旧友たちと話していて
「なぜイタズラ電話魔は、女性にパンツの色を尋ねるのか」
という話になった。
「なぜイタズラ電話魔は、女性にパンツの色を尋ねるのか」
という話になった。
実際に遭遇したことはないけれど、漫画の世界では、イタズラ電話といえば
「ねぇねぇ、お姉さんどんなパンツ履いてんの? ハァハァ……」
ってのが定番になっている。
「ねぇねぇ、お姉さんどんなパンツ履いてんの? ハァハァ……」
ってのが定番になっている。
考えてみれば、とても効率の悪そうなイタズラだ。
まず、無作為に電話しても好みの女性にたどりつけるかわからない。
相手がどんな人かを判断する手がかりも、声しかない。
女性にとって答えるメリットのない質問だから回答率は低そうだ(せめて「下着に関するかんたんなアンケートに答えるだけでQUOカード500円分が当たる!?」みたいにすればちょっとぐらいは答えてくれるかもしれないのに)。
だいいちそこまでしても得られるのが「どこの誰だかわからない人の下着の色」というわずかな情報だけなのが、割にあわない気がする(じゃあ何ができたら割りにあうのかという疑問は今は置いておく)。
「そもそもパンツの色なんか訊かれたって、答えたくても答えられないよね。自分が今日はどんな色の下着を身につけてるかなんて、意識してないもん」
ぼくが云うと、その場にいたひとりの女友だちが首を振った。
「あたしは言えるよ。自分が今日はどんな色の下着してるか」
「あたしは言えるよ。自分が今日はどんな色の下着してるか」
「えっ。うそ」
「ほんと」
「見なくてもわかるの」
「わかるよ。女の人はだいたい把握してるんじゃないかなあ。自分が今履いてるパンツの色を」
「じゃあ今は?」
「んー黒」
「見せて」
「それはやだ」
「なんでパンツの色なんか覚えてるの」
「だってほら。何が起こるかわからないじゃない。とんでもなくかっこよくて優しくて大金持ちの男の人と知り合って、その日のうちにゴニョゴニョならないともかぎらないでしょ。そのときになって今わたしどんな下着してるっけ、ってあわてるわけにはいかないじゃない。だから常に把握してる」
「えー。そんなアバンチュールに身を任せちゃうタイプなんだ」
「いや、ないけど。30年生きてきてそんなこと一度もないけど。でも一応備えておくのが女のたしなみってやつよ」
「ほんと」
「見なくてもわかるの」
「わかるよ。女の人はだいたい把握してるんじゃないかなあ。自分が今履いてるパンツの色を」
「じゃあ今は?」
「んー黒」
「見せて」
「それはやだ」
「なんでパンツの色なんか覚えてるの」
「だってほら。何が起こるかわからないじゃない。とんでもなくかっこよくて優しくて大金持ちの男の人と知り合って、その日のうちにゴニョゴニョならないともかぎらないでしょ。そのときになって今わたしどんな下着してるっけ、ってあわてるわけにはいかないじゃない。だから常に把握してる」
「えー。そんなアバンチュールに身を任せちゃうタイプなんだ」
「いや、ないけど。30年生きてきてそんなこと一度もないけど。でも一応備えておくのが女のたしなみってやつよ」
すごい。
素直に感心してしまった。
はたして彼女のいうとおり女性はみんな自分の下着の色を把握しているのだとしたら、女性たちはなんという緊張感の中に身をおいて生きているのだろう。
はたして彼女のいうとおり女性はみんな自分の下着の色を把握しているのだとしたら、女性たちはなんという緊張感の中に身をおいて生きているのだろう。
はっきりいってぼくにはそんな緊張感なんぞ皆無である。
パンツを履いた1分後にはもうパンツのことなんて忘れている。
パンツを履いた1分後にはもうパンツのことなんて忘れている。
ぼくのもとにイタズラ電話がかかってきて「ねえねえ。今どんなパンツ履いてるの?」と訊かれたとしても、きっと答えられない。
「あーわかんないなー。ヒントちょうだい。それか3択にしてくんない? せめて履いてるか履いてないかだけでも教えて!」とか言っちゃいそうだ。
自分のパンツの色を把握している人は、いつ来るかわからない地震のためにちゃんと防災グッズを用意している人だと思う。
不測の事態に対する備えが完璧なタイプ。
不測の事態に対する備えが完璧なタイプ。
万が一の状況への意識の差がこういうところに表れているのだ。
ぼくみたいにセンサー感度が低い人間は、地震のときに逃げ遅れたり、美女とのアバンチュールという千載一遇のチャンスをよれよれのパンツのせいで棒にふってしまったりするのだろう。
そうか。
イタズラ電話の主は、パンツの色そのものを知りたいのではなく、この質問に即答できるかどうかを探ることによって生物としての危機回避能力の高さを確かめようとしているのかもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿