2015年4月21日火曜日

ポテトチップス20%多い説

  以前、
[小籠包は常に、口に入れる前に想定している熱さの2倍熱い]
という『小籠包2倍熱い説』を提唱した。
(説はこちら)

 私はここに、食べ物に関する新たな仮説を提唱したい。

 それは『ポテトチップス20%多い説』である。

 ポテトチップスを食べると途中で飽きてくる。
 油と塩が多いので嫌になってくるのだ。
 そこで食べるのをやめて、袋の口を輪ゴムでしばって、湿気ないように冷蔵庫に入れて……ということができれば何の問題もない。

 だが、ポテトチップスはいつでも20%多い。
 古今東西老若男女問わず20%多い。
 だから「もう飽きてきたな」と思ったときには、ポテトチップスは残りわずかになっているわけだ。

「あーもう食べたくないな。でも残りちょっとだしな。
 半端に残してもしょうがないしな」
 この考えが失敗の原因である。

 これが50%だったら過ちは犯さない。
「半分でやめておいて、もう半分はまた今度食べよう」と思える。
 だけどあと20%、これが判断を狂わせる。これくらいなら今食べちゃおう、と無理して食べてしまう。
 そして食べすぎで気持ち悪くなる。

 毎回だ。
 どんな大きさのポテトチップスの袋でも、どんな腹具合のときでも、ポテトチップスは20%多い。
 そして毎回毎回、ポテトチップスを20%多く食べすぎたことを後悔する。一度として「ちょうどいい量だった!」と思ったことがない。

 ポテトチップスが悪魔の食品と呼ばれるゆえんである。

2015年4月20日月曜日

小籠包2倍熱い説

小籠包(ショウロンポー)を食べるたびに思うのだが、小籠包の熱さは常軌を逸している。

小籠包を口に運ぶ前に
「熱いから気を付けなくちゃ」
と思うのだが、それでも毎回「はふっ(熱っ)」となる。
ほとんど地獄の熱さだ。

小籠包をはじめて食べる人は、百人が百人とも肉汁で舌を火傷する。
「こちらたいへんお熱いのでお気をつけください」
と言われても絶対に「はふっ」となる。

熱いから気をつけろと言われると、我々はアツアツの餃子ぐらいの熱さを想定する。
でも小籠包の熱さはそんなもんじゃない。
なにしろやつらは地獄出身だ(食べ物をできたてのうちに食べないと死後に小籠包を口に詰め込まれる『肉汁地獄』に落とされる。小籠包はそこの出身だ)。
「これぐらい熱いだろうな」と思っている、その2倍小籠包は熱い。

私はここに「小籠包2倍熱い説」を唱えたい。

はじめて小籠包を食べる人が「お熱いのでお気をつけください」と言われて想定する、その2倍熱い。
二度目に食べる人は小籠包の熱さを知っているから警戒するが、それでもその想定の2倍熱い。
何度食べても、小籠包はこちらがイメージしている熱さを2倍上回る。
これが「小籠包2倍熱い説」である。

だから小籠包を提供するお店はこう言わなくてはならない。
「こちら、お客様が思っている2倍熱いのでお気をつけください」と。

そう言われて2倍の熱さを覚悟した場合、もちろん小籠包は4倍熱い。

2015年4月19日日曜日

生きているんですよ

1歳の娘をだっこして電車に乗っていたときのこと。
娘が泣きだした。
声をかけたり、揺らしたり、ヘンな顔をしたりするのだが、いっこうに泣きやまない。泣き声は大きくなるばかり。
周りも迷惑だろうと思うが、どうすることもできない。
肩身の狭い思いをしていると、隣のおっちゃんに声をかけられた。

それが「うるさいから静かにさせろよ」とかだったら、こっちとしても謝るなり、「しょうがないじゃないか」と反論するなり、対処のしようがある。
ところがおっちゃんはこう言ったのだ。

「赤ちゃん泣いてますよ」


いやわかってるし!
この車両の乗客全員がわかってるし、なによりだっこしているぼくがいちばんわかってるわ!

予想外の一言に返す言葉もなく呆然としていたら、伝わっていないと思われたのか、もう一度言われた。

「赤ちゃん泣いてますよ」


 結局、あぁ、はぁ、みたいなあいまいな返事しかできなかったのだが、なんと返すのが正解だったのか今もってわからない。

「ぼくもあなたも生きているんですよ」
とかわかりきった言葉を返すべきだったのだろうか。

2015年4月18日土曜日

布団屋というビジネス

 近くのさびれた商店街に布団屋があるんだけど、ほんとにいつもひまそうだ。

 数多ある職業の中でもっともひまなんじゃないかと思う。
 同じ商店街には、オバハン養成所としか思えない洋品店とか、形や色がちょっときれいなだけの石を売っている石ころ屋とか、サッカーのユニフォーム専門店とか、流行ってない店がいっぱいあるんだけど、それでもたまに客の姿は確認される(売れてるかは不明だが)。
 しかし、布団屋には冷やかし客も来ないだろう。

「ひまだし買うつもりないけどちょっと布団でも見ていくか」

「よっ大将、新しい布団入った?」

みたいな軽い気持ちで人は布団屋に入らない。
 今日布団を買うと決意したとき、それ以外に布団屋に足を踏み入れることは決してない。
 めったに客は来ない(1日に1人来たら多いほうだと思う)が、来た客は必ず買っていく。それが布団屋なのだ。布団屋のことはなにも知らないが断言しよう。


 それにしても布団っていったいいつ売れるのだろう。
 布団屋の繁忙期について考えてみよう。

 まず3月4月はよく売れそうだ。
 新生活スタートにあたって布団を買う人は多いだろう。

 5月6月は、そろそろ暑くて寝苦しくなってくるから薄手の布団に変える人も多いんじゃなかろうか。

 梅雨時は布団が湿気で傷みやすいから、梅雨の明けた7月には敷き布団がよく売れそうだ。

 8月はお盆がある。息子夫婦や孫が里帰りしてくるから客布団を用意しとかなくちゃ、という老夫婦のニーズが多いにちがいない。

 9月10月11月は日に日に寒くなってゆくから、厚手の布団や毛布がよく売れる。

 12月にはこたつ布団が恋しくなるし、年末年始も忙しい。お盆と同様に里帰りがあるし、大掃除のついでに布団を買い換えたり、新しい布団で新しい1年をスタートさせる、なんて人もいるだろう。

 あれ……?
 3月から1月まで、ずっと布団屋は繁忙期だ。
 実は布団って、1年を通してよく売れる商材なのでは……?

 しかし問題は2月だ。
 もう寒さのピークは越えつつあるから今さら布団を買いたすことはないし、春用の布団にするにはまだ寒い。
 2月は布団屋にとって唯一の閑散期だ。
 なにか布団を売るためのイベントをぼくが企画しなければ!

 ……そうだ!
 2月10日を『ふ(2)とん(10)の日』として、布団を買い換える日とアピールすれば万事解決じゃないか!
もしくは、バレンタインデーの前に好きな相手に布団を贈って「この布団で一夜を共にしましょう」と大胆に誘う日にしたっていい。
なんたる名案!

 と思って調べてみたところ、実際に2月10日が『ふとんの日』だったのだが、日本寝具寝装品協会がなぜか2010年より10月10日に変更しているのだ。
(参考リンク   http://www.jba210.jp/210.html )

 なにをやっとるか日本寝具寝装品協会!
 なんたる機会損失!
 即座に2月10日に戻すべきだ。
 ぼくは日本寝具寝装品協会に対し、強く抗議する!
 完全なる部外者として、強く抗議する!
 2月でも10月でもどっちみち布団を買い換えないけど、強く抗議する!

2015年4月17日金曜日

草をとって喰らう鬼

  角が生えている動物は草食動物だけなんだとか(一部の恐竜をのぞく)。
  角は防御用のもので、攻撃には向かないからだそうだ。

  ふーん。なるほど。
  たしかにシカもキリンもサイも草食だ。カタツムリも。

  ということは鬼は草食動物か……。
  たしかに『桃太郎』にしても『一寸法師』にしても『こぶとりじいさん』にしても、鬼の方から積極的に攻撃を仕掛けたりはしてないな。
  攻撃してきた人間から身を守るために戦っているだけで。

  金銀財宝を奪ったっていうのも、すみかを追われたイノシシやサルがたまに野に下りてきて畑を荒らす程度のもんなんだろうな……。