2016年10月8日土曜日

【エッセイ】さながら石油王

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今日は会社の飲み会。
妻に対しても、一週間前から「帰りが遅くなる」と言ってある(上司への報告は社会人の基本だからね)。

そんなとき、妻が風邪をひいた。
かなりしんどいらしく、朝から寝込んでいる。


これは……。

チャンス!!

圧倒的チャンス!!



他の家庭はどうか知らないが、夫婦の立場というのはポイント制だとぼくはとらえている。

ごはんを作ったら2FP、洗い物をしたら1FPがプレイヤー(夫または妻)に加算される。
 ※FPとは夫婦ポイントのこと

逆に、連絡なしに帰りが遅くなった場合や、余計なものを買ったことがばれた場合などはFPが減点される。


日常のあらゆる行動に対して、FPのプラスマイナスが規定されており(ポイントは夫婦によって異なる)、
このFPの累積によって各プレイヤーのランクが決定し、すなわち家庭内での地位が確定する。
(つまりぼくのFPは妻よりも圧倒的に少ないということになる)


また、プレイヤー間のFPに著しい差が生じた場合は、上位のプレイヤー(=妻)は下位のプレイヤー(=夫)に対して攻撃を加えることができる。
攻撃とはすなわち、怒りを爆発させるということであり、
この際の攻撃力は、

(直近1ヶ月のFP差)+(直近1週間の相手のマイナスFP)/(1+(直近1週間の相手の獲得FP))×14.2

という式で求められる。


さらに、攻撃力が550を超えると、特別ボーナスが加算される。

属性が同じ相手プレイヤーのエラーを過去40年までさかのぼって召喚し、攻撃力に加算することができるのだ。
「4年前のあのときもあなたはこう言ったわよね!」という過去ほじくり攻撃である。


相手プレイヤーの攻撃を抑えるためには、労働によってFPを稼ぐか、課金によって相手の攻撃力を削るしかない。
(だが課金しすぎるとインフレを起こし、効果が薄れるので要注意)



このゲームにおいてプレイヤーが有利に振る舞うための戦術は
「獲得できるときにポイントを稼いでおく」
だ。


だから、妻が風邪をひいたというこの状況は、願ってもないチャンスなのだ。

「病気の妻を看病する」
これはかなりの高ポイントだ。
40FPは堅い。

さらに、FPは行為の内容だけではなくタイミングによって大きく左右される。
(たとえば「友人と飲みにいく」は通常マイナス7FPほどだが、それが妻の誕生日だったりすると6掛けのマイナス42FPとなる)

逆に「飲み会をわざわざキャンセルして病気の妻を看病する」となると、ポイントは一気に3倍、つまり120FPが獲得できる。

一夜にして洗い物120回分のFPが取得できるチャンス

飲み会なんかに行ってる場合じゃない!



こないだクレジットカードのポイントが10,000円分くらい貯まっているのを発見して、思わぬボーナスをもらったようでうれしかったんだけど、そのときより嬉しい。


さあ、この貯まったFPを何に使おうか。

日曜日に昼頃まで布団でごろごろ寝てやろうか。

部屋の片付けをせずに寝てやろうか。

ぼくの担当業務であるトイレ掃除を今週はサボってやろうか。


なんたって120FPもあるんだからな。
なんだってできちゃうぜ。

庭から石油が湧いて急に石油王になった人も、きっとこんな気分なんんだろうな。



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