2015年10月12日月曜日

【エッセイ】保育士のタスク処理

娘の保育園の運動会。
「会場の設営を手伝ってほしいので、おとうさんたちは早めに会場に来てください」
と案内があったので、朝8時に会場へ。

で、行ってみたのだが、やることがない。
ぼくだけでなく他のおとうさんたちも、所在なさそうに立ち尽くしている。
といって設営が終わっているわけではなく、保育士さんたちは忙しそうに走り回っていろんな仕事をしている。

なんでこんなことになっているのかぼくなりに考察してみた。
保育園の先生は小学校の先生とちがい、子どもに仕事をさせることがまずない。
あなたはこれをやって、あなたはこっちの仕事をして、とタスクを割りふっても園児には対応できないからだ。
だから保育士さんは、仕事を割りふることに慣れていない。

その結果、会場設営の指揮を執る人間がひとりもおらず、保育士さんだけがあっちへ行ったりこっちへ走ったりしている。
集まったおとうさんたちは、それぞれの職場ではちゃんと仕事をしている人たちなのだろうが、なにしろバイトばかりで責任者がひとりもいない店に突然放り込まれたようなものだから、何をすることもできない。
尋ねようにも、保育士さんたちはあっちこっちへ走り回っている。

運動会なのだからマイクもあるのに、誰も指示を出さぬまま、とうとう保育士だけで設営は完了し、休みの日に早起きして集まったおとうさんたちはあくびをするのであった。

2015年10月10日土曜日

【エッセイ】あなたの風邪はどこから? ぼくは娘から!

娘が風邪をひいたので看病していたらぼくにもうつった。

それにしても子どもの回復力ってすごい。
娘ときたら、40度近い熱を出していたくせに、2日ぐらいでけろっとして走り回っている。
一方、30歳オーバーのぼくときたら、1週間たってもまだ咳が止まらない。



 話はとつぜん変わるが、以前 友人から
「仕事を辞めるつもりなんだけど、たいしたスキルもないし、今からだと転職も厳しいと思う。おれでも転職できそうな会社に心当たりない?」
と相談を受けた。

 ぼくなりに八方手をつくし、いくつか知り合いにあたり、
「そういう人だったら面接してもいいよ」
といってくれる会社を見つけた。
 急いで友人に連絡をとると、
「ああ、あれね。いや、会社やめないことにしたよ。今の仕事けっこう好きだし」
とあっさりした返事。

 おい!
 ぼくがあれこれ考えて手をつくしているうちに、勝手に自己解決してんじゃねえよ!



と思ったものだけど、
ぼくがゴホゴホ咳きこんでいる横で 風邪をうつした張本人が元気に走り回る姿を見ていたら、そのときの気持ちを思い出した。

2015年10月9日金曜日

【考察】全小説家を代表してがっかりします

毎年毎年、村上春樹がノーベル賞の受賞逃したっていわれて、そろそろ「村上春樹」が秋の季語になりそう。

でも受賞を逃したのは、村上春樹だけじゃなく日本中の作家全員なんだけどな。

全員のカルマを一身に背負わされてかわいそう。
キリストみたい。


2015年10月8日木曜日

【エッセイ】犬と赤子に関しては勝手にさわってもよいものとする

 何が嫌いって、散歩中のよその犬を勝手にさわるおばちゃんほど嫌いなものはないね。

 今朝のこと。
 小型犬を連れた女の人が信号待ちをしてた。
 そこへやってきたおばちゃん。
 あたしだってダテに55年も生きてないから何でも知ってるわよ、知らないのは恥と遠慮だけ、って顔したおばちゃん。
 おばちゃん、小型犬に向かって
「あっららぁぁかぁわいぃワンちゃんねぇい」
って語りかけながら犬の頭に手を伸ばした。
 当然のように。
 もう、ほんと当たり前の顔をして。
 普通の女の人だったらさあ。自分のケツさわるときでももうちょい遠慮するぜ。
 ってぐらいの当然顔だった。

 あれ、なんなんだろうね。
 犬と赤子に関しては勝手にさわってもいいってルール。
 おばちゃんってすぐさわるでしょ。
 飛び上がってバスケのネットさわらずにはいられない小学生と一緒。
 いつ制定された?
 そのルール。
 その小動物にかぎりさわってもいいルール。
 歴史の授業中は寝てたからあんま知らないんだけど、ヴェルサイユ条約で決まったんだっけ?
 ハンムラビ法典? ヤルタ会談? ドラフト会議?
 かわいいかったら他人のものを勝手にさわっていいわけ?
 だったらおれだってさわっちゃうよ。
 おたくの18歳の娘さんかわいいですね、つって。
 かゆいところございませんか、つって。
 指紋つくぐらいべたべたさわっちゃうよ、もう。
 指紋つきすぎて鑑識のハマさん呼ばれるぐらいさわっちゃうよ、もう。
 嫌でしょ、ぜんぜん知らない人に自分の持ち物さわられんの。
 誰だよあんたうちの犬さわらないでよってなるでしょ。
 誰だよ鑑識のハマさんてってなるでしょ。

 そんなこと考えながらおばちゃんに気の向くまま風の吹くままさわられゆく犬を眺めてたらね。
 あるんだね、奇跡って。
 おばちゃんにさわられそうになった犬が。
 それまでおとなしく信号待ちをしていた小型犬が。
 突然狂ったように吠えはじめた。
 もうほんと恐ろしい勢いの咆哮だった。
 激怒。マジ激怒。
 火がついたように怒るって言葉があるけど、ほとんど出火してた。
 江戸の街だったら「安政の大火」とかって名前がついて文献に名前刻んじゃうぐらいの燃えさかりよう。

 すげえって思った。
 万物の創造主すげえって思った。
 神が犬をお造りになってから幾万年。
 すべては神の思し召しのままだとしたら、今日、まさに今ここで、小型犬が吠えるようにプログラミングしたわけでしょ。何万年も前に。
 完璧。
 タイミング完璧。
 神がかってる。ていうか神。創造主だから。
 そんでおばちゃんは逃走。
「あらあらあらあらごめんごめん」
って言いながら走って逃げた。
 人間としての尊厳なんて微塵もなかった。
 まあ無理もない。
 人生において、あんなに激しく誰かから怒られることなんかまずないもん。
 むかし引っ越しのバイトしてたときに、みんなででっかいピアノ持ちあげて運んでる最中に
「すみません、もう無理です!」
って叫んで手をピアノから離したやつがいて、
その後そいつはチームリーダーから叱られ死するんじゃねえのってぐらい叱られてたけど、そんとき以来。あんなに怒られてる人見るの。

 でも小型犬も存外しつこくて、おばちゃんが横断歩道の向かう側に渡ったあともずっとおばちゃんの方に向かって吠えてんの。
 もう事件性感じさせちゃうくらいの吠えっぷり。
 鑑識のハマさん再登場しちゃうんじゃねえのって思ったもん。
 さすがにもう許してやれよって思った。
 おまえまだ怒ってんのかよって。
 おまえいつまで目を血走らせてんの王蟲かよ早く腐海に帰れよって。
 もうおばちゃんだいぶ遠く行っちゃったぞ。
 犬の視力だとそろそろ見えなくなる距離だろうよ。
 ご自慢の嗅覚を頼りに怒ってんじゃないよと。
 ほんと、ずうっと怒ってる。
 ドラゴンボールだったら、悟空がフリーザまっぷたつにして地球に帰ってきたのにまだ怒りのスーパーサイヤ人になってるぐらい、怒りが長期政権化しちゃってる。
 ずっと怒ってると読者にそっぽ向かれちゃうよ。
「悟空いつまでスーパーサイヤ人化してんのマジウザインデスケド」とか掲示板に書かれちゃうよ。
 看板漫画だからってあぐらかいてたらすぐに打ち切られちゃうよ。
 ジャンプ編集部は容赦ないよ。

 ってメッセージを小型犬に向かってテレパシーで発信しつづけたんだけどね。
 ぜんぜん届かない。
 所詮、犬。
 所詮、小型犬。
 いつまでも鳴きやまないからだんだん腹立ってきてね。

 小動物にかぎり勝手に頭はたいてもいいってルールできねえかな、ホント。

2015年10月7日水曜日

【エッセイ】おひとりコンサート

娘のために『おかあさんといっしょコンサート ワンワンワンダーランド』に行こうと思いたった。
幼児でもひとりにつき1席を確保しなければならないらしい。

チケットを検索すると、まだ数席残っている。
おおよかったと買おうとすると、それらは隣接する席ではなく、おひとり席がいくつか点在するだけだった。
 
『おかあさんといっしょコンサート ~ワンワンワンダーランド~』にひとりで行く人がどれぐらいいるっていうんだよ!
チケットの売り方考えてよね!