2015年12月25日金曜日

【エッセイ】やぶれし靴下いとをかし

靴下がやぶれた。
靴を脱いだら、親指がにょきっと顔を出している。

ああ、よかった。
ぼくは胸をなでおろす。
やっとやぶれてくれた。うれしい。

ぼくはものを捨てられない。
服を捨てるタイミングがわからない。
このシャツなんかもう10年着つづけている。

ジャケットやズボンは大丈夫。
何年か着ていると汚れや染みがついたりするので、捨てる理由ができる(このときばかりは、自分が食べ物をぽろぽろこぼす人間でよかったと思う)。

靴下や肌着なんかの下着類はほんとに捨てられない。
またユニクロの靴下ときたら生地が丈夫だから、なかなかやぶれない。 
だから足首のとこがよれよれのナチュラルルーズソックスになっても、捨てどきがわからなくてずっと履きつづける。
余った布が足首にまとわりついて気持ち悪い。

捨てたい。
でもまだ履ける。
捨てられない。

だから、靴下がやぶれたときは心から安堵する。
これで、捨てても誰にも怒られない(やぶれる前に捨てても誰にも怒られないんだけど)。

しかし。
靴下はまだいい。いつかはやぶれるから。

いちばんの厄介者はパンツだ。
汚れがついたってどうせ人に見られるものじゃない(ぼくが女にモテすぎる男なら毎日新しいパンツを履くのに!)。
おまけにパンツときたら、靴下とちがってまずやぶれない。
だからぜんぜん捨てられない。

『鬼のパンツ』の歌詞で
「10年はいてもやぶれない つよいぞー つよいぞー」とあるが、ぼくのパンツはひょっとしたら10年以上履いてるかもしれない。

 ぼくのパンツはいいパンツ
 つよいぞー つよいぞー
 10年はいても捨てられない
 つよいぞー つよいぞー(貧乏性が)

2015年12月24日木曜日

【エッセイ】違いのわかるわたくし

妻が作る料理は、おいしいと思うこともあるし、うーん正直これは……と思うこともある。

人は褒めてもらえると伸びる。
ここは、違いのわかる男であるぼくが導かねば。
おいしいと思ったら積極的に「これおいしい」と言うようにしている。


しかし。
こないだ妻から言われた。
「あなたがおいしいと言うときって、オイスターソースを使った料理のときだけよね」

たしかにそうだわ……。
オイスターソースがあるかどうかの違いしかわかってなかったわ……。

2015年12月23日水曜日

【ふまじめな考察】まじめがまじめにかっこよく


校歌って、たいした学校でもないのに、ものすごい伝統があって豊かな自然に囲まれて若人たちがひたむきに勉学に取り組んで切磋琢磨しながら成長してゆくじゃない?
なんだかなあって感じよね。
地に足がついてなさすぎない?

作詞したのはその学校とは縁もゆかりもない人(創設時には卒業生がひとりもいないのだからあたりまえ)。
しょせん関係ない人が作った歌なんてそんなもんよね。

でもさ、じゃあ生徒みんなで校歌の歌詞を考えましょうってやったとするじゃない?
まずまちがいなく、ふつうの生徒は応募しないよね。
考えるのって、内申点高い系の生徒だけよね。
まじめに生徒会やるような生徒だけ。
そういう子らが、真剣に、かっこいい歌詞にしようと一生懸命考えるわけ。
もうわかるよね?

笑えないぐらいダサい歌詞になる。
まちがいなく。
だってまじめな生徒が、まじめに、かっこいい歌詞考えるんだもん。
かっこいいわけない。

やっぱり縁もゆかりもない人が考えた歌詞がいいよね。
変に肩に力が入ってなくて。

2015年12月21日月曜日

【エッセイ】潔いチラシ

路上でチラシを配っている人が

「チラシですよー!
 チラシ配ってまーす!」

と言いながら配布していた。

ふつうは「新装開店でーす」とか「セール中ですよー!」とかだと思うのだが、「チラシですよー!」とはじつに潔い。


他にも潔い売り文句を考えてみた。

・レストランのメニュー「料理 1200円」

・洋服屋の店員「服、入荷しました」

・CM「宣伝してます」

2015年12月19日土曜日

【考察】専守防衛の秋

渋い皮で身を覆って

その上から硬い皮でガードして

さらに外側をトゲで武装して

そこまで食べられないように工夫しているのに

結局おいしく食べられてしまうクリって、ほんとかわいそう。