流行色を誰かが決めてるってどうなのよ。
流行って自然発生的に起こるもんでしょ。
と思ったのだけれど。
(日本流行色協会ホームページより)
という文章を読むと、ファッション業界からするとありがたい指針かもしれないなと思いなおした。
なんの制約もなしにゼロからものをつくるってたいへんだもんね。
自由は創造性を制限する。
「今年はこのテーマに従って服をつくってください」という指針があったほうが、かえってつきぬけた発想も生まれやすいのかもしれない。
どんな色が流行るかあらかじめわかっていたほうが仕入れや在庫の計画も立てやすいだろうし。
「今年の流行」は、色だけじゃなく他の分野でも計画的に制定したらいい。
「来年流行するギャグは、謝罪のギャグです」とか。
で、謝罪ギャグを生みだした芸人を、テレビ番組も積極的に使うようにするの。
流行りのギャグって、初めて見たときはそんなにおもしろくなくて、何度もくりかえされるうちに 人口に膾炙して広まっていくことが多い。
でも見る人もあらかじめ「今年は謝罪ギャグがくる」ってわかってるから、心の準備ができていて、初見から笑うことができる。
うん、準備ができてるっていいね。
詐欺も年々新しい手口が考え出されては廃れていく。
ある程度知れわたってしまえば詐欺として通用しなくなるから、詐欺師は常に新しい手口を考案しなくてはいけなくてたいへんだよね。
だから日本流行詐欺協会が、
「来年は葬式を利用した詐欺が流行ります」
という指針を示してやるといい。
ある程度の指針があったほうが詐欺師も騙しかたを考えやすいだろう。
流行に敏感な人は特に葬式詐欺には注意するから引っかからない。
そうなると詐欺師たちも食っていけなくなるんじゃないかと心配してしまうよね。
でも大丈夫。
流行にうとい人って決して少なくないから。
もう若者が誰も使わなくなった頃に流行りだったギャグを言い出すおっさんとかいるでしょ。
ああいう人が、ちゃんと後から流行の詐欺にひっかかってくれるから。
日本流行疫病協会は、
「来年は蚊を媒介にした伝染病を流行らせます」
って、ちゃんと流行の指針を示しといてほしい。
流行が事前にわかってたら医療機関も対策できるし、予防接種もできる。
指針があるとほんと助かる。
それに、病死に見せかけた殺人計画も立てやすいしね。