2015年6月12日金曜日
ユーロビートが漁場を荒らす
ぼくが通ってた高校はそこそこの進学校だったのでヤンキー同士の意地の張り合いみたいなのはほとんどなかったけど、
その代わり文化系男子による音楽抗争がばちばちと、しかし静かに繰り広げられていた。
具体的には、休み時間や放課後に、廊下でイヤホンを耳に当てて、窓の外を見ながら小さくリズムに乗って揺れていたやつらのことだ。
まずこの廊下というのがポイントで、誰かを待っている風を装って自然にたたずむことができる上に、人通りが多いので、声をかけてもらいやすい。
そう、彼らは音楽を聴きたくてイヤホンを耳に当てているのではない。
「何聴いてるの?」
この一言をかけてもらうために、いわば廊下という漁場に釣り糸を垂れているのだ。
もし誰かが聞いてきたら、しめたものだ。
彼らは、よくぞ訊いてくれましたという歓喜の気持ちをぐっと抑えて、まるで至高の音楽を聴いているのを邪魔されて迷惑だというような表情を作りながら、自分の選曲センスの良さをアピールしだす。
「知ってるかなあ!オレンジペコっていうアーティストなんだけど!」
もちろん彼らが聴いているのは、オリコンランキング上位に名を連ねるようなアーティストなどではない。
洋楽か、マイナーな若手ミュージシャンのどちらかである。
(もっとも彼らがそのアーティストを知ったのはFMラジオで特集されていたからだ。FMで特集されるぐらいだからもう十分メジャーなのだが、田舎の高校生にとっては「おれだけが注目しているこれからのアーティスト」だ。)
ヤンキーたちがどちらが喧嘩に強いかを競いあうように、彼らはどちらがいかにマニアックな歌を聴いているかを競いあう。
たまにそのへんの感覚をこじらせちゃってるやつもいて、高2のときに同じクラスだったタツミくんは
「ユーロビートまじでいいよ。この学校でユーロビートにはまってるのはおれだけだろうけど、なんでみんなもっとユーロビート聴かないのかなあ。ほら、聴いてみ」
と、勝手にぼくの耳にイヤホンをつっこんで大音量のユーロビートを聞かせてくれた。
おかげでぼくはこの日からユーロビートとタツミを大嫌いになったし、今ではユーロビートがすっかりダサい音楽だっていう扱いを受けているのは、タツミみたいにみんなが釣り糸を垂らしているときに網を持ってざばざばと水に入っていって漁場を荒らしたユーロビート好きがいっぱいいたからなんだろうなって思ってる。
2015年6月10日水曜日
おばさんのパラドックス×2
女子とおばさんの見分け方として、
「自分のことを『女子』と呼ぶようになったらおばさん」
というのがぼくの中での基準なんだけど、世の男性一般の見解とほぼ合致していると思う。
ちなみに別の見分け方として、
「おまえももう25歳かー。すっかりおばさんだなー」
「ちょっと、誰がおばさんよ」
みたいなやりとりがあるうちはまだおばさんじゃないけど、言われなくなったらおばさん、というのもある。
しゃれにならないからね。
「自分のことを『女子』と呼ぶようになったらおばさん」
というのがぼくの中での基準なんだけど、世の男性一般の見解とほぼ合致していると思う。
ちなみに別の見分け方として、
「おまえももう25歳かー。すっかりおばさんだなー」
「ちょっと、誰がおばさんよ」
みたいなやりとりがあるうちはまだおばさんじゃないけど、言われなくなったらおばさん、というのもある。
しゃれにならないからね。
2015年6月9日火曜日
女子力偏差値
ぼくはおっさんだから知らないんだけど、
女子力の高い/低い って、どうやって判定してるの?
やっぱり全国一斉女子力統一模試とかあるわけ?
そんで偏差値74だから医学部(卒業の男)いける、とかあるわけ?
それともガイガーカウンターみたいなので
「50……60……まだ上がるぞ! 70……ピピッ、ボンッ!!」
みたいな測定するのかな。
女子力の高い/低い って、どうやって判定してるの?
やっぱり全国一斉女子力統一模試とかあるわけ?
そんで偏差値74だから医学部(卒業の男)いける、とかあるわけ?
それともガイガーカウンターみたいなので
「50……60……まだ上がるぞ! 70……ピピッ、ボンッ!!」
みたいな測定するのかな。
2015年6月8日月曜日
2015年6月7日日曜日
本屋の野口は本を読まない
バイトの野口くんは本を読まない。
本屋で働いていたときのことだ。
野口くんはまがりなりにも大学生をやっていたのだが、生まれてこの方1冊の小説も読んだことがないらしい。
小説どころか漫画もほとんど読まない。
彼が読むものといえばパチンコ雑誌か、「芸能人の黒い噂」みたいなタイトルのゴシップ誌だけだ。
野口くんがなぜ本屋でアルバイトをしようと思ったのかは誰も知らない。
そんな野口くんがあるとき
「犬犬さん、ぼく生まれてはじめて小説買いましたよ!」
と言って見せてくれたのが
『ONE PIECEの秘密』という本だった。
それは小説じゃねえよと思ったが、いやいやこれをきっかけに彼が読書のおもしろさに芽生えてくれるかもしれないと思い直し、何も言わずにおいた。
2日後に「おととい買った本読んだ? おもしろかった?」と尋ねたら、
「読みましたよ! でも内容全部忘れました!」
おまえ読んでないだろ。
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