2015年8月4日火曜日

大枚をはたいてタクシーを拾う

「土地をころがす」
っていうけど、「土地」には「ころがす」という表現は似合わない。
「めくる」のほうがしっくりくる。


「タクシーを拾う」
は、タクシーに「拾われる」のほうがふさわしい表現だ。


「大枚をはたく」
 せいぜい五十枚くらいまでならはたけるけど、一千万円とかになると「はたく」より「ぶちのめす」って感じかな。

2015年8月3日月曜日

重荷だと感じてる

自転車に二人乗りしているカップル。
後ろの女が彼氏に
「幸せだと感じてる?」
と訊いていた。

わー。
物理的にも精神的にも重荷!

2015年8月2日日曜日

お酒のCM

食べ物のCMよりも、お酒のCMに出てくる食べ物のほうが美味しそうに見える。

自分が思う自分の魅力と、他人から見た美点はちがうよね。

2015年8月1日土曜日

誤れ!社名

取引先の人がうちの会社の名前をまちがえているんだけど、こういうときどう訂正すればよいの?
おしえて おじいさん

はじめはこっちの聞きまちがいかなって思って聞き流したんだけど、あ、これ完全にまちがえてるわ。
だってものすごく流暢にまちがえてるもん。
ジュニアハイスクールの弁論大会かってぐらいハキハキとまちがえてるもん。
あーこれ訂正しづらいな。
だって2回もまちがえたもんな。
いま訂正したら、
「だったら1回目のとき訂正しろよなー。
 こいつマジだりーわ」
って思われること必至だわ。

あ。またまちがえた。
なんでこの人うろ覚えなのにこんなに会社名連呼するんだろ。

あれかな。
力強く主張しつづけたら現実のほうが曲がってくれると思ってんのかな。
実際の社名のほうが変わるじゃねえかなって。
夢は何度も口に出して公言することで必ず実現する、みたいなうすっぺらい自己啓発書を読みすぎたのかな。

でもずっとまちがわれてたら、なんかいい感じに聞こえてきた。
印刷のずれた切手にかえって高値がついちゃうみたいな感じで。
こうやって取引先の社名をまちがいつづけることがこの人の魅力なんじゃないかって。
逆に。

てなことを考えてたんだけど。
でも次の日電話でしゃべったら正確な社名を云ってた。
どっかで気づいちゃったみたい。
あの失礼極まりないまちがいが愛おしく感じられるようになっていたのに。
ちょっと寂しい。

ああ。
子どもの成長を見守る親も、きっとこんな感覚なんだろうな。

ちがうか。

2015年7月29日水曜日

妖怪パック

 ぼくの髪を切っていた美容師が小さな声で「あれ?」って言ったことについてなんだけど。
 
 正直、不安になりましたよ。
 まあね。
 少々カットをミスっちゃったぐらいならぜんぜんいいですよ。
 人間誰しもまちがいはあるしね。
 ぼくは嵐のメンバーじゃないから(そう嵐のメンバーじゃないんです)、誰もぼくの髪型なんか気にしてないしね。
 職場で女性社員たちから陰で『金正恩』または『総書記』なんてあだ名を付けられない程度であればとるに足らないことです。
 問題なのは、美容師の「あれ?」が
「あれ? この人髪切ってみたらこんなにハゲてたんだ」
の「あれ?」なんじゃないかってこと。

 ぼくもいい歳ですからね。
 戦々恐々としながら毎日を過ごしているんです。
 ハゲんじゃないかって。
 やっぱりね。
 男はみんな震えているわけです。
 次にハゲるのは自分じゃないかって。ハゲ軍から赤紙が届くんじゃないかって。
 ハゲないためなら悪魔に魂を売ってもいいも思っているわけです。
 はっきりいってハゲはガンより怖い。
 ハゲがかっこわるいとは言わないけれど、でも無いよりはあったほうがいいよね。
 このへんのことを女の人はあんまりわかってないみたいで、うちの妻なんか平気で「ハゲろ!」とか云ってくるわけ。
 たとえ冗談でもめったなことを云うもんじゃないよ、ほんとに。
 それ、妙齢の女性に「子どもつくらないの?」っていうぐらいのセクハラだからね。

 ハゲることの何がおそろしいって、自分に責任がないことだよね。
 たいていのデブは自分に責任があるわけじゃない。
 でも、髪を染めたりパーマあてたりもせず、海藻類なんかもそこそこ口にしてるのに。
 なのにぼくの髪の毛は日々頭皮に別れを告げていってるからね。
 こんな理不尽なことがありますかっての。
 身に覚えがないのにいきなり逮捕されるようなもんですよ。
 それでも僕はやってないってのに。

 理不尽といえば。
 子どもの頃にぼくが持っていた『ようかいだいずかん 世界のようかい編』に、パックという西洋の妖怪が載っていた。
 妖怪ってさ、こどもをしつけるために生み出されたものだから、早く寝ない子を脅かしにくるとか、嘘をついた人を食べてしまうとか、ちょっと教訓めいた特徴を持ってるんだよね。
 ところが。
 妖怪パックの解説文にはこう書いてあった。
「おやにかおが似ていないこどもがいると、やってきてこどもをつれさってしまう」
 ええええぇ!?
 なんでー!?
 妖怪に理屈を求めるべきじゃないけれど、それでもこども心にこれは理不尽だと思った。
 そして理不尽だからこそ底知れぬ恐怖を感じて震えあがった。

 やっぱり人間、得体の知れないものがいちばん怖い。
 だからね。
 さっきの「あれ?」は何の「あれ?」なのか説明しなさいっての!