同僚が1か月くらい前から急に会社に来なくなって、そのまま辞めちゃった。
それはまあいいんだけど、問題はそいつにDVDを貸していたってこと。
それも、1枚じゃない。
貸していたのは、古畑任三郎のDVD-BOX。
しかもシーズン2。
ぼくのいちばん好きな風間杜夫の回や、丁々発止のやりとりが存分に味わえる明石家さんまの回や、 派手さはないがあっと驚く謎解きが味わえる澤村藤十郎の回が収録されている、シーズン2。
ミステリとしてもコメディとしても最も脂の乗っていたシーズン2。
そんな大切なDVD-BOXが、借りパクされようとしている。
ぼくがこの世でいちばん憎い犯罪は、借りパクと傘泥棒だ。
なぜなら、借りパクも傘泥棒も、「被害者が受けたダメージのわりに、加害者の罪の意識が小さすぎる」からだ。
ぼくはまだ人を殺したことがないけれど、人を殺したらものすごく罪の意識を感じるだろう。
毎晩うなされるかもしれない。
それがふつうの感覚だ。
サイコパスの快楽殺人犯だったら、後悔したり反省したりはしないかもしれない。
だけど、少なくとも「自分は犯罪をした」という自覚ぐらいは持つにちがいない。
それなのに、借りパクするやつと傘泥棒は、ほとんど罪の意識を感じていない(たぶん)。
寝る前に「なんであのとき傘を盗んでしまったんだろう……。取り返しのつかないことをしてしまった……」と激しい自責の念に駆られたりしない。
「ちょっと借りとくね。もしかしたら返すかもしれないし」ぐらいの気持ちだと思う。
それがぼくには許せない。
ぼくの傘を盗んだ犯人には、一生「おれはあのとき傘を盗んだ」という罪の意識を背負って生きていってほしい。
できることなら、傘を盗んだ自分への戒めとして、己のひたいに傘の形のタトゥーを入れてほしい。
そこまで反省するなら許してやってもいい。
ぼくのDVDが借りパクされようとしている。
これはつまり、かつての同僚が、世紀の大犯罪者になろうしているということだ。
黙って見過ごしていてよいのだろうか。
否。
ぼくには政治がわからぬ。
しかしこのぼくが、奴がダークサイドに堕ちるのを止めてやらねばならぬ。
さいわい、奴のLINE IDを知っていた。
とはいえ、いきなり「おいDVD返せ」とぶしつけなメッセージを送るほど無神経ではない。
まずは退職する同僚への惜別の挨拶を告げ、ふと思い出したかのように「DVD返して!」と告げた。
で、返ってきたのがこのメッセージ。
それから、待てど暮らせど次のメッセージが来ない。
え……?
「お借りしっぱなしでした!!!!!すみません。。」
ここまではわかる。
ふつうはこの後に
「返します! 会社に持っていけばいいですか?」
とか
「郵送するので自宅の住所教えてください!」
とかあるはずだよね……。
え? え?
もしかしてさっきの「すみません。。」って、「借りパクするけどすみません。。」ってこと!?
おいっ!!
DVD返せ!
それかひたいに「シーズン2」ってタトゥー入れろ!!
2017年1月4日水曜日
切ない積み木
3歳の娘を連れて近所のおばあさんの家に行ったら、積み木やぬいぐるみをいっぱいくれた。
その家には娘がふたりいる。ふたりとも40歳を過ぎている。
長女は結婚して家を出ている。12歳と9歳の子どもがいる。
次女のほうは独身だ。まだ実家にいる。
さて。
それをふまえて、ぼくの娘がもらった積み木とぬいぐるみについて考えてみた。
けっこう年季の入ったおもちゃだ。
今では40歳を過ぎた娘たちが、幼い頃に遊んでいたものだろう。
やがて彼女らは成長し、おもちゃで遊ばなくなる。
でも、数々の想い出が詰まったものだから捨てられない。
「いつか孫ができたときのためにとっておこう」
そう考えて物置にしまう。
やがて長女は結婚し、孫ができる。
孫たちが遊びに来たので、物置から積み木とぬいぐるみをひっぱりだしてくる。
かつて娘が遊んでいたおもちゃで、孫たちは喜んで遊ぶ。こんなにうれしいことはない。
しかし孫の成長はあっという間。
彼らもやがてぬいぐるみでは遊ばなくなる。
でもやっぱり処分はできない。
いつか次女に子どもができたときのために……。
そう思ってふたたび物置にしまいこむ。
ぼくの娘がもらいうけたのは、その積み木とぬいぐるみなんだと思う。
ということは、つい最近、「次女が結婚して子どもを産む」ことをあきらめたのではなかろうか。
だから、他人であるうちの娘にぬいぐるみをくれたのではないだろうか。
ううむ。
そう考えると切ないものがある。
ぜんぶ勝手な想像だけど。
とりあえずぼくは、同じ思いをしないよう、ひな人形を早めに片づけようと思う。
3月3日の午前中のうちには片付けようと思う。
その家には娘がふたりいる。ふたりとも40歳を過ぎている。
長女は結婚して家を出ている。12歳と9歳の子どもがいる。
次女のほうは独身だ。まだ実家にいる。
さて。
それをふまえて、ぼくの娘がもらった積み木とぬいぐるみについて考えてみた。
けっこう年季の入ったおもちゃだ。
今では40歳を過ぎた娘たちが、幼い頃に遊んでいたものだろう。
やがて彼女らは成長し、おもちゃで遊ばなくなる。
でも、数々の想い出が詰まったものだから捨てられない。
「いつか孫ができたときのためにとっておこう」
そう考えて物置にしまう。
やがて長女は結婚し、孫ができる。
孫たちが遊びに来たので、物置から積み木とぬいぐるみをひっぱりだしてくる。
かつて娘が遊んでいたおもちゃで、孫たちは喜んで遊ぶ。こんなにうれしいことはない。
しかし孫の成長はあっという間。
彼らもやがてぬいぐるみでは遊ばなくなる。
でもやっぱり処分はできない。
いつか次女に子どもができたときのために……。
そう思ってふたたび物置にしまいこむ。
ぼくの娘がもらいうけたのは、その積み木とぬいぐるみなんだと思う。
ということは、つい最近、「次女が結婚して子どもを産む」ことをあきらめたのではなかろうか。
だから、他人であるうちの娘にぬいぐるみをくれたのではないだろうか。
ううむ。
そう考えると切ないものがある。
ぜんぶ勝手な想像だけど。
とりあえずぼくは、同じ思いをしないよう、ひな人形を早めに片づけようと思う。
3月3日の午前中のうちには片付けようと思う。
2016年12月24日土曜日
烙印をきれいに押す
ビジネスの場で
「がんばります」
「努力します」
「全力を尽くします」
「注力します」
「全身全霊で取り組みます」
「最善を尽くします」
という言葉を耳にすると、ああこいつはずっと同じ失敗をくりかえすダメなやつだ、という烙印を押すことにしています。
頭脳労働に従事している以上、
「全力を尽くさなくても物事が円滑に運ぶようにする」
のが仕事というものです。
うまくいかなかった要因を「努力が足りなかったせいだ」と考える人間は、同じ失敗をくりかえしますし、また他人にも同じ失敗をさせます。
オフィスワークにおいて、常に全身全霊をかけて取り組まないといけないのは
「印鑑をきれいに押す」
という作業のときだけ!
2016年12月19日月曜日
隣からモヘンジョ・ダロ
姉夫妻が一戸建てを買ったので遊びに行く。
南隣が空き地なので、すごく陽当たりと風通しがいい。
「明るくていい家だね」
「今はね。でももうすぐ南に家が建つから陽当たり悪くなっちゃうんだよね。来月から工事も始まるからうるさくなるし」
と話していた。
それから数ヶ月してまた遊びに行くと、まだ隣は空き地のまま。
「あれ? 隣に家が建つんじゃなかった?」
と訊くと、
「それがね、すごいラッキー! 隣の工事がはじまってすぐに、地面の下から遺跡が出たんだって! 考古学的に価値のある遺跡だったらしくて、あの土地は発掘を続けるために国が買い上げて、家は建てないことになったんだって!」
と大喜びしていた。
そんなこともあるんですね。
「景観を壊す高速道路の建設反対!」
なんて運動をしている人たちは、ぜひ参考にしてください。
遺跡埋めるといいですよ。
南隣が空き地なので、すごく陽当たりと風通しがいい。
「明るくていい家だね」
「今はね。でももうすぐ南に家が建つから陽当たり悪くなっちゃうんだよね。来月から工事も始まるからうるさくなるし」
と話していた。
それから数ヶ月してまた遊びに行くと、まだ隣は空き地のまま。
「あれ? 隣に家が建つんじゃなかった?」
と訊くと、
「それがね、すごいラッキー! 隣の工事がはじまってすぐに、地面の下から遺跡が出たんだって! 考古学的に価値のある遺跡だったらしくて、あの土地は発掘を続けるために国が買い上げて、家は建てないことになったんだって!」
と大喜びしていた。
そんなこともあるんですね。
「景観を壊す高速道路の建設反対!」
なんて運動をしている人たちは、ぜひ参考にしてください。
遺跡埋めるといいですよ。
2016年12月17日土曜日
世界のおかあさん
子どもの頃、おもちゃを取りあってきょうだい喧嘩になると、おかあさんが
「喧嘩するんだったらふたりとも遊んじゃダメ! これはおかあさんが使う!」
と宣言して、おもちゃを取り上げてしまった。
世界中で起きている領土問題も、そんなふうにしたらいい。
「北方領土をめぐって争うんだったら、2国とも使わせません! 南極みたいに誰のものでもない土地にします!」
とすればいい。
「日本としてはそこまで北方領土がほしいわけじゃないけど、目と鼻の先までロシアが来るのは嫌だ」
「ロシアとしても、北方領土がほしいというより、そこが日本領になって米軍基地とか造られたら困る」
みたいな事情があったりするわけだから、どっちのものでもなくなったら、それはそれで仕方ない。
それに「あと1年たっても仲直りできてなかったら領土没収します!」って締切を設定されたら、
「じゃあ四島を二島ずつで分けましょうか」
という現実的な話し合いもできるんじゃないかな。
世界のおかあさん的な存在の出現、待ってます。
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