2024年1月18日木曜日

オブラート VS おくすりのめたね

このエントリーをはてなブックマークに追加

『おくすりのめたね』という商品がある。

 粉薬や錠剤など子どもが飲みにくい薬を、ゼリー状の物質で包むことで飲みやすくするという商品だ。子どもだけでなく大人でも使える。


 最近「『おくすりのめたね』が普及したせいで、オブラートが売れなくなっている」という話を耳にした。

 オブラートは絶滅寸前のようだ。そもそもぼくは薬を飲むのにオブラートを使ったことがない。オブラートを口にするのはボンタンアメを食べるときだけだ。それすら二十年以上食べていない。


 物質としてのオブラートは絶滅寸前だが、比喩の世界ではまだまだ現役だ。

「言いにくいことを遠回しに伝える」ことを指す比喩として「オブラートに包む」という表現が使われる。

 このまま物質としてのオブラートは消滅して「走馬灯」や「拍車」や「超新星」のように“比喩の中だけで生きる言葉”になるのだろうか。

 それとも比喩のほうでも消滅して、『おくすりのめたね』に取って代わられるのだろうか。

 義母に向かって来るなとも言えず、恵は「お忙しいでしょうし、わざわざ来ていただかなくて大丈夫ですよ」とおくすりのめたねに包んで伝えた。




このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿