2015年3月27日金曜日

NO 「NO MUSIC , NO LIFE」

「NO MUSIC , NO LIFE」
ってのを聞くと、おいおい音楽ってのはそんなにショボいもんじゃないだろって思う。

  音楽を聴かなくても生きていける。
  だけど今これを聴きたいんだ!
って思わせてくれるような音楽をおれは聴きたいんだ。

  おれはお金をほしいけど、お金は愛おしくない。なぜならお金は生きるために必要なものだから。
  必要ないけど好き。だから愛おしい。
  生きていくために聴かなくちゃならない音楽なんてまっぴらごめんだぜ。

「NO MUSIC , NO LIFE」なんて
「人は排便をせずには生きていけない」
ってのと同じレベルの言葉だと思うぜ!
  いや、ちがうか。


2015年3月26日木曜日

食品サンプル

  本物の料理を食品サンプルとして店先に置いている店はよくあるけど、このパターンははじめて見た。
焼く前のハンバーグ。
斬新!

2015年3月25日水曜日

初デートとバッシュのおっさん

  それまでずっと彼女のいなかった18歳のぼくが、はじめて女の子とふたりで晩ごはんを食べにいくことになった。

  駅前で「何食べよっか」と話していると、見知らぬおっさんが話しかけてきた。6時なのにもう酔っぱらっている。スピーディーなおっさんだ。

  「君ら、何やってんの」

「え? ああ、今からご飯食べにいこうかと思って」

  「そうか。このへんで?」

「そうですね。どっかおいしいお店あります?」

  ぼくがおっさんに対して穴場グルメスポットをリサーチしていると、隣の女の子に無言で袖をひっぱられた。
  散歩中の犬が他の犬のおしっこのにおいを嗅いでいたら飼い主に「ほら。早く行くよ」とリードをひっぱられるときのあの感じだ。

  よれよれのスーツに、なぜかバスケシューズを履いているおっさんは
「よかったら一緒に飯食いに行かんか。おごるで」
と提案してきた。

「いやいやそんな。会ったばかりなのに悪いですよ」

  「ええねや。おっちゃん、若い子と話すの好きやからな。君ら大学生ぐらいやろ。遠慮せんでええねん」

「そうですか。んー、どうしよっかな」

  ぼくはお金もなかったし、絶対バスケやってない風貌なのにバスケシューズを履いているおっさんがおもしろくないわけがないので、その誘いは魅力的だった。

  ぼくひとりならまちがいなくついていくところだが、やはり隣の女の子にもお伺いを立てるのが紳士のたしなみだろうと思い、訊いてみた。
「どうする? おごってくれるって言ってるけど」

  すると、ここぞという場面でアウトコースにはずれるスローボールをキャッチャーに要求された強気のエースよりも激しい勢いで首をふり、彼女は「行こ」とだけ言い残してさっさと歩きはじめてしまった。

  あれ。行っちゃった。
  追いかけたほうがいいんだろうな。
  でも。
  彼女のアドレスは知ってるから後で連絡とれるけど、このおっさんは今逃したら二度と出会うことはないだろうしな。もし再会したとしても、またおごってくれるとはかぎらないわけだし。

  しばし腕組みをして考えた結果、おっちゃんに「すみません、今日はやめときます」と言い残して彼女の後を追いかけた。
  彼女が不機嫌になっているようだったので、今後の付き合いのためにも機嫌をとっておいたほうがよいと判断したのだ。


  結論から言うと、彼女との『今後の付き合い』はなかった。

  その日は一緒にごはんは食べたが、ちっとも話ははずまなかった。
  ぼくが初デートのために用意してきた、ミツバチの遺伝子にまつわる雑学と本格SFに関する話題は不調に終わった。女の子とふたりっきりで何を話したらいいのかわからないぼくは、べちゃべちゃするお好み焼きを食べながら、やっぱりおっさんと三人で食事をとるべきだったと後悔していた。
  三人なら肩肘を張らずに、もっと楽しく話せただろうに。

  後日、彼女を何度かデートに誘ったがなんやかやと理由をつけて断られ、それきり二人で会うことはなかった。
  (当時のぼくとしては)信じられないことに、ぼくはふられたのだった。
  ふられた理由は、おっさんの一件が70%、ミツバチとSFの話題がふるわなかったのが20%、お好み焼きがべちゃべちゃだったことが15%だと推測される(余った5%はぼくのイケメンポイント加算)。

  今ならわかる。
  あのときのぼくはまちがっていたと。

「おごるよ」というおっさんの誘いに乗ろうとしたぼくを、彼女はどういう目で見ていただろうか。
「おごるからついていくなんて、なんてケチな人だろう」
  そう思っていたにちがいない。
  そりゃあふられても仕方がない。女性はケチな男が嫌いなのだから。

  あのとき、ぼくは毅然として、こう言うべきだったのだ。
「おごってもらうなんてとんでもない!  ぼくが3人分出しますよ!」と。

 

2015年3月24日火曜日

最適な適量を求めよ

理系の男と理系の女の会話。

「レシピでさ、『適量』ってあるじゃない。
  おれさ、あれ気持ち悪くてしかたないんだよね。
  正確に3.5グラム、とか明記してほしい。
  適当でいいんならレシピいらないよって話だよ」

「あれはね、ちゃんと理由があるの。
  お菓子なんかは気温や湿度によって膨張率が変わったりするから、時季によってベストな量がちがうのよ。
  だから『適量』と書いて、その差分を調整させるの」

「だったら気温や湿度を考慮した『適量』の変化率を表す3次元グラフを付記すべきじゃない?」

「たしかにねー。
  それだったら計算してかんたんに適量を導けるもんねー」

2015年3月23日月曜日

ピコピコ

  中学のとき、クラスメイトが授業中に机の下にゲーム機を隠してピコピコやっていたら(さすがにピコピコ音は出していないが)、先生にばれてゲーム機を没収された。

  これはチャンスだとぼくは思った。

  翌週のその先生の授業中、教科書を机の下に隠し、人目を憚るようにしながら読んだ。
  案の定、先生はそっとぼくの背後にまわりこみ「何やってんの!」とぼくの腕をつかんだ。
  そしてひっぱりだされる教科書。

  ぼくとしては笑いが生まれると思っていたのだが、先生は「まぎらわしいことしなさんな!」と激昂した。
  ゲームをやっていたやつよりずっと激しいトーンで怒られた。


  公的な怒り(授業中にゲームをしたこと)より、私的な怒り(私に恥をかかせたこと)のほうがずっと根深いものだとぼくが学んだのは、そのときのことだ。

  あれはいい勉強になった。