この世の中でいちばんの欺瞞はバーにある。
バーテンダーのシェイク、あのシャカシャカシャカってやつ。
あたしカクテルのこととかぜんぜん知らないけど、あれぜったいウソ。
あそこまでやらなくてもいい。
エコじゃないし。
ラーメン屋の大将が湯切りするときみたいに、ちゃっちゃっちゃって3回ぐらい混ぜたら十分。
シャカシャカシャカって3回振って、もしちゃんと混ざってなかったらイヤだから念のためあと2回だけシャカシャカってやって、はいもうオッケー。
それ以上やるのは、もう完全にパフォーマンスでしかない。
どっかのバカな女が
「シャカシャカシャカ、かっこいー!」
って言い出して、
それ聞いたバカなバーテンダーが調子に乗って必要以上にシャカシャカシャカシャカシャカシャカやりだした。
それしか考えられない。
だってそういうのいっぱい見てきたもの。
好きな女の子が有名ミュージシャンをかっこいいって言ってるのを聞いて、必死こいてギター練習して、必要以上に練習してる間に好きな女の子に彼氏ができてるってパターン。
ギターがうまい男が好きなんじゃなくて、好きな男がギター上手ってだけだったことを思い知らされるパターン。
バーテンダーのシャカシャカも一緒。
かっこいいバーテンダーがシャカシャカやってるのがかっこいいってだけ。シャカシャカがかっこいいわけじゃない。
かっこいいバーテンダーだったら、米を研いでる姿もかっこいい。ぬか漬けを漬けてるところも渋くて絵になる。とんがりコーンを全部の指にはめてから食べる振るまいなんか優雅ですらある。
そういうことわかってない童貞バーテンダーが、うわべだけ真似してシャカシャカシャカシャカシャカシャカやりだした。
もうあれ、完全にいちばんかっこいい回数、通りすぎてる。
たぶん3シャカぐらいがベスト。
そのへんですぱっと終わらせれば、見ているほうも
「なに今のやつ!? 一瞬だったからよく見えなかったけどかっこよかった気がする! もっと見たい!」
って思う。
引き際が大事。わびさびの極致。
千利休がカクテル作るときは、シャカっと1回だけやって、あとはじっくり余韻を楽しむと思うな。
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