2015年7月24日金曜日

大正時代の国語辞典

祖母の本棚から、大正十三年発行の国語辞典『言海』が出てきた。


初版は明治三十七年。



天皇、皇太后、皇后、皇太子に献上と書いてある。
明治二十四年の文章だから、皇太子が大正天皇のことか。


序文は漢文。



『ねこ』で調べてみる。

「古くは、ねこま。人の家に飼われる小さき獣、温柔で馴れやすく、よく鼠を捕るので飼われるが、盗み食いの性質があり、形は虎に似て、大きさは二尺足らずで、眠るのを好み、寒いのが嫌いで、毛色は白や黒や黄色やぶちなど様々で、その眼は朝は丸く、次第に縮んで、正午には針のようになり、午後はまた次第に広がって、晩には再び玉のようになる。暗いところでは常に丸い」
と書いてある(たぶん)。

辞書の説明というより随筆のよう。
眼の説明に力を入れすぎだろ。

2015年7月23日木曜日

電力会社からのチェーンメール

 東北の大地震の後に、旧友から
「関西電力に勤めてる人から聞いたんだけど、電力があと少し! みんな電力の消費を抑えて! あとこのメールを拡散して関西電力を助けよう!」
というメールが来た。

ほんまかいなと思って関西電力の公式ホームページを見に行ったら
「関西電力がパンクしかけなので電力の消費を抑えるようにとの情報が飛び交っていますが、そんな事実はありません」
みたいなことが書いてあった。

旧友に連絡して
「それたぶんデマだから広めないほうがいいよ」
って言ったら
「そうなのか! 反省して、嘘の情報を広めないように今後は気をつけるわ」
と返ってきたので、
ああこいつまったくわかってないからまたやらかすだろうなって思った。

だってデマを広めてる人たちは
『嘘の情報を広めてる』と思ってなくて
『おれが真実だと思う情報』を広めてるわけだから。
嘘だから広めるなって言ってるんじゃなくて信頼できない筋からの情報をたしかめもせずに広めるなって言ってんの。

って思ったけど、そもそも電力会社がチェーンメールで重要なお知らせを流布させるってことに疑いを持たない人に何を言っても無駄だろうなって思って、何も言わなかった。

2015年7月22日水曜日

血ヘドの数だけ強くなれるよ♪

あたしのおばあちゃんは認知症なので、つい5分前のことも覚えていない。

去年から介護施設に入っているんだけど、そこでおばあちゃんは毎日、出会いと別れをくりかえしている。
今日ほかの入居者と出会って、今日その人のことを忘れて、明日また新たに出会うのだ。

そんなんだけど、おばあちゃんはそこでけっこう楽しくやっているらしい。
知らない人と話すのが好きな人なので、日々出会いが生まれる環境は刺激的でいいみたい。

一方、あたしは人見知りなので知らない人と話すのはヘドが出るほど嫌いだ(さっきも知らない人に声をかけられてヘドを献上した)。
あたしがいつか認知症になったら、それからの日々は地獄だ。
知らない人しかいない世界。
ストレスで血ヘドを吐きつづける世界。

だからあたしは願う。
あたしが老いる前に科学が進歩して、画期的な認知症の治療薬が発明されることを。

もしくは、吐いた血ヘドを有効活用する夢のリサイクル技術が開発されることを。

2015年7月21日火曜日

仙人の年賀状

橋本が仙人になった。

橋本は大学時代の友人だが、卒業以来だからもう十年は会ってない。
でもお互い筆まめなので、今でも年賀状のやりとりだけは続いている。
1年に1回だけの交流。

今年の正月、おれは「転職しました。今年こそ時間をつくって飲みにいけるといいですね」と年賀はがきの隅に書いて送った。
橋本からの年賀状もやはり近況報告だった。
「仙人になりました」と。

それだけ。
何もわからない。
携帯電話を壊したときにデータも消えてしまったから、橋本に電話して聞くこともできない。
聞きたいことはたくさんあるのに。

・仙人になるのに資格とかライセンスとかいるのか。
・個人事業主という扱いになるのか。
・だとしたら確定申告するのか。
・仙人でも銀行のローンの審査は通るのか。

聞きたいことは山ほどある。でもそれを質問するのは来年の年賀状。
そして筆まめな橋本は早めに年賀状を投函しちゃうだろうから、おれからの質問が届くときにはもう橋本は年賀状を送った後なんだろな。

すなわち、質問の返事が届くのは再来年。
喪中とかあったらもっと先になるんだな……。

2015年7月20日月曜日

ガンマの本日 (←)

少し前まで、日本のマンガを海外で出版するときは左右を反転して印刷していたそうだ。

欧米ではページも文字も左から右なので、マンガのコマも左から右になるように反転させていた、というのがその理由。
だから『寄生獣』が英訳されたとき、右手に寄生するミギーは、左手のLEFTYに変えられたのだとか。

でも最近はオリジナルの文化を尊重しようということで、反転せずに日本式で右から左に読んでいきましょうという流れになっているそうだ。

でもまだ慣れない人も多いのだろう。
こないだイタリア語版の『ジョジョの奇妙な冒険』を手にとる機会があったのだが(もちろん第5部)、1ページ目に説明書きがあった。
図入りで、右から左にこうやってコマを見ていくんですよ、ページも右から左にめくっていってくださいね、と書いてあった。

マンガを読むためにまず学ばなくてはならないのか、と感心した。

不まじめな印象のあるイタリアでもこの調子だから、まじめなドイツではきっと、カルチャースクールとか専門学校とかで、マンガを読むためのテクニックを教えているんだろうな。