかった。たまに気まぐれで『ガラスの仮面』や『動物のお医者さん』を買ってきてくれたが、あまり読んでいる様子はなかった。小説はよく読んでいたが。

「漫画好きなのになんで漫画読まないんだろう」とおもっていたが、あのときの母とほぼ同じ歳になってわかった。漫画を読むのはけっこうめんどくさいのだ。人によっては、活字の本よりも。


 ということで、若い人に言いたいのは、今のうちに漫画をたくさん読んでおいてもいいし、読まなくてもいいし、おまえがどうしようがこっちは知ったこっちゃねえしよく考えたら若い人に言いたいことなんてべつになかったわ。


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