小学3年生のとき。
クラスにMさんという女の子がいた。とびきりかわいくて、快活な子だった。
男子の半分はMさんのことが好きだった。
ぼくもそのひとりだ。
あるとき、Mさんからこう言われた。
「わたし、君のこと、2番目に好きだよ」
1位でないのは残念だったが、喜ばしい気持ちのほうが大きかった。
大人だったら「1位じゃないなら意味がない」と思うかもしれない。でもしょせん小学3年生、1位だったとしてもデートするわじゃないのだ。
「2位じゃだめなんですか!?」という問いを誰が否定できよう。
なにしろ、10人以上の男子が彼女に恋心を抱いていたのだ。その中で2位というのは、モテないぼくからしたら奇跡的な好成績だ。
ぼくは「ひょっとしたら1位浮上ということも十分にありうるぞ」と考え、Mさんへの想いをさらに強固なものにして、あの手この手で彼女の気を惹こうとした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
人心掌握術について書かれた本を読んでいると、こんな記述を見つけた。
独裁者、軍の司令官、犯罪組織のリーダーらが部下を統治するのに使う方法として「部下たちを順位付けする」というものがある。
部下たちに順位をつけ、さらに順位によって待遇に差をつける。1位は優遇し、最下位には厳しい罰を与えることで、上位を目指すように仕向ける。
さらに順位付けの基準を明確にしないことで、部下たちはトップの顔色だけを窺うようになり、ひとつでも順位を上げようと、上からの指示には絶対に服従し、メンバー間の密告が増えて裏切りも防ぐことができる。特に1位を狙える位置にいる者や、あと少しで最下位に転落しそうなものほどその効果は顕著に表れて、たいへん支配しやすくなるのだとか。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
うわ、Mさんすげえ。
小3にして支配術を使いこなしていたなんて(使いこなしていた証拠に、ぼくは完全に支配されていた)。
魔性の女どころの話ではない。
天地を統べる逸材だ。
2015年12月29日火曜日
【ふまじめな考察】それにひきかえ太陽系では……
「欧米では○○なのに、それにひきかえ日本ときたら……」
という言い回しを用いていいのは、
欧米の人から「アジア人って○○だよね」と言われても、
「日本も中国もミャンマーも一緒にするな!」
とは思わない人だけ。
という言い回しを用いていいのは、
欧米の人から「アジア人って○○だよね」と言われても、
「日本も中国もミャンマーも一緒にするな!」
とは思わない人だけ。
2015年12月28日月曜日
【エッセイ】ミノムシって絶滅危惧種なんですってよ
ミノムシって絶滅危惧種に指定されているんだって。
20年くらい前から寄生虫のせいで激減してるらしいよ。
そういや昔は秋になるとよく見かけたのに、今ではまったく目にしない。
絶滅危惧種になっているという本を読むまではそんな虫がいることすら忘れていたぐらいだから、あたしはミノムシが絶滅したってまったく困らない。
困らないどころか、ミノムシって成虫になったら蛾になるわけだけど、できることならこの先、蛾と一切関わることのない人生を歩んでいきたいとすら思っている。
でも、ミノムシはおもしろいから生きていてほしい。
アリジゴクとかマイマイカブリとか尺取り虫とか、そういう個性派メンバーの虫たちにも、がんばって種として長生きしてもらいたい。
あたしの人生と関わらなくていいから、この世のどこかで細々と生きていてくれ、って思う。
ヤクザとかギャンブル狂とか露出狂とかの人たちも、絶対に関わりあいにはなりたくない。
でもそういうのがまったくいない社会もつまらなさそうだから、生態系における個性派メンバーとして、どっかでひっそりと息をしていてほしいものです。
20年くらい前から寄生虫のせいで激減してるらしいよ。
そういや昔は秋になるとよく見かけたのに、今ではまったく目にしない。
絶滅危惧種になっているという本を読むまではそんな虫がいることすら忘れていたぐらいだから、あたしはミノムシが絶滅したってまったく困らない。
困らないどころか、ミノムシって成虫になったら蛾になるわけだけど、できることならこの先、蛾と一切関わることのない人生を歩んでいきたいとすら思っている。
でも、ミノムシはおもしろいから生きていてほしい。
アリジゴクとかマイマイカブリとか尺取り虫とか、そういう個性派メンバーの虫たちにも、がんばって種として長生きしてもらいたい。
あたしの人生と関わらなくていいから、この世のどこかで細々と生きていてくれ、って思う。
ヤクザとかギャンブル狂とか露出狂とかの人たちも、絶対に関わりあいにはなりたくない。
でもそういうのがまったくいない社会もつまらなさそうだから、生態系における個性派メンバーとして、どっかでひっそりと息をしていてほしいものです。
2015年12月26日土曜日
【ふまじめな考察】公平なテロ
海外で自爆テロや銃乱射事件があったときにも、
犯人の卒業文集を朗読したり、
近所の人に「ええ、ちゃんと挨拶する子でしたよ」と言わせたりしないと、
報道の中立性・公平性は守られないのではなかろうか。
犯人の卒業文集を朗読したり、
近所の人に「ええ、ちゃんと挨拶する子でしたよ」と言わせたりしないと、
報道の中立性・公平性は守られないのではなかろうか。
2015年12月25日金曜日
【エッセイ】やぶれし靴下いとをかし
靴下がやぶれた。
靴を脱いだら、親指がにょきっと顔を出している。
ああ、よかった。
ぼくは胸をなでおろす。
やっとやぶれてくれた。うれしい。
ぼくはものを捨てられない。
服を捨てるタイミングがわからない。
このシャツなんかもう10年着つづけている。
ジャケットやズボンは大丈夫。
何年か着ていると汚れや染みがついたりするので、捨てる理由ができる(このときばかりは、自分が食べ物をぽろぽろこぼす人間でよかったと思う)。
靴下や肌着なんかの下着類はほんとに捨てられない。
またユニクロの靴下ときたら生地が丈夫だから、なかなかやぶれない。
だから足首のとこがよれよれのナチュラルルーズソックスになっても、捨てどきがわからなくてずっと履きつづける。
余った布が足首にまとわりついて気持ち悪い。
捨てたい。
でもまだ履ける。
捨てられない。
だから、靴下がやぶれたときは心から安堵する。
これで、捨てても誰にも怒られない(やぶれる前に捨てても誰にも怒られないんだけど)。
しかし。
靴下はまだいい。いつかはやぶれるから。
いちばんの厄介者はパンツだ。
汚れがついたってどうせ人に見られるものじゃない(ぼくが女にモテすぎる男なら毎日新しいパンツを履くのに!)。
おまけにパンツときたら、靴下とちがってまずやぶれない。
だからぜんぜん捨てられない。
『鬼のパンツ』の歌詞で
「10年はいてもやぶれない つよいぞー つよいぞー」とあるが、ぼくのパンツはひょっとしたら10年以上履いてるかもしれない。
ぼくのパンツはいいパンツ
つよいぞー つよいぞー
10年はいても捨てられない
つよいぞー つよいぞー(貧乏性が)
靴を脱いだら、親指がにょきっと顔を出している。
ああ、よかった。
ぼくは胸をなでおろす。
やっとやぶれてくれた。うれしい。
ぼくはものを捨てられない。
服を捨てるタイミングがわからない。
このシャツなんかもう10年着つづけている。
ジャケットやズボンは大丈夫。
何年か着ていると汚れや染みがついたりするので、捨てる理由ができる(このときばかりは、自分が食べ物をぽろぽろこぼす人間でよかったと思う)。
靴下や肌着なんかの下着類はほんとに捨てられない。
またユニクロの靴下ときたら生地が丈夫だから、なかなかやぶれない。
だから足首のとこがよれよれのナチュラルルーズソックスになっても、捨てどきがわからなくてずっと履きつづける。
余った布が足首にまとわりついて気持ち悪い。
捨てたい。
でもまだ履ける。
捨てられない。
だから、靴下がやぶれたときは心から安堵する。
これで、捨てても誰にも怒られない(やぶれる前に捨てても誰にも怒られないんだけど)。
しかし。
靴下はまだいい。いつかはやぶれるから。
いちばんの厄介者はパンツだ。
汚れがついたってどうせ人に見られるものじゃない(ぼくが女にモテすぎる男なら毎日新しいパンツを履くのに!)。
おまけにパンツときたら、靴下とちがってまずやぶれない。
だからぜんぜん捨てられない。
『鬼のパンツ』の歌詞で
「10年はいてもやぶれない つよいぞー つよいぞー」とあるが、ぼくのパンツはひょっとしたら10年以上履いてるかもしれない。
ぼくのパンツはいいパンツ
つよいぞー つよいぞー
10年はいても捨てられない
つよいぞー つよいぞー(貧乏性が)
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