『おくすりのめたね』という商品がある。
粉薬や錠剤など子どもが飲みにくい薬を、ゼリー状の物質で包むことで飲みやすくするという商品だ。子どもだけでなく大人でも使える。
最近「『おくすりのめたね』が普及したせいで、オブラートが売れなくなっている」という話を耳にした。
オブラートは絶滅寸前のようだ。そもそもぼくは薬を飲むのにオブラートを使ったことがない。オブラートを口にするのはボンタンアメを食べるときだけだ。それすら二十年以上食べていない。
物質としてのオブラートは絶滅寸前だが、比喩の世界ではまだまだ現役だ。
「言いにくいことを遠回しに伝える」ことを指す比喩として「オブラートに包む」という表現が使われる。
このまま物質としてのオブラートは消滅して「走馬灯」や「拍車」や「超新星」のように“比喩の中だけで生きる言葉”になるのだろうか。
それとも比喩のほうでも消滅して、『おくすりのめたね』に取って代わられるのだろうか。
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