「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も」
って言葉、あたりまえのことしか言ってなくてぜんぜん中身がないよね。
それでもこの言葉が廃れずに残ってるのは、五七五で語呂がいいから、ってだけの理由だと思うな。
2015年10月26日月曜日
【エッセイ】うちの娘は日本一(ばか)
2歳の娘が服を自分で着たら、前後逆。
「逆だからもう一回やろっか」と言って手を貸そうとすると、「いや!」と手に噛みついて暴れる。
「だったら好きにしなさい」とそのまま放置した。
前後逆のままお出かけして、
前後逆のままごはんを食べて、
前後逆のまま公園で遊んで、
前後逆のまま買い物に出かけたら、
疲れて寝てしまった。
まだお風呂にも入ってないのに。
結局、翌朝まで前後逆だった。
で、思ったんだけど、2015年にかぎっていえば、日本一長い時間、服を前後逆に着ていた人なんじゃない?
あなた、今年に入ってから、22時間続けて前後逆の服を着つづけていたことありますか?
2015年10月24日土曜日
【エッセイ】おニューをおろす日
タンスの引き出しを開ける。
今日はどの服を着ようか。
そのとき、引き出しのいちばん奥に潜んでいるタグ付きの長袖シャツと目が合う。
これを買ったのは10ヶ月前だったか。まだ一度も袖を通していない。
おお、ひさしぶり。
んー、今日はおまえの出番じゃないよ。
わかってる。わかってるとも。
大丈夫だって、おまえにはここいちばんってとこで活躍してもらうんだから。
だってほら、今日は柴田と飯を食いに行くだけなんだから。あいつのまえでおしゃれしたってしょうがないだろ。
だから、な。
そのうち、な。
そして手前のよれよれのシャツを手にして、そっと引き出しを閉める。
この10ヶ月、ずっとこのくりかえしだ。
新品のシャツをおろせない。
やがて季節が代わって長袖シャツを着る機会はなくなる。夏の間、新品シャツはタグも切られぬままタンスの奥でじっと出番を待ちつづける。
ふたたび季節はめぐり、半袖では肌寒さを感じるようになってきた。
だがあいつの出番はこない。
まだ「そのとき」じゃない。
今日は新品をおろすほどの日じゃない。
ふと思う。
「そのとき」なんて来るのだろうか。
新しいシャツをおろすのにふさわしい日って、いったいいつなんだろう。
たとえば新しい彼女との初デート。
うん、これは「そのとき」だ。
でも、既に結婚してしまっているぼくには初デートの日は二度と来ない(来たらまずい)。
ぼくが出かける用事といったら、山に登るか、草野球をするか、2歳児とお砂遊びをするか、柴田と飯を食いに行くかだけだ。
そのどれもが、服が汚れる危険性を大いにはらんでいる(柴田と食事をすると、たいてい話に夢中になってぼくか柴田かが飲み物をこぼす)。
服が汚れるイベントにおニューの服を着ていくわけにはいかない。
だから新品の服をおろす機会は永遠にこない。タグはずっとついたままだ。
タグをつけていたって、今さら返品なんかできるはずない。買ったのは10ヶ月前だし、レシートはとっくにないし、それどころかどの店で買ったかも忘れてしまった。
だけどなんとなくタグは切れない。
「あたしとうとう独身のまま35歳になったけどまだ男の前では下ネタを聞いてもわからないふりをするのよ」、そんな感じだ。
だって新品なんですもの。
このシャツに袖を通す日は永遠に来ないのか。
この先もミートソースの染み付きシャツでぼくは柴田と飯を食いに行くのか。永遠に。
そう思っていた。
だが。
ついに。
このシャツを着る日がやってきた。
タグを切る日がやってきた。
新品をおろす日、それが今日。
今日、ぼくは服を買いにいく。
服屋の店員はみんなおしゃれだ。
あいつらになめられないためには、それなりにこざっぱりした格好をしなければならない。
新品のシャツをおろすのに、こんなにふさわしい日があるだろうか。
今日ぼくはまあたらしいシャツで服を買いに行く。
きっと、買ってきた服はタンスの奥底にしまうだろう。
もちろんタグは切らずに。
2015年10月22日木曜日
【エッセイ】しょせんはキヨシ
のどが痛いのでドラッグストアへ。
のどの痛みを抑える薬を持ってレジに並んでいると、おじいちゃん店員に声をかけられた。
「うがい薬はありますか?」
急に声をかけられたのでびっくりして、言葉が出てこず無言で首をふった。
「うがい薬がないなら塩水でうがいするといいですよ」
セットでうがい薬を売りつけようとする営業トークかと思ったが、どうも親切心でアドバイスしてくれているようだ。
塩水など勧めても金にはならないもんな。
「塩水が苦手ならお茶でうがいするのもいいよ。お茶でうがいして、最後に飲みこむんです。私はお茶でやってます」
おじいちゃんの話は止まらない。
「へえ。飲み込んじゃっていいんですか」
「そう。あとは四つ折りにしたタオルね」
「タオル?」
「タオルを四つ折りにして、のどに巻くんです。こうやって寝るとのどが楽になります」
「そうなんですか。じゃあやってみます」
とは言ったものの、しょせんここはマツモト○ヨシ。
調剤薬局で薬剤師さんに云われたらすなおにいいことを聞いたと思えるのに、マツモト○ヨシだといまいち信憑性に欠けるというかなんというか……。
所属や肩書きで人を判断するのはよくないんだけど、やっぱり疑わしいんだよなー。
アドバイスの内容も、医療従事者の指示ってよりも、おじいちゃんの知恵袋ってかんじだしな……。
のどの痛みを抑える薬を持ってレジに並んでいると、おじいちゃん店員に声をかけられた。
「うがい薬はありますか?」
急に声をかけられたのでびっくりして、言葉が出てこず無言で首をふった。
「うがい薬がないなら塩水でうがいするといいですよ」
セットでうがい薬を売りつけようとする営業トークかと思ったが、どうも親切心でアドバイスしてくれているようだ。
塩水など勧めても金にはならないもんな。
「塩水が苦手ならお茶でうがいするのもいいよ。お茶でうがいして、最後に飲みこむんです。私はお茶でやってます」
おじいちゃんの話は止まらない。
「へえ。飲み込んじゃっていいんですか」
「そう。あとは四つ折りにしたタオルね」
「タオル?」
「タオルを四つ折りにして、のどに巻くんです。こうやって寝るとのどが楽になります」
「そうなんですか。じゃあやってみます」
とは言ったものの、しょせんここはマツモト○ヨシ。
調剤薬局で薬剤師さんに云われたらすなおにいいことを聞いたと思えるのに、マツモト○ヨシだといまいち信憑性に欠けるというかなんというか……。
所属や肩書きで人を判断するのはよくないんだけど、やっぱり疑わしいんだよなー。
アドバイスの内容も、医療従事者の指示ってよりも、おじいちゃんの知恵袋ってかんじだしな……。
2015年10月21日水曜日
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