あたしはバイクのかっこよさがまったくわからない。
ていうかあれかっこいい?
暴走族の改造バイクは論外として(ていうかニホンオオカミが絶滅したのと同じタイミングでもう滅びたんだよね?)、大型バイクも中型も原付もかっこよくない。
造形といい、材質といい、排気音(っていうの? あの「でっでっでっでっ」ってやつ)といい、ぜんぜんだ。
かっこわるいとは言わない。
だってなんとも思わないもの。
冷蔵庫を見ても「かっちょいい!」とか「かっこわりいなー」とか思わないでしょ?
それとおんなじ。
冷蔵庫の「ブーン」って音を聴いても、
「おっ、いかした声で鳴くマシンだな」
とか思わないでしょ?
……えっ、思うの?
そういう人は高専に行きなさい。
そんでロボコンで青春の汗を流してきなさい。
そんで1回戦で勝って仲間と抱きあって喜び、続く2回戦でマシントラブルに見舞われて悔し涙を流しなさい。
その後バイクメーカーに就職して、開発の仕事をしなさい。
そんで冷蔵庫の「ブーン」とまったく同じ音で走るバイクを開発しなさい。
2016年4月24日日曜日
2016年4月23日土曜日
【読書感想文】マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』
マイケル・サンデル『それをお金で買いますか』
「金で買えないものはない」
という人がいる。
もちろん、そんなことはない。
お金で買えないものはある。
たとえば「お釣り」とか。もらうことはできても買うことはできない。
はい、利かせてみましたよ。とんちを。
「世の中お金じゃない」
という人がいる。
これもうそだ。
お金なしで生きていくのは不可能。
田舎で畑をつくって自給自足の生活をしている人はいるだろうが、大気や安全も誰かのお金によって守られていると考えると、その人もお金の恩恵を受けて生きている。
畑泥棒が跋扈する世の中では自給自足の生活は送れないからね。
大概のものはお金で取引可能だけど、そうではないものもある。
じゃあその境界線ってどこにあるの?
いや、どこに境界線を引くのが正しいの?
という問いに対してじっくり考察したのが『それをお金で買いますか』だ。
たとえば、こんな例。
絶滅の危機に瀕しているアフリカのクロサイ。絶滅危惧種なのでもちろん猟は禁じられているが、なんと15万ドルを払えばクロサイを撃ち殺す権利が買える。
と聞くと、動物の命も金次第か、とイヤな気持ちになるでしょう。
ところが、ことはそう単純な話ではない。
クロサイを撃つ権利をハンターに販売できることで、民間の牧場主はクロサイを保護して繁殖させるインセンティブが得られる。
結果として、クロサイの数は回復しはじめている。
クロサイを殺す権利を金で売ることができるようになったことで、種全体としてはクロサイは守られている。
それでも、快楽のためにクロサイを殺す権利を売ることはいけないのか?
難しいところだよね……。
お金の扱いは難しいと、『それをお金で買いますか』を読んでつくづく思う。
こんな例。
これはよくわかる。
ぼくも、友人に「引っ越しするから手伝いにきてよ」と言われたら「しょうがないな」と云いながらも手伝いにいく。
でも「1,000円あげるから引っ越し手伝いにきてよ」と言われたら、「1,000円ぐらいで来ると思うなよ」と行きたくなくなる。
お金はたくさん欲しいけど、いついかなるときでも欲しいかというと、そうでもないんだよね……。
べつにきれいごとをいうわけじゃないですけど、お金で売り買いしてほしくない領域というのはある。
最後に、なるほどそのとおり! と思わず膝を打った文章をご紹介。
そうなんだよね、すべてが商品になるって、しんどいことなんだよね……。
2016年4月21日木曜日
【考察】頭でっかちの貴様
「彼は頭でっかちの人間だ」
という言い回し。
たぶん本来の意味としては
「理論や知識ではなく、行動も必要だ」
ということなんだろう。
でも
「おまえは頭でっかちだから……」
と相手を恫喝する人間の99.9%は、
「おまえはおれの知らないことを知っているから気に入らない」
という意味で使ってるよね。
という言い回し。
たぶん本来の意味としては
「理論や知識ではなく、行動も必要だ」
ということなんだろう。
でも
「おまえは頭でっかちだから……」
と相手を恫喝する人間の99.9%は、
「おまえはおれの知らないことを知っているから気に入らない」
という意味で使ってるよね。
2016年4月20日水曜日
【思いつき】メモリの限界
用事を片づけようと立ち上がる
↓
ごみが落ちてるのに気づいて拾う
↓
「あれ? いま、ぼく、何しようとしてたんだっけ……」
ってこと、よくありますよね。
PCで文章をコピーする
↓
ちょっと入力作業をする
↓
貼り付けしようとする。コピーした情報が消えてる!
ってことがよく起こるんだけど、あれかね、パソコンも
「あれ、おれいま何しようとしてたんだっけ……」
ってなるのかね?
↓
ごみが落ちてるのに気づいて拾う
↓
「あれ? いま、ぼく、何しようとしてたんだっけ……」
ってこと、よくありますよね。
PCで文章をコピーする
↓
ちょっと入力作業をする
↓
貼り付けしようとする。コピーした情報が消えてる!
ってことがよく起こるんだけど、あれかね、パソコンも
「あれ、おれいま何しようとしてたんだっけ……」
ってなるのかね?
2016年4月17日日曜日
【エッセイ】こいつ、あたしの蒸しアナゴを……!
妻のおかあさんがお寿司を買ってきてくれた。
ありがとうございます!お寿司大好き!
いっしょに食べることになった。
お寿司はにぎりの盛り合わせ。
とても種類が多い。
マグロやタコ、玉子はもちろん、ヒラメや赤貝など、ちょっとめずらしいのもある。
いろんな種類が、ひとつずつ。
ひとつずつ……。
お義母さんとの食事なのに、ひとつずつ……。
こまった。
ずっと昔に友人とふたりで飲みにいったとき、お互いに「あいつに借りればいいや」と思ってたためにふたりあわせて所持金が1500円くらいしかなくて、しかもそのことに会計時に気づいくということがあったが、そのときと同じくらいこまった。
これはやばい。
世の中に100パーセントはないというけれど、これだけは自信を持って言える。
寿司に順列をつけない人間は100パーセントいない!!
どんなに博愛精神に満ちあふれた人でも、すべての寿司と平等に接することはできない。
ハマチに目がなかったり、イクラがだめだったり、セロリが好きだったりするのね、と山崎まさよしも歌ってました。
甲本ヒロトも
「生まれたところや 皮膚や眼の色で
いったいこのぼくの
なにがわかるというのだろう?」
と歌ってたが、彼もぜったいに魚種や赤身か白身かで寿司ネタを差別しているはずだ。
もちろんぼくにも寿司ネタの好き嫌いはある。
先輩に寿司屋でごちそうしてもらっても、尊敬できない先輩だったらまちがえたふりしてそいつの分まで食べちゃうぐらい蒸しアナゴは好きだ。
その一方でイカに関してはぜんぜん興味がないから、合コンで男が聞かれてもいないのに「これおれのバイク」って携帯に入ってるバカでかいバイクの写真を自慢げに見せてきたときの女の子ぐらい興味ない顔で、イカのことを見てる。
だからお義母さんにもとうぜん、いちばん好きなネタがあるはずだ。
さあそれはなんなのか。
ハマチなのかタコなのかウニなのか。
今後のお義母さんとの関係を、ひいては夫婦関係を良好に保つためには、ぜったいに「お義母さんのNo.1ネタ」に手をつけるわけにはいかない。
ここはストレートに訊いてみるのがいちばんだ。
「お寿司はなにがお好きですか?」
「わたしはなんでもいいから、犬犬さん、好きなの食べちゃってくださいね」
……うそつき!
そんなわけはない! ぜったいに好きなネタがあるはずだ。
うっかりぼくがそれを食べてしまった日には、
「うちの婿ったら、あたしのウニを食べたのよ。べつにいいんだけど。べつにいいんだけど、やっぱり家柄がアレなのかしらねー」
とかご近所で言いふらすほど根にもつ寿司ネタがぜったいにあるはずなのに!
しかし「なんでもいい」と言われてしまった以上、もう訊けない。
「そんなわけないでしょ、人間だもの。ほんとは何が好きなんだよ!」とは言えない。
逆に質問された。
「犬犬さんは、何が好きなんですか?」
「いや、ぼくもこれといってないんですけどねー」
ぼくもまた手の内を明かさない。
ここで「じつは蒸しアナゴに目がなくて……」と言えば、話はかんたんだ。
お義母さんは「じゃあ蒸しアナゴどうぞ」と言ってくれるはずだ。
ぼくは大好きな蒸しアナゴにありつける。
だが。
蒸しアナゴはひとつしかない。
もしも、お義母さんの「No.1寿司ネタ」も蒸しアナゴだったなら。
それでもお義母さんは「どうぞ」と言ってくれるだろう。
しかし腹の中は「こいつ、あたしの蒸しアナゴをっ……!」と怒りで煮えくりかえっているにちがいない。
それだけはぜったいに避けなければならない。

「さあ、どうぞどうぞ」
お義母さんがすすめてくる。
もうこうなったら、食べないわけにはいかない。
ぼくは慎重に寿司盛り合わせに目をくばる。
トロ、ヒラメ。
このへんは論外だ。
いちばん好きかどうかという以前に、いきなり手をつけていいネタではない。野球部の新入部員が「じゃあぼくバッターやるんで先輩外野行ってください」と言うようなものだ。
甘エビ、ウニ、イクラ。
これらも危険だ。
好き嫌いがわかれるネタであるが、その分、好きな人は深い愛情を持って接する。
「No.1寿司ネタ」である可能性が高い。
ここは無難に……。
ぼくは玉子に手を伸ばす。
数ある寿司ネタのなかで、まさか玉子が1位ということはないだろう。
玉子なんてぜんぜん食べたくないが、今後の親戚付きあいのためにはいたしかたない。
玉子をほおばりながら、そっとお義母さんの顔をのぞきみる。
大丈夫、その瞳は憎しみの炎で燃えてはいない。
次はお義母さんの番だ。
さあ、何をとる。
……なるほど、エビか。
いい選択だ。
きわめて無難。
甘エビならいざしらず、エビもNo.1になる可能性は低いだろう。
これでますます今後のネタの選択が難しくなった。
玉子とエビが消え、人気のネタ比率が高まった。
鉄火巻き、かっぱ巻き、ツナマヨ、ネギトロ、イカ、トリ貝……。
No.1ではあるまいと自信を持ってチョイスできるのはこのあたりまで。
サーモンやハマチなんかは、「これで親戚関係にヒビが入るかも……」という緊張感をもってつまむしかないネタだ。
これはまるでロシアンルーレット。
いつ被弾するかわからないという恐怖感を抱えたまま、寿司盛り合わせを食べるしかない……!
そのとき。
妻が「じゃああたしアナゴもらいまーす!」と云って、蒸しアナゴをつまんだ。
あっ。
ぼくのNo.1ネタの蒸しアナゴ。
そしてぼくは見逃さなかった。
お義母さんの眼にほんの一瞬、ゼロコンマ1秒にも満たない時間、さっと影がさしたのを。
そのわずかな変化をぼくがとらえることができたのは、細心の注意を払って顔色をうかがっていたからだ。
そうでなかったら必ず見のがしていた、それほど微細な変化だった。
蒸しアナゴがお義母さんのNo.1だったのだ。
よかった。
妻がとってくれて。
義母からすれば、かわいいわが子ににとられたら本望だろう。
ぼくとしても、絶対君主である妻にとられたのなら、異論があろうはずがない。
かくして、No.1ネタ問題は後くされのない形で決着し、わが家の平穏は無事に保たれた。
というわけでお義母さん!
今度から各種類1個ずつしか入っていない寿司の盛り合わせを持ってくるのは勘弁してください!
あと種類がばらばらのケーキ詰め合わせも!
登録:
投稿 (Atom)