2018年8月15日水曜日
今どきの誕生日の内訳
娘の保育園のクラスには17人の園児がいる。
誕生日の内訳は以下の通りだ。
4 ~ 6月 …… 8人
7 ~ 9月 …… 4人
10 ~ 12月 …… 3人
1 ~ 3月 …… 2人
すごくバランスが悪い。
明らかに学年の前半に集中している。
みんな、いつ産んだらいいか考えながら産んでいるからだ。
生後2ヶ月たたないと保育園は預かってくれないので、2月以降に生まれた子は0歳児クラスに預けることができない。
また、1歳児クラスから預けるにしても、そのためには親が仕事復帰している必要がある。
4月生まれと3月生まれでは、職場復帰するときの負担がぜんぜん違う。生後1年の子と生後1年11ヶ月の子の能力は、5歳と20歳ぐらいの開きがある。
産んだ母親の身体だって、産後1年11ヶ月のほうがずっと快復しているだろう。
そういうわけで、みんな「いつ産むか」「そのためにはいつ頃仕込まないといけないか」を考えて子作りをしているのだろう。その結果、5~8月に誕生日が集中することになる(ちなみに4月生まれも少ない。少し計算とずれると3月生まれになってしまうからだ)。
交尾、妊娠、出産というきわめて動物的なおこないですら行政の事情にあわせてコントロールしなきゃいけないなんて、なんだかなあ。
しゃあないんだけど、1月生まれのぼくとしては寂しいかぎり。
2018年8月13日月曜日
日本讃歌
すばらしい国、日本。
ぼくらはお金持ち。
これまでそうだったから今後もお金持ちでいなくちゃね。
お金がないと生きていけないからね。お金のためなら死んでもいいよね。
ぼくらはお金持ち。お金を稼げない人は死ぬ気でがんばってないんだね。
ぼくらは正しい。
起訴されたら有罪率99%以上。だって正しいんだからね。
ぼくらは正しいから間違いを犯さない。間違いを犯さないから正しい。
ぼくらは正しい。間違いを指摘することが間違いだよ。
ぼくらは楽しい。
オリンピック、万博、カジノ。楽しいことばかり。
すべては気の持ちよう。総活躍できる労働、プレミアムな労働、高度でプロフェッショナルな労働。
ぼくらは楽しい。楽しめない人は日本が嫌いなの?
ぼくらは安心。
クリーンなエネルギー、民間が安く提供してくれる水、守ってくれる兵器。
怖いことは考えないようにすればいつでも安心。
ぼくらは安心。安心のためならリスクはやむをえないよね。
ぼくらは仲良し。
いつでも一緒。みんなと違うことをするやつは許さない。
同じ文化を好きになって、同じ敵を憎んで仲良く暮らそう。
ぼくらは仲良し。仲良しになろうとしない人はあっちに行ってね。
ぼくらは寛容。
嘘をついても隠蔽しても訴えないよ。
結果人が死んでも責任とれなんて言わないよ。ハラスメントだって許しちゃう。
ぼくらは寛容。寛容じゃないやつは許さない。ぼくらは自由。
労働と家事と子育てを両立してもいいし、法律を無視して働いてもいいし、その結果死んだっていいよ。
がんばれと言うことしかできないけど、心の中で応援してるよ。
自由だから何してもいいんだよ。自由を奪われない範囲でね。
2018年8月11日土曜日
差別かそうじゃないかを線引きするたったひとつの基準
東京医科大の入試で女子の合格者を抑える得点操作が行われていたことが話題になっている。
(BuzzFeed News『女性医師の割合は、先進国で最も低い。東京医大問題の背景にある6つのこと』)
これは良くない。ほとんどの人がそう思うだろう。ダメなところがいっぱいありすぎるから。
でも「どこまでがダメか」と思うかは人それぞれではないだろうか。
1.事前に公表していてもダメか?
東京医科大学は、受験者には知らせずにこっそり点数に手を加えていた。これはよくない。
では、あらかじめ募集要項で
「女子は点数を引きます。2浪以内の男子は加点しますが3浪以上なら加点しません」
と明記していたらどうだろうか?
「それなら大学側の自由」と思う人の割合は、非公表の場合に比べて若干増えるだろう。
「それでも女性の点数を引くことは許されない!」という人に次の質問。
2.事前に公表 & 減点ではなく拒否だったらダメか?
あらかじめ募集要項で
「女子は受け入れません」
と明記していたらどうだろうか?
これはつまり、今ある女子大や男子校がやっていることだ。
「事前に公表していたとしても女子を減点・排除してはいけない!」という人は、「お茶の水女子大学は性差別をしている」と思うだろうか。
日本でもっとも多くの東大や医学部の合格者数を出している高校は開成高校、合格率でいうと灘高校がトップだそうだ。どちらも男子校だ。
これらの高校は「日本でいちばんレベルの高い高校で学びたい」と願う女子を排除していることになるが、それも許されないだろうか?
「男子校や女子校、女子大学はいいんじゃない? 生徒にとってもメリットがあるんだし」と思うだろうか。そんな人には次の質問。
3.白人校、黒人校は許されるか?
アメリカで、黒人は受け入れない白人校、黒人だけの黒人校をつくることは許されるだろうか?
強制的な分離ではない。誰でも通っていい学校を残した上での措置である。
白人なら「人種共学校と白人校を選べる」、黒人なら「人種共学校と黒人校を選べる」という状況。今の日本で「共学校 or 男子校」「共学校 or 女子校」を選べるのと同じだ。
「特定の人種だけが通える学校は生徒にとってもメリットがある」という理屈をひねりだすことは可能だ。差別されないとか自信が生まれるとか。それでも許されないだろうか。
人種も性別も「自分では選択できない属性である」という点では同じである。男子校や女子校が許されるなら、白人校や黒人校も容認されなくてはならない(経営的に成り立つかどうかはおいといて)。
でも「白人だけの学校を作る」ことには眉をひそめる人が多いのではないだろうか。そんな人に次の質問。
4.日本人学校、朝鮮学校は許されるか?
外国にある日本人学校、日本にある朝鮮学校は許されるだろうか?
特定の人種だけの学校という点では、白人校黒人校と同じだ。白人校が許されないのであれば日本人学校や朝鮮学校も差別となる。
「白人が白人ことばを学ぶ学校を作ります」と「日本人が日本語を学ぶ学校を作ります」は別物だろうか?
話が元の位置から遠くに来てしまった。男女問題の話に戻そう。
5.スポーツで男女を分けることは差別ではないか?
オリンピック競技はポロ以外はすべて男女に分かれている。男女で分かれていないプロスポーツをぼくは知らない。テニスなどには男女ペアという種目もあるが、あれに男子同士、女子同士のペアが出ることはできないので男女で線を引いていることに変わりはない。
「男女は体格も筋力も違うんだからあたりまえじゃないか」というかもしれない。
でもそれって平均の話、傾向の話だ。属性ごとの平均や傾向によって分ける、それこそが差別じゃないの?
男より大きい女も、女より力のない男もたくさんいる。
個々の能力を無視して平均的な傾向から「男は女より体力や筋力があるから女子マラソンに男子が出てはいけない」とするのは、「男子のほうがが体力があって理系的思考が得意だから医科大学から女子を排除してもよい」「〇〇地域出身者は犯罪者になる可能性が高いから我が社では採用しない」というのと同じではないだろうか。
じゃあ差別の基準ってどこにあるの?
ちゃんとした調査をしたわけではないが、現代日本人の多数派の感覚としては
「医科大学の入試で女子だけ減点するのはダメ」
「男子校や女子大はOK」
「白人校や黒人校はダメ」
「日本人学校や朝鮮学校はOK」
「スポーツで男女別に分けるのはOK」
「就職時に出身地で差別するのはダメ」
ではないだろうか。
「どっちですか?」と訊かれて直感で答えたら、ぼくの答えもそうなる。
こうして見てみると、OKなものとダメなものに論理的な線引きはない。
あるのはただひとつ、
「今あるものはOK、これまでなかった or 既に廃止になったものはダメ」
という基準だけだよね?
2018年8月10日金曜日
【読書感想文】三半規管がくらくらするような小説/小林 泰三 『玩具修理者』
『玩具修理者』
小林 泰三
『玩具修理者』『酔歩する男』の短篇中篇を収録。
『玩具修理者』
何でも直してくれる”玩具修理者”のもとに、死なせてしまった弟を連れてゆく表題作。
「死んだ人を生き返らせるというのはホラーではわりとよくある題材で、たいていはろくなことにならない。身体が腐ってしまったり心が失われてしまったり。『玩具修理者』もそういう展開かな、と思いながら読んでいたらちょっと意外なオチ。
なるほどー。突拍子がないわけではないが想定の枠内から漏れていた。鮮やかなオチだった。
お手本のような短篇ホラーだった。
『酔歩する男』
手児奈伝説(Wikipedia)を下敷きにしたSFホラー。シュレディンガーの猫、波動関数の収束、なんておよそホラーっぽくない単語も出てきて、ホラーというよりSFのほうが強い。いつ怖くなるんだろうと思って読んでたら、とうとう最後まで怖くならなかった。気持ち悪い話ではあるけれど。
時間は連続体じゃない、タイムトリップは能力ではなく「時間を連続体と思いこむ能力」の欠如だ、なんて着想はおもしろかったなあ。
小説に大事な能力って「いかに上手にほらを吹けるか」だと思ってるんだけど、これはじつに見事なほら話だった。
ファンタジーホラーとハードSFという対極のような2篇を収録しているのがおもしろい。
Amazonで感想を見てみたら「『玩具修理者』はおもしろかったけど『酔歩する男は』……」と「『酔歩』は良かった『玩具』はイマイチ」という意見に分かれていた。そりゃそうだろう、ぜんぜんテイストがちがうもの。
ぼくはどっちもそれぞれ楽しめたが、どっちかっていうと『酔歩する男』のほうが後まで引きずる感じでよかった。はたして昨日の自分は自分なのか、明日もそうなのかと考えてしまう、三半規管がくらくらするような小説だった。
その他の読書感想文はこちら
2018年8月9日木曜日
【DVD感想】バカリズムライブ『ぎ』
バカリズムライブ『ぎ』
・オープニング
『ぎ』というライブタイトルについての語り。
『ぎ』ではなく他の文字でもよかった、ただし『ぬ』はだめだ、あえてマニアックな文字を選ぶセンスのアピールがダサいから、しかし『の』は優しい、と独特の主張をおこなうバカリズム。トークから「バカリズムライブを擬人化する」というメタな構成のひとり芝居につながってゆき……。
はじめて「ゆず」というアーティスト名を知ったときに「うわあ、あえてかっこよさを目指してませんよっていうアピールが透けて見えてかえってダサいなあ」と感じたのを思いだした。
・(オープニングアニメーション)
「ぎ」の文字が流れてゆく映像と「ぎ」だけの歌詞の歌が流れるアニメーション。
・『過ぎてゆく時間の中で』
余命を教えてくれ、もう覚悟はできているからと医者に懇願する患者。
意外な余命を告げられ、残された時間の中で何ができるかと慌てだし……。
「大型連休の話じゃないですよね?」
「茹で時間の話じゃないですよね?」
演技力の高さが光るコント。コントというより喜劇といったほうがいいかもしれない。芝居として見入ってしまった。
電器屋に「溶けるスマホ」を探しにきた客と店員のやりとり。
レストランにてひたすら長いメニューを注文する客。
・(幕間アニメーション)『ギガ』
電器屋に「溶けるスマホ」を探しにきた客と店員のやりとり。
・『難儀と律儀』
これはちょっとイマイチだったなあ。幕間映像でもよかったような。
地球外生命体にしか見えない友人の告白「じつは他の……」
某テレビ番組のカメラリハーサル中に、「草野」役のスタッフが「黒柳」役や「まことくん」役のスタッフを叱りはじめる。
コントの仕掛けとしてはシンプルだが「足のくさいホランさん」「金に汚いLiLiCoさん」といったフレーズや、某番組のテーマ曲の使い方が絶妙。
今回のライブでを唯一「ぎ」がつかないコント。
のんが、ぬンターネット、にソコン、ぬレステ4のある「のんが喫茶」が舞台。
うーん、次の展開がほしかったな。これは期待はずれ。
区役所への行き方を尋ねる、区役所というあだ名をつけられる方法を尋ねられる……。
どMの男がデリバリー女王様を呼んだら、なぜか中年の男がやってきて……。
これは好きなコント。いい発想だなあ。「村上春樹」という小道具も絶妙。品のある中年男性にふさわしいチョイスだよね。
日曜の朝にテレビ局がしゃあなしでやっているような番組『月刊テレビ批判』。とあるサスペンス番組に寄せられた苦情を紹介する。
高校の三者面談。靴屋になりたいという生徒に進学を勧めるために「じゃあちょっと靴屋やってみよっか」と提案し……。
漫才コントの定番導入である「じゃあちょっとやってみよっか。おれが〇〇やるからおまえは……」のパロディ。安い芝居をする芸人への皮肉が込められていてにやりとさせられる。たしかにプロなら「ウイーン」はそろそろ終わりにしないといけないよね。
今回いちばん笑いの多かったコント。
お母さんがボケだしたときの担任のうれしさを隠しきれない顔がたまらない。
カフェで彼女と話す疑り深い男。
恋人が親に決められた婚約者と結婚することになった男。披露宴に乗りこんで花嫁を略奪しようかと思うがよく考えてみると……。
彼氏、花嫁、花婿それぞれの思惑が錯綜する様子を描いた、パワーポイントあり、歌あり、芝居ありのスケールの大きな(?)コント。
少しカッチリしすぎているコントだが、随所にばかばかしさをとりいれて頭でっかちな印象になりすぎないようにうまく調整されている。
すごくおもしろいわけではないけど、ラストにふさわしい完成度の高いコントだった。
「ぎ」と「の」だけの歌詞の歌。
前作『類』に比べると、笑い・奇抜性ともに少しスケールダウンしたかなという印象。
ただ、芝居のうまさは相変わらずなので演劇として見てもレベルが高いし、爆発的な笑いの起こるコントこそなかったもののすごく見劣りするコントもなかった。平均は下がってない。
今回は幕間映像がどれも良かった。アニメもバカリズム自身で作っているというからすごい。コントライブの幕間映像というと、箸休め的なものや「ファンには楽しめるもの」なんかが多いのだが、『ぎ』は幕間映像でもがっつり笑いをとりにきていた。
特に『疑惑の螺旋』は、大喜利として見たらそこそこレベルぐらいなのに「日曜朝の退屈な番組」っぽく見せることでなんだか妙なおもしろさが漂っていて好きだった。もしかしたらあのフォーマットに乗せたらなんでもおもしろくなるのかも。見せ方がうまいねえ。
数多くのコントを作っていたらどうしてもパターン化されてきそうなものなのに、バカリズムコントは趣向がそれぞれちがう。過去の作品とも似ても似つかぬコントを毎回放りこんでくる。
「常に新しいことにチャレンジする」という姿勢だけは不変だ。
・(幕間アニメーション)『銀』
地球外生命体にしか見えない友人の告白「じつは他の……」
・『ふしぎ』
某テレビ番組のカメラリハーサル中に、「草野」役のスタッフが「黒柳」役や「まことくん」役のスタッフを叱りはじめる。
コントの仕掛けとしてはシンプルだが「足のくさいホランさん」「金に汚いLiLiCoさん」といったフレーズや、某番組のテーマ曲の使い方が絶妙。
・(幕間アニメーション)『卒業』
なにかになることが夢だと語る青年。
「どこかの誰かが何者かになにかされてどうにかなっちゃうの」
・『の?』
今回のライブでを唯一「ぎ」がつかないコント。
のんが、ぬンターネット、にソコン、ぬレステ4のある「のんが喫茶」が舞台。
うーん、次の展開がほしかったな。これは期待はずれ。
・(幕間アニメーション)『律儀』
区役所への行き方を尋ねる、区役所というあだ名をつけられる方法を尋ねられる……。
・『六本木の女王』
どMの男がデリバリー女王様を呼んだら、なぜか中年の男がやってきて……。
これは好きなコント。いい発想だなあ。「村上春樹」という小道具も絶妙。品のある中年男性にふさわしいチョイスだよね。
・(幕間アニメーション)『疑惑の螺旋』
・『志望遊戯』
高校の三者面談。靴屋になりたいという生徒に進学を勧めるために「じゃあちょっと靴屋やってみよっか」と提案し……。
漫才コントの定番導入である「じゃあちょっとやってみよっか。おれが〇〇やるからおまえは……」のパロディ。安い芝居をする芸人への皮肉が込められていてにやりとさせられる。たしかにプロなら「ウイーン」はそろそろ終わりにしないといけないよね。
今回いちばん笑いの多かったコント。
お母さんがボケだしたときの担任のうれしさを隠しきれない顔がたまらない。
・(幕間アニメーション)『疑い男疑う』
・『疑、義、儀』
恋人が親に決められた婚約者と結婚することになった男。披露宴に乗りこんで花嫁を略奪しようかと思うがよく考えてみると……。
彼氏、花嫁、花婿それぞれの思惑が錯綜する様子を描いた、パワーポイントあり、歌あり、芝居ありのスケールの大きな(?)コント。
少しカッチリしすぎているコントだが、随所にばかばかしさをとりいれて頭でっかちな印象になりすぎないようにうまく調整されている。
すごくおもしろいわけではないけど、ラストにふさわしい完成度の高いコントだった。
・(エンディング)
「ぎ」と「の」だけの歌詞の歌。
前作『類』に比べると、笑い・奇抜性ともに少しスケールダウンしたかなという印象。
ただ、芝居のうまさは相変わらずなので演劇として見てもレベルが高いし、爆発的な笑いの起こるコントこそなかったもののすごく見劣りするコントもなかった。平均は下がってない。
今回は幕間映像がどれも良かった。アニメもバカリズム自身で作っているというからすごい。コントライブの幕間映像というと、箸休め的なものや「ファンには楽しめるもの」なんかが多いのだが、『ぎ』は幕間映像でもがっつり笑いをとりにきていた。
特に『疑惑の螺旋』は、大喜利として見たらそこそこレベルぐらいなのに「日曜朝の退屈な番組」っぽく見せることでなんだか妙なおもしろさが漂っていて好きだった。もしかしたらあのフォーマットに乗せたらなんでもおもしろくなるのかも。見せ方がうまいねえ。
数多くのコントを作っていたらどうしてもパターン化されてきそうなものなのに、バカリズムコントは趣向がそれぞれちがう。過去の作品とも似ても似つかぬコントを毎回放りこんでくる。
「常に新しいことにチャレンジする」という姿勢だけは不変だ。
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