日本に来た人が買って帰るおみやげのお菓子ってなんなんでしょう。
北海道における白い恋人。
広島ならもみじまんじゅう。
ハワイのマカデミアナッツチョコ。
そういうやつ。
めちゃくちゃおいしいというほどではないけど、誰が食べてもそこそこおいしい、おみやげのド定番。
現地の人は誰も食べない、おみやげとしてのみ生きていけるお菓子。
ぼくらが知らないだけで、日本にもそういうのがあるんじゃないでしょうか。
「SAKURAパイ」とか「JapaNoodle」みたいな、日本みやげ専門のお菓子がどこかで売られているんじゃなかろうか。
日本人は誰も食べたことがない、けれども訪日する外国人にとっては誰もが知っているド定番のお菓子が……。
2016年4月30日土曜日
【読書感想文】米原 万里 『心臓に毛が生えている理由』
ロシア語通訳者によるエッセイ。
死後に単行本未収録のエッセイをまとめたものらしく、内容はばらばら。
それでも一篇一篇はきちんとおもしろい。高い品質のエッセイを書いていたことを改めて思い知らされる。
中でも「チェコと日本の両方で教育を受けた」という特異な経歴を活かした、言語や文化のちがいに対する考察の鋭さが光る。
おもしろかったのがこの文章。
チェコの学校がみんなこうなのか、それとも著者が通っていた学校だけが変わっていたのかはわからない。
でも少なくとも日本の学校の大半は、知識をばらばらにして覚えることを生徒に要求している。
(ただぼくはそれが悪いことばかりとは思わない。意味を無視してひたすら覚えるほうがかえって効率的な局面もたしかにある)
とはいえ、著者が例であげているように、歴史なんかは有機的に覚えていったほうがずっと理解が深まるし、なによりおもしろい。
でもなあ。
論文式の試験は、採点するほうがたいへんなんだよなあ。
えらそうに「知識詰め込み型の教育は良くない!」と言うのはかんたんだけど、ぼくが教師だったら、やっぱり選択式の問題とかにしちゃうだろうなあ。
だって頭悪い子の論文を読むことほどつらいことはないもの。
大学の先生はたいへんだなあ。
2016年4月26日火曜日
【エッセイ】バイクのブーン その3
だけど、これまでの人生で一度だけ、ふたり乗りをかっこいいと思ったことがある。
バイクじゃなくて自転車だけど。
とある下町に住んでいたときのこと。
あたしはワケあって、商店街に行った。
ワケっていっても、塩大福買いにいっただけですけど。
それ以上のワケはありませんけど。

商店街の入口で、自転車のふたり乗りとすれちがった。
やんちゃな学生が多い地域だったから、自転車のふたり乗りなんて、道端に落ちてる手榴弾と同じくらいありふれた光景だった。どんな地域だ。
でも、あたしがすれちがったふたり乗りはひと味ちがっていた。
自転車を運転してるのが、70歳くらいのじいさんだった。
で、そのじいさんの両肩に手をおき、後輪に足を乗せているのも、70歳くらいのじいさんだった。
かっけえ……。
そのころ、友人に誘われてSMAPのコンサートに行ったことがある。
付き添いで行っただけでべつだん興味なかったから、踊って歌うSMAPを見ながら、なんでこんなのにみんなきゃあきゃあ云うんだろうかとふしぎだった。
SMAPにはぜんぜんときめかなかったあたしだけど、じいさんのふたり乗りにはしびれた。
じいさんたち、すっげえ愉しそうだった。
そりゃ愉しいだろう。
70過ぎて自転車のふたり乗りして、愉しくないはずがない。
若者たちはバイクでスピードを出してスリルを味わうけど、そんなの比じゃない。
だって、じいさんたちの場合、こけたら寝たきりだよ?
すごいスリルじゃない?
そりゃかっこいいわ。
2016年4月25日月曜日
【エッセイ】バイクのブーン その2
みっともないでしょ、あれ?
あれ、本人は「またがってる」「乗りこなしてる」と思ってるんでしょうけど、はたから見てるとカンゼンに「しがみついてる」ようにしか見えないよね?
サルの親子が移動するとき、子ザルがおかあさんザルの背中に必死にしがみついてるじゃない。
バイク乗りを見てると、それと同じに見えてしょうがない。
エンジン音にかき消されて聞こえないだけで、実際は大半のバイク乗りが「おかあさん待って!」って叫びながらしがみついてんじゃないかって、あたしはにらんでいる。
そんなんだから、バイクのふたり乗りなんかもうおかしくってしょうがない。
だって、バイクから振り落とされないように運転手がバイクに必死にしがみついてて、それだけでも江戸時代だったら滑稽本の題材になりそうなぐらい滑稽なのに、さらにそいつに必死にしがみついてるやつがいんの。
バイクにしがみつくやつにしがみついてる。
「孫請け」という言葉しか出てこない。
あわれ。
ほんとあわれ。もののあはれ。
もう、不憫すぎて逆に好きになっちゃいそう。
愛してる。
鼻毛抜くときぐらい必死な顔してバイクにしがみついてる人に教えてあげたい。
自動車ってのがあるよって。
しがみついてなくても平気な乗り物あるよって。
あと雨にも濡れないよって。
たった2個のタイヤをケチらなければ自動車にランクアップできるんだよって。
あとよくわかんないのが、バイク乗りってすぐ「バイクに乗ってると風を感じる」とか言うじゃない。
あれふしぎよね。
どう考えたって、止まってるときのほうが風を感じられるでしょ。
風向きを読むとき、どんなことする?
人差し指につばをつけて、指を立てて、動かずじっとするよね?
それか、風がなければ静止しているはずのもの、旗とかを見るよね?
指をふりまわしながら「東から風が吹いてるな」とか言う?
サルが背中に子ザル乗せて走ってるのを見て、「今日は風が強いな」とか感じる?
動いてるやつが感じてるのは風じゃなくて空気抵抗だろって。

あとさ、あとさ。
「風とひとつになれるからバイクはいい」
ってのも聞いたことある。
ま、それはわからんでもない。
「風を感じる」よりは意味がわかる。
動いてるからね。
でもさ、バイク乗りって雨の日でも走るじゃない。
びちょんこになって。
それはやっぱりあれ?
雨とひとつになりたいわけ?
そして春先は中国から来た黄砂になりたいわけ?
花粉とPM2.5もつけとく?
2016年4月24日日曜日
【エッセイ】バイクのブーン その1
あたしはバイクのかっこよさがまったくわからない。
ていうかあれかっこいい?
暴走族の改造バイクは論外として(ていうかニホンオオカミが絶滅したのと同じタイミングでもう滅びたんだよね?)、大型バイクも中型も原付もかっこよくない。
造形といい、材質といい、排気音(っていうの? あの「でっでっでっでっ」ってやつ)といい、ぜんぜんだ。
かっこわるいとは言わない。
だってなんとも思わないもの。
冷蔵庫を見ても「かっちょいい!」とか「かっこわりいなー」とか思わないでしょ?
それとおんなじ。
冷蔵庫の「ブーン」って音を聴いても、
「おっ、いかした声で鳴くマシンだな」
とか思わないでしょ?
……えっ、思うの?
そういう人は高専に行きなさい。
そんでロボコンで青春の汗を流してきなさい。
そんで1回戦で勝って仲間と抱きあって喜び、続く2回戦でマシントラブルに見舞われて悔し涙を流しなさい。
その後バイクメーカーに就職して、開発の仕事をしなさい。
そんで冷蔵庫の「ブーン」とまったく同じ音で走るバイクを開発しなさい。
ていうかあれかっこいい?
暴走族の改造バイクは論外として(ていうかニホンオオカミが絶滅したのと同じタイミングでもう滅びたんだよね?)、大型バイクも中型も原付もかっこよくない。
造形といい、材質といい、排気音(っていうの? あの「でっでっでっでっ」ってやつ)といい、ぜんぜんだ。
かっこわるいとは言わない。
だってなんとも思わないもの。
冷蔵庫を見ても「かっちょいい!」とか「かっこわりいなー」とか思わないでしょ?
それとおんなじ。
冷蔵庫の「ブーン」って音を聴いても、
「おっ、いかした声で鳴くマシンだな」
とか思わないでしょ?
……えっ、思うの?
そういう人は高専に行きなさい。
そんでロボコンで青春の汗を流してきなさい。
そんで1回戦で勝って仲間と抱きあって喜び、続く2回戦でマシントラブルに見舞われて悔し涙を流しなさい。
その後バイクメーカーに就職して、開発の仕事をしなさい。
そんで冷蔵庫の「ブーン」とまったく同じ音で走るバイクを開発しなさい。
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