2016年7月10日日曜日
2016年7月9日土曜日
【読書感想文】 エド・レジス 『不死テクノロジー―科学がSFを超える日』
エド・レジス『不死テクノロジー―科学がSFを超える日』
「最先端科学のさらに先をいく理論」の本。
「今の科学では実現不可能だけど、将来的にも不可能だとは立証されていないこと」に挑戦する科学者たちを紹介している。
サイエンス2割、伝記2割、SFが6割という感じ。
1993年に書かれた本だけど、内容はまったく古びていない。
なぜならこの本で予想されている未来は、まだぜんぜん実現していないから。
たとえば......。
作り方はこう。
小さなロボットを作る。
そのロボットには「自分と同じ動きをする、自分より小さなロボットを作る」というプログラムを組んでおく。
すると、ロボットがひとまわり小さなロボットを数体作り、そのロボットがもっと小さなロボットを数体作り……となって、ナノサイズの動きを制御できるロボットが大量にできあがる。
このロボットは分子単位の操作ができる。鉄を金にすることはできないが(原子が違うから)、炭素をダイヤモンドにすることは可能かもしれない(同じ炭素原子からできているから)。
分子を並び替えることによって、牛がいなくても牛肉がつくれる。
金属の分子を並び替えることによって車も宇宙船もつくれてしまう。
そうなると、生産のための労働は不要になる。
このナノロボットを使えば細胞レベルで治療ができるから、ガンもあっという間に治せる。
それどころではない。
人間を冷凍保存して、数万年後に解凍する。解凍時に破損した細胞はナノロボットで治せるから、未来旅行もできてしまうのだ。
おお。
バラ色の未来。
しかもこれってそう遠くない未来にできそうなことだよね。
ひょっとすると百年後には実用化してるんじゃないかっていう気もする(『不死テクノロジー』によると、もう未来での復活を信じて冷凍されている人はたくさんいるんだって。復活した人はまだいないみたいだけど)。
星新一ファンのぼくからすると「冷凍保存して未来の世界に生まれ変わったら、そこは現代よりもずっと退屈な世の中だった」というシナリオしかイメージできないけど……。
ただ、この本で描かれる未来の技術は、こんなもんじゃない。
SFだとしても「ありえない」ぐらいの未来を、本気で信じている人がいる。
「宇宙へ出ていって、コロニー(居住空間)をつくる」方法を模索している人たちの話。
なんて壮大なスケールの空想……。
「99.9999%失敗するだろ」としか思えない無謀な試み。
でも、その「0.0001%」に挑戦してきた人がいるからこそ、今、人類が宇宙に進出できてるわけだしね。
ライト兄弟が有人飛行に成功するまでは、「人間を乗せて空を飛ぶなんて理論上不可能だ」と科学者にすら思われていたそうだ。
そう考えると、宇宙コロニーもありえないことではないのかも。ひょっとするとあと百年くらいで形になっているのかもしれないね。
それにしても感心するのは、この本に出てくる科学者たちの、科学への全幅の信頼と、底抜けのポジティブさ。
「地球環境を守って住みよい地球にしよう」と皆が話しているときに、
「じゃあ地球なんて捨てて別の居住地を作っちゃえばいいじゃん!」という発想。
発想の次元がちがいますよね。
もう楽観的というか、傲慢というか......。
彼らからすると、地球は「ただ偶然に固まっただけの欠陥品」で、「現在のバージョンの太陽系はエネルギー効率が悪い」。
ぼくみたいな常識にとらわれたつまんない考えしかできない人間からすると、ただもう呆然とするばかり。
太陽を分子加速器の巨大なリングのなかに入れて絞りあげ、太陽を分解して必要なエネルギーを取りだそう、なんてアイデアが出てくるに及んでは、もう完全についていけない……。
そんな中、ぼくが「これはもうすぐ実現するんじゃないかと思ったのは、「心の転送」というアイデア。
人間の情報、思想、記憶なんてものはすべて情報だから、これらすべて読み取り、情報記憶装置に移すというもの。
人間の脳内のデータをすべてコンピュータに移植するってことだね。
こうすれば移動(転送)も容易なので、宇宙旅行もかんたん。死ぬこともないし、万が一のデータが消失してしまうという事態に備えてバックアップをとっておくこともできる。
これができれば、もう宇宙コロニーも必要なくなるよね。
一ヶ所にいながらにして何でもできちゃうんだから。
これはひょっとするとあと十年くらいでできちゃうんじゃないかな。
脳内で起こっていることを解析する研究はどんどん進められていってるし、データを保存するサーバーは今でもあるし。
いや、ひょっとするともう実現してるかも。
たとえば火星や金星には(我々が思うところの)生命体は存在しないけれど、たとえばただの電気信号だけの存在となって思考したりコミュニケーションをとったりしているやつらがいるとか……。
2016年7月5日火曜日
【エッセイ】手のひらに ほくろができたら 病院へ(不健康川柳)
手のひらにほくろができた。
「足の裏にほくろができたら要注意」と聞いたことがある。
悪性のガンだった場合、歩くたびにそれが刺激され、どんどんガンが進行してしまうのだとか。
じゃあ手のひらはどうなんだろう。
足の裏ほどではないが、手のひらだって刺激の多い部位だ。
病院に行ったほうがいいのだろうか。
でも「たかがほくろで……w」と、医者に鼻で笑われそうな気がする。
こわくなってきたのでインターネットさんに訊いてみる。
「手のひら に ほくろ が できた が 大丈夫か いや 大丈夫でしょうか」
と入力して検索。
すると、占いのサイトばかりが出てきた。
求めていた情報とはちがう。
健康関連のサイトを見たかったのに。
が、ひとまず安心する。
占いをする余裕があるということは、健康でいられるということだもんな。
ガンで余命半年の人は、自分の将来を占ってもらったりしないもんな。たぶん。
せっかくなので占いのサイトを見てみる。
ほくろがひとつできただけでも、その位置によっていろいろ意味が変わるらしい。
たしかに、東シナ海に小島がひとつできただけでも、それが日本領海内にできたのか、中国領海内なのか、公海なのかで大きくアジア情勢が変わるもんな。
そういう話じゃないか。
ほくろができたのは手のひらのなかでも、手首に近い位置。
この位置のほくろは、「運動機能の低下」をあらわしていると書いてあった。
さらには「内臓の不調かも。病院に行ったほうがいい」とまで書いてあった。
なんだよー!
結局病院案件かよー!
「足の裏にほくろができたら要注意」と聞いたことがある。
悪性のガンだった場合、歩くたびにそれが刺激され、どんどんガンが進行してしまうのだとか。
じゃあ手のひらはどうなんだろう。
足の裏ほどではないが、手のひらだって刺激の多い部位だ。
病院に行ったほうがいいのだろうか。
でも「たかがほくろで……w」と、医者に鼻で笑われそうな気がする。
こわくなってきたのでインターネットさんに訊いてみる。
「手のひら に ほくろ が できた が 大丈夫か いや 大丈夫でしょうか」
と入力して検索。
すると、占いのサイトばかりが出てきた。
求めていた情報とはちがう。
健康関連のサイトを見たかったのに。
が、ひとまず安心する。
占いをする余裕があるということは、健康でいられるということだもんな。
ガンで余命半年の人は、自分の将来を占ってもらったりしないもんな。たぶん。
せっかくなので占いのサイトを見てみる。
ほくろがひとつできただけでも、その位置によっていろいろ意味が変わるらしい。
たしかに、東シナ海に小島がひとつできただけでも、それが日本領海内にできたのか、中国領海内なのか、公海なのかで大きくアジア情勢が変わるもんな。
そういう話じゃないか。
ほくろができたのは手のひらのなかでも、手首に近い位置。
この位置のほくろは、「運動機能の低下」をあらわしていると書いてあった。
さらには「内臓の不調かも。病院に行ったほうがいい」とまで書いてあった。
なんだよー!
結局病院案件かよー!
2016年7月2日土曜日
【エッセイ】あたしが超能力者を嫌いな3つの理由
あたしは超能力者の連中が大嫌いだ。
心の底から毛嫌いしているといってもいい。
あたしが超能力者に対して嫌悪感を抱いているのには、3つの理由がある。
これを読めば、きっとあなたも、この怒りを理解してくれるだろうう。
1. すぐに心を読む
超能力者の連中ときたら、すぐにこちら脳内にアクセスしてきて、考えていることをのぞきみようとしてくる。
超能力者のやつらは、気づかれてないと思っているんでしょうね。
でもいっておきますよ。非超能力者からしたらバレバレですから!
すごくやらしい顔をして見てくるから、「あっ今こいつ心を読もうとしているな」ということがまるわかり。
こないだも電車のなかで、ちらちらこっちの心をうかがってるやつがいたの。
読まれないようにガードかけてやったら、あわてて「読んでませんよー」みたいな顔で目をそらしてやんの。
バカみたい。
好きでもない人に心をのぞかれるのはセクハラでしかない。
ほんと気持ちが悪い。
痴漢と、心を読んでくる超能力者は、社会の害悪でしかないですからっ!
ついでに言うと、直接心の中に話しかけてくるやつも、びっくりするからやめてっ!
2. マナーが悪い
たとえば、念力っていうの? 離れてる場所にある物を動かすやつ。
地面に落ちていたタバコの吸い殻が急に浮き上がって、そのまますーっと灰皿まで飛んでいく。
あれ、超能力者からしたら善行のつもりなんでしょうね。
「ポイ捨てされた吸い殻拾ってる俺かっけー」ってな気分なんでしょう。
でも、周りからしたらびっくりするし、危ない。
火がついたままだったらどうすんのよって思う。
念力が狂って子どもに当たったらどうすんのよって思う。
ポイ捨てと念力、ほんと嫌い。
たまに、へたなくせに念力使うやついるでしょ。
そういうやつにかぎって、手で動かせばいいようなものを念力で動かしたりするのよね。
制御できてないのか知らないけど、オーラっていうの?あれがこっちまで飛んでくることがあって、あぶなっかしくてしょうがない。
飛び散ったオーラのせいで何度あたしのスプーンを曲げられたことか。
3. 己の超能力をやたらと自慢してくる
何度か超能力者と合コンしたことがあるんだけど、あいつらってほんと鼻持ちならないのよね。
なにかというと非超能力者を下に見てくる。
超能力者の何がイヤって、素直じゃないとこ。
「まあ一応サイコキネシスとテレポートぐらいならできますけど......」
とかいうでしょ。
なにが「まあ一応」よ。
自慢に思ってることがミエミエですから!
まだ素直に自慢してくるほうがマシ。
なんでか知らないけど、超能力者って絶対に「おれ苦労してるんだぜ」ってのをアピってくるでしょ。
ここで、あたし的『超能力者がよく言うセリフ ベスト3』を発表します!
第3位
第2位
第1位
「あー、あるある」って思ったでしょ。
超能力者ってすぐこういうこと言うでしょ。
自虐のつもりかもしれないですけど、非超能力者からしたら自慢でしかないですよー!
せっかく心が読めるんだから、その発言がうざがられてることに気づいてくださーい!
2016年6月29日水曜日
【エッセイ】へばぶー
へばぶー。
うちの娘が生後9ヶ月で、まだ人間の言葉をしゃべれなかったときのこと。
「だー」とか「ばー」とかの音を発するだけで、電子レンジとかの音の鳴る機械とあまり変わりませんでした(いや電子レンジの音には「あたため完了」という意味があるのでレンジのほうが高性能ですね)。
あるとき、娘がお母さんのほうを向いて、「まーまー」と言いました。
これはオール子育て世代が必ず一度は経験するあるあるネタだと思いますが、当然ながらうちでも
「まあこの子はもう『ママ』といったわ!天才ね!」
とゲロが出るぐらい陳腐なリアクションをしました。
すると、娘はくるりと振りかえってぼくの顔をまじまじと見つめ
「へばぶー。」
と言ったのです。
その日からです。
妻がぼくのことを「へばぶー」と呼ぶようになったのは。
「へばぶー、洗濯物ほしといてー!」
自宅で言われるならまだしも、
「へばぶー、お金払っといて!」
外出先で云われることもあります。
もともと二銭五厘くらいしかなかった夫の威厳が、さらに値下がりしております。
まるで、うちの家にいそうろうさせてもらっている「へばぶー」という名の変な怪獣みたいな扱いです。
珍獣へばぶーと子どものふれあいを題材にえほんが1冊書けそうです。
あれから2年ほどたちましたが、いまだに我が家でのぼくの扱いは「へばぶー」です。
もう娘ははっきりと「おとうさん」としゃべれるのですが、ときどきお母さんの真似をして「へばぶー」と言います。
このままだと娘がいずれ結婚するときに、
「おかあさん、へばぶー、今までほんとうに……」
みたいな手紙を読んで、いちばん泣けるくだりが台無しになりそうです。
どうすればよいのでしょうか。
へばぶー、困ってます。
うちの娘が生後9ヶ月で、まだ人間の言葉をしゃべれなかったときのこと。
「だー」とか「ばー」とかの音を発するだけで、電子レンジとかの音の鳴る機械とあまり変わりませんでした(いや電子レンジの音には「あたため完了」という意味があるのでレンジのほうが高性能ですね)。
あるとき、娘がお母さんのほうを向いて、「まーまー」と言いました。
これはオール子育て世代が必ず一度は経験するあるあるネタだと思いますが、当然ながらうちでも
「まあこの子はもう『ママ』といったわ!天才ね!」
とゲロが出るぐらい陳腐なリアクションをしました。
すると、娘はくるりと振りかえってぼくの顔をまじまじと見つめ
「へばぶー。」
と言ったのです。
その日からです。
妻がぼくのことを「へばぶー」と呼ぶようになったのは。
「へばぶー、洗濯物ほしといてー!」
自宅で言われるならまだしも、
「へばぶー、お金払っといて!」
外出先で云われることもあります。
もともと二銭五厘くらいしかなかった夫の威厳が、さらに値下がりしております。
まるで、うちの家にいそうろうさせてもらっている「へばぶー」という名の変な怪獣みたいな扱いです。
珍獣へばぶーと子どものふれあいを題材にえほんが1冊書けそうです。
あれから2年ほどたちましたが、いまだに我が家でのぼくの扱いは「へばぶー」です。
もう娘ははっきりと「おとうさん」としゃべれるのですが、ときどきお母さんの真似をして「へばぶー」と言います。
このままだと娘がいずれ結婚するときに、
「おかあさん、へばぶー、今までほんとうに……」
みたいな手紙を読んで、いちばん泣けるくだりが台無しになりそうです。
どうすればよいのでしょうか。
へばぶー、困ってます。
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